Funds-In-Trust Japan Industrial Property Global

Funds-In-Trust Japan Industrial Property Global​​​​​​​ (FIT/Japan IP Global) は、知財制度に関する知識を深め、知財に関する能力を高め、イノベーションや技術移転を促進できるよう、開発途上国や後発開発途上国 (LDC) を世界中で支援しています。

日本政府は、1987年から特許庁 (JPO) を通じてWIPOに対して任意拠出金を支出しており、100か国を超える開発途上国と後発開発途上国に対して1億スイスフランを超える拠出を行い、産業財産権分野における多様な活動を支援しています。当初はアジア太平洋地域とアフリカ地域を中心に支援を行っていましたが、支援対象をグローバルに拡大するため、2019年に FIT/Japan IP Global が設立されました。現在、予算規模は年約800万スイスフランとなっています。

FIT/Japan IP Global は、日本のこれまでの開発途上国および後発開発途上国への知財分野での協力における知見を活かしつつ、次の目的のためにWIPOの取組を支援し、全世界における知財エコシステムの活性化に貢献します。

  • 世界各国において自律的な知財エコシステムを構築することにより、開発途上国または後発開発途上国発のイノベーションが、適切に知財として保護され、商業化される世界を実現すること
  • 世界各国の知財に関する制度、人、情報をつなげることにより、グローバルな知財ネットワークを形成すること
  • 知財以外の専門家や一般の人々の知財への理解を深めることにより、経済の発展や社会の活力のために知財が果たす役割を広げること
  • 知財を通じて、革新的な技術が世界中へ普及することを促進し、地球規模課題の解決に向けた取組を行うことにより、SDGsの達成に貢献すること

FIT/Japan IP Global​​​​​​​ の紹介ビデオ

ニュース

ファンドの用途

写真: Rawpixel/Getty Images

中小企業とスタートアップ企業

FIT/Japan IP Global は、知財戦略を実践することができるよう、中小企業 (SMEs) やスタートアップ企業を支援しています。また、大学や研究機関による知財制度の活用や、若者の知財知識習得も支援しています。

1. 中小企業、スタートアップ企業、若手イノベーターの支援

中小企業向け知財管理クリニック (IP Management Clinic、IPMC) プログラム: 1対1の個別のメンターシップ、専門家によるアドバイス、研修を通じて、知財をより適切に管理し活用するためのサポートを、特定の企業に提供しています。最近のトピックを以下に掲載します。

  • タイの中小企業向けIPMC: 2025年3月10日~13日 (記事)
  • マレーシアの中小企業向けIPMC: 2024年12月2日~6日 (記事)
  • アラブ地域の中小企業向けIPMC – 電子商取引: 2024年11月17日~20日 (記事)
  • マレーシアの中小企業向けIPMC: 2024年10月21日~25日 (記事)
  • タイの中小企業向けIPMC: 2024年9月4日~11日 (記事)
  • ラオスの中小企業向けIPMC: 2024年3月11日~15日 (記事)
  • ブルネイの中小企業向けIPMC: 2024年3月4日~7日 (記事)
  • アラブ諸国の中小企業向けAI関連IPMC: 2023年9月26日 (記事)

戦略的知財アドバイス (SIPA): 特定の国において現地の知財専門家と連携し、IPランドスケープについて理解と活用を深めたい企業に対し、無料のアドバイザリーサービスを提供します。最近のトピック:

  • インドネシア、バンドンにおけるSIPA: 2024年8月21日~22日 (記事)
  • インドネシア、ジャカルタにおけるSIPA: 2024年6月24日~25日 (記事)

知的財産と中小企業に関するWIPO対話 – 主たるビジネス推進要因としての知的財産: 知財庁、ビジネス支援機関、中小企業、特に財界のその他の利害関係者を集め、中小企業にとっての知的財産の重要性に焦点を当てながら、経験の共有やベストプラクティスについての議論を通じて、中小企業が知的財産にアクセスしやすくするための課題と機会を特定することを目指します。最近のトピック:

若手デザイナーの知財保護・管理スキル向上: 生産者団体向けに意匠などの知財のソリューションを開発することによって、知財の保護と管理に関する若手デザイナーのスキルと知識を向上させます。最近のトピックを以下に掲載します。
  • ブラジルとチリのパイロットプロジェクト: 2023年8月11日、サンティアゴ (チリ)、2023年9月26日、リオデジャネイロ (ブラジル) (記事)
モバイルアプリ・プロジェクト: 意匠の登録と保護に関する利用しやすい情報源や、地域のデザイナーと他のステークホルダーをつなぐ場を提供します。最近のトピックを以下に掲載します。
  • 西アフリカ諸国経済共同体 (ECOWAS) 向け意匠モバイルアプリ – AfricDeezayn (記事)

若手起業家のための知財・ブランディング戦略に関する研修・メンタリング・コーチング: 知的財産の啓発、研修、ネットワーキングを通じて起業家を力づけ、製品の保護、商品化、グローバル市場での競争力を強化します。​​​​​​​

  • ボツワナ、2024年 (記事)
発明者支援プログラム (IAP) サミット: 経験を共有し、成果を称え、IAPコミュニティを強化するための、参加者が交流しやすい協力的な環境を育みます。
  • ジュネーブ (スイス)、2024年3月26日~27日 (記事)

2. 知財ウィーク (IP Week)

知財制度の活用により経済変革を加速させる措置を講じている域内諸国の能力強化のため、FIT/Japan IP Global は、次の2つのタイプのステークホルダーを対象としたワークショップを支援しています。
  • 中小企業と事業競争力: 中小企業に対する能力構築支援
  • 大学や研究開発機関と他の知財資産の枠組みとの橋渡し
  • 最近のトピック:
    • アディスアベバ (エチオピア)、2024年11月4日~8日 (記事)
    • ハラレ (ジンバブエ)、2023年12月11日~14日
    • ダカール (セネガル)、2023年10月30日~31日
    • ハボローネ (ボツワナ)、2023年6月27日~30日

3. 大学・研究機関の知財政策と知財管理

財界や他の組織との提携を希望している大学や研究機関に対して、知財の政策と管理に関する既存の仕組みを解析し、開発や改善を支援しています。
  • ASEAN TTOの各機関の知財政策に関する地域研修セミナー、2024年2月25日~26日、カンボジア (記事)
  • ASEAN知財評価プロジェクト: 
    • クアラルンプール (マレーシア)、2024年11月12日~14日 (記事)
    • マニラ (フィリピン)、2024年10月22日~24日 (記事)
    • ジャカルタ (インドネシア)、2024年9月10日~12日 (記事)
知財戦略に関する教育・研究機関のプロジェクト・知財評価に関するプロジェクトを発表するためのWIPO-ASEAN地域会合、2023年6月26日 (記事)
知財パイロットプログラムのスケールアップ: 大学からのスピンアウト企業が知財戦略を自社の商業化計画に組み込む能力を身につけ、初期段階の技術を市場に投入し、最終的にはスケールアップできるよう、このプログラムには、大学のベンチャーが直面する問題に特に焦点を当てた内容のモジュールが含まれています。最近のトピックを以下に掲載します。
  • ケープタウン (南アフリカ)、2025年3月18日~20日 (記事)
  • コロンボ (スリランカ)、2025年2月18日~20日 (記事)

4. 研究と事例

知財の様々なトピックに関する調査結果から事業や地域社会において知財を活用することの重要性について学ぶことができるため、FIT/Japan IP Global は、知財の事例に関する有用な情報を提供するIP Advantageも支援しています。最近の研究には以下が含まれます​​​​​​​

写真: GETTYIMAGES/NARIN EUNGSUWAT

人材の育成

FIT/Japan IP Global は、奨学金、フェローシッププログラム、特許の書き方や検索に関するコースなどの知財の効果的な使用に関するワークショップを含む、多様な教育、研修、研究の機会を支援しています。

ジェンダーとダイバーシティ

FIT/Japan IP Global は、ジェンダー平等とダイバーシティの推進を重要視しており、知財とイノベーションへの女性の参画強化を含む支援を行っています。

1. ブランディング・プロジェクト

FIT/Japan IP Global は、製造者が知的財産権を取得して製品をブランド化できるよう支援しています。伝統的な手織りの籠作りが盛んな地域では、女性たちが籠の商品化とブランド化のために組合を設立し、生計を立てています。

2. 女性起業家の支援

知財庁の効率化

FIT/Japan IP Global は、知財庁のインフラや業務慣行の効率化・デジタル化を助け、手続の効率化を強化しユーザー体験を向上させるプロジェクトを数多く支援しています。

動画: FIT/Japan IP Global​​​​​​​​​​​​​​ が長年にわたり支援してきたWIPOの知財庁効率化プロジェクトについて、ウガンダ登録サービス局 (URSB) における成果を例にご紹介します。

1. データキャプチャ、データ検証、デジタル化、ワークフローの最適化、フルテキストデータ化

商標、意匠、特許文献などの知財ファイルからデータを取り込みデジタル化するデータキャプチャ・デジタル化プロジェクトを実施しており、特許文献の全文変換 (フルテキストデータ化) も行っています。最近のトピック:
  • 2024年: メキシコの特許文献フルテキストデータ化プロジェクトのため、13,767件の特許文献全文をデータ化し、PATENTSCOPEに読み込み
  • 2024年: OAPIのデジタル化が成功裏に完了し、物理的な特許、商標、意匠の記録をすべてデジタル化
  • 2024年: ケニアでケニア知的財産権庁のデータ妥当性確認・検証プロジェクトが完了し、14万件を超える商標記録を正確に検証
  • 2023年: フィリピンの特許文献フルテキストデータ化プロジェクトを完了し、22,403件の特許文献全文をデータ化し、PATENTSCOPEに読み込み (記事)
  • 2023年: アルゼンチンの特許文献フルテキストデータ化プロジェクトを完了し、15,487件の特許文献全文をデータ化

2. 知財庁向け業務支援ソフトウェアソリューション

WIPO IP Office Suiteは、知的財産権の出願手続を支援するために知財庁が使用可能な一連のソフトウェアアプリケーションであり、「WIPO IPAS (Industrial Property Administration System)」、「WIPO File」、「WIPO Publish」という3つの補完的なシステムからなります。WIPO Suiteの中核をなすWIPO IPASは、知財庁の主たる業務プロセスをすべて支援するワークフローベースのソフトウェアシステムであり、高度なカスタム化が可能です。FIT/Japan IP Global は、各国・地域の知財庁におけるソフトウェアアプリケーションの導入・展開を支援しています。最近のトピック:

  • 2020年: ミャンマーにおいて旧制度に基づき登記された商標の新制度での登録を受理するためにWIPO Fileを導入
  • 2019年: ブルネイにおけるWIPO Fileの展開に成功

3. 研修

完全ペーパーレス化・デジタル化されたサービスを知財庁がユーザーに対して提供できるようにするため、知財庁の職員やユーザーを対象にIPASなどのITシステムに関する研修を実施しています。最近のトピック:
  • 2025年1月14日~15日、プノンペン (カンボジア) (記事)
  • 2024年12月9日~12日、マニラ (フィリピン) (記事)
  • 2024年11月11日~15日、ザンジバル (タンザニア) (記事)
  • 2024年5月8日、ジャカルタ (インドネシア) (記事)
  • 2023年7月28日、シアヌークビル (カンボジア) (記事)
  • 2023年5月8日~12日、ハノイ (ベトナム) (記事)
  • 2023年4月3日~6日、ハラレ (ジンバブエ) (記事)
  • 2023年3月27日~31日、ビエンチャン (ラオス) (記事)
  • 2023年2月20日~24日、シンガポール (シンガポール) (記事)

グローバルな知的財産ネットワークの構築

写真: GettyImages/Gajus

政策協議

FIT/Japan IP Global は、知財制度を活用してイノベーションや創造性を促進するためのハイレベル会合を開催しており、政策を立案する各国の議員がこの分野における最新の動向を把握できるようにしています。

  • 経済的、社会的、文化的発展における知的財産の役割に関する青少年イノベーションと創造性会議: アフリカの持続可能な開発のためのイノベーション・知財・付加価値、2024年10月7日~9日、アビジャン (コートジボワール) - 記事
  • カリブ海諸国の知的財産局長、2023年11月2日~3日、バセテール (セントクリストファー・ネイビス) 記事 | 会合資料
  • 太平洋島嶼国知的財産庁長官会議、2023年10月23日、24日、26日、スバ (フィジー) - 記事 | 会合資料
  • アグリビジネスに関与する女性のための知的財産に関する地域会議、2023年5月15日~17日、キガリ (ルワンダ) - 記事 | 会合資料
写真: GettyImages/ abluecup

PCT制度、マドリッド制度、ハーグ制度の推進

FIT/Japan IP Global lは、PCT制度、マドリッド制度、ハーグ制度を最大限活用するための様々なワークショップやセミナーを、知財制度のユーザーや知財庁の職員を対象に開催しています。

FIT/Japan IP Global は、WIPOのグローバル知財サービスのプロモーションツール作成も支援しています。

知的財産への理解を深める

一般社会に向けた広報活動

FIT/Japan IP Global は、2024年2023年の世界知的財産の日、国際シンポジウム「若者と知財」 (記事) など、世界中の知財ステークホルダーをつなぐ活動を支援しています。

初心者向け教本:

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SDGsへの貢献

WIPO GREENとグローバルヘルス

持続可能な開発目標 (SDGs) の達成には、バランスの取れた効果的な知財制度に支えられたイノベーションと創造性が不可欠です。本ファンドは、あらゆる国が経済的、社会的、文化的に発展するためのイノベーションを可能にするWIPO GREENとWIPOの「グローバルヘルス」プログラムの推進を支援しています。

1. WIPO GREENの支援

FIT/Japan IP Global は、WIPO GREENを通じて、イノベーションを促進し、知財の戦略的利用に基づき技術移転を推進するための技術援助・能力開発プロジェクトを支援しています。WIPO GREENは、環境に優しい技術に関する発明やイノベーションのオンラインデータベースおよびマーケットプレイスであり、知的財産権を活用してグリーンテクノロジーの移転と普及を最大化することにより、気候変動に対処する世界的な取り組みを支援しています。WIPO GREEN促進プロジェクトの一環として、日本はラテンアメリカ (アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、エクアドル、ペルー)、インド、セネガル、小島嶼開発途上国 (SIDS)、フィリピンにおけるイニシアチブを支援しています。最近のトピック

  1. WIPO GREEN促進プロジェクト
    • 2024年7月: ラテンアメリカ諸国の知財庁がWIPO GREENと提携してグリーンイノベーションエコシステムを推進 (記事)
    • 2024年: ペルーにおけるラテンアメリカ促進プログラム (記事)
  2. 日本でのWIPO GREENパートナーネットワーキングイベント
  3. 「グリーン・テクノロジー・ブック」2025大阪・関西万博特別号

2. グローバルヘルスの支援

FIT/Japan IP Global は、WIPOの「グローバルヘルス」プログラムの研修プログラムや推進活動を支援しています。WIPOの「グローバルヘルス」プログラムは、知財の役割のほか、医療技術におけるイノベーション、技術移転、医療技術へのアクセス、通商の間の複雑な相互関係について理解を深めることに貢献しています。最近のトピック:

  • 2018年にWIPOの「グローバルヘルス」プログラムの概要とプログラム参加者に関する動画を制作
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Contributing to the WIPO Development Agenda

開発アジェンダ (DA) プロジェクト

FIT/Japan IP Global は、DAプロジェクトをそれぞれの国で成功裏に実施するために、地域レベルおよび地域間レベルでの研修やネットワーキングを通じて、指定された各国担当窓口の能力強化を支援しています。

  • 地域間導入研修、2025年1月14日~15日、バリ (インドネシア) (記事)
  • 地域導入研修、2024年11月26~27日、リオデジャネイロ (ブラジル) (記事)
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image: getty / FangXiaNuo 

関連リンク

  • ASEAN地域における知的財産関連の成功事例 [PDF]
  • FIT/Japan IP Global 設立から20年間の歩み – アジア太平洋地域 [PDF]
  • 繁栄の共有のための工業所有権の支援 アジア太平洋地域における FIT/Japan IP Global [PDF]
  • FIT/Japan IP Global 設立から最初の5年間の歩み – アフリカ及びLDCs [PDF]
  • FIT/Japan IP Global のアフリカ及びLDCsでの活動 - 2019年 [PDF]
  • FIT/Japan IP Global の後援により開催されたすべての会議 [PDF]
  • FIT/Japan IP Global の後援により開催されたプロジェクト、会議、イベント [PDF]