1年を振り返って: マドリッド制度の2017年

2017年12月21日

今年は、国際登録の出願数の増加につながる新たな1年へと続く道を開く、マドリッド制度にとって素晴らしい12ヶ月でした。マドリッド制度126周年を締めくくるにあたり、2017年における著しい業績について振り返ってみたいと思います。

加盟国数が100を達成

今年8月にはタイがマドリッド登録部(Madrid Registry)の99番目の加盟国となり、そのほんの2ヶ月後には、インドネシアの法務人権大臣がWIPO事務局長にマドリッド協定議定書への加入書を寄託し、インドネシアがマドリッド制度の100番目の加盟国となりました。

インドネシアがマドリッド制度の100番目の加盟国となる。Yasonna H. Laoly法務人権大臣とFrancis Gurry WIPO事務局長(写真提供:WIPO/BERROD)。

タイとインドネシアが加盟したことにより、10カ国で構成されるASEAN(東南アジア諸国連合)中8カ国がマドリッド同盟に加盟したことになります。これは、ASEANが掲げる、域内技術移転の促進及び知的財産権保護協力の万全な枠組みを介したイノベーションの進展という目標と一致しています。

インドネシアの加盟により、マドリッド協定議定書は、100以上の加盟国を持つ5番目のWIPOが管理する条約(WIPO条約パリ条約ベルヌ条約特許協力条約(PCT)と並ぶ)となります。

分類ガイドライン

分類が国際登録の出願の欠陥をもたらす主要原因の1つであることに鑑み、WIPOにおける分類審査の考え方を広く伝えることを目的として、年初に全く新しい資料『Examination Guidelines Concerning the Classification of Goods and Services in International Applications(国際出願における商品・役務の分類に関する審査ガイドライン)』を公表しましたPDF, Examination Guidelines

このガイドラインでは、次の構成でWIPOの審査官が適用している分類の原則について説明しています。

  • マドリッド制度とニース分類に関する一般的な説明
  • WIPOが適用する分類の原則の概要
  • 実用的な情報や書式に関するガイドライン

このガイドラインの全文は、英語版、フランス語版、及びスペイン語版があり、オンラインで閲覧でき、定期的に更新されます。

重要!国際登録の出願のために商品・役務の一覧を作成する第一歩として『Madrid Goods & Services Manager』を活用してください。この無償のオンラインサービスを利用することで、ニース分類に従って、商品・役務を作成することができ、出願人が記載する商品・役務がWIPO及び指定国の知的財産庁が認める分類・表示であるかを確認することができます。1月1日現在、Madrid Goods & Services Manager(MGSマネージャー)には、2018年版ニース分類が掲載されることになっています。PDF, 2018 version of the Nice Classification

便利になったカスタマーサポート

カスタマーサービスを強化し、ユーザーエクスペリエンスを向上していく継続的な取り組みの一環として、2月後半にACD(着信呼均等分配)システムを導入したことを皮切りに、今年は様々な新サービスを提供開始しました。

それから間もなくして、多様なユーザーベースのニーズに応えるために設計したオンライン・コミュニケーション・サービスであるContact Madridをスタートしました。 

この新サービスは、マドリッド制度のカスタマーサポートへのゲートウェイです。このサービスを介して、質問や意見、各種様式の送信、技術的サポートの要請、支払状況の確認などができます。

今月上旬には、WIPOのカスタマーサービスチームへの最も効率的なコミュニケーション手段として、メールでのやり取りに代わり、Contact Madridサービスが正式に導入されました。

(写真提供:WIPO)。

マドリッド制度のe-Serviceの新時代

マドリッド制度加盟国の商標法や審査手続などへの簡単なアクセスを可能にした、ユーザーから待望されていたMadrid Member Profiles Databaseなど、2017年には数多くの新規または機能強化したオンラインサービスとWebコンテンツを提供開始しました。

また、1年を通してユーザーから意見を募集し、これに基づいてWIPOの次世代の商標の確認・監視用のデータベースであるMadrid Monitorを改良してきました。

重要!1月1日をもって、Madrid Monitorはマドリッド制度を活用した国際商標登録出願の審査の進行状況と国際登録状況を確認するための、WIPOの唯一の専用ツールとなりました。この日以降、ROMARIN、Madrid e-Alert、Realtime Statusは利用できなくなり、代わって、より便利になったMadrid Monitorに一本化されます。

この移行をサポートするため、ツールの操作方法などを説明したビデオチュートリアルシリーズを作成しました。詳しい操作方法や、Madrid Monitorの便利な機能をあますところなく活用するための専門家によるヒントを満載したこの8部構成のビデオシリーズを、是非、ご利用ください。

ビデオで学習:マドリッド制度に関するWebセミナー

過去6ヶ月間で、マドリッド制度の新規及び経験豊かなユーザー、合わせて約2000名が、WIPOの全く新しい対話式Webセミナーに参加しました。

目的別にテーマを絞ったこれらのトレーニングセッションでは、国際登録出願書類作成方法、マドリッド制度のe-Serviceの活用方法、指定国の知財庁とのやり取りを始めとする、幅広いトピックに関するWIPOの専門家からのヒントや実用的なガイダンスにアクセスするための新しい方法をご紹介します。

2018年を見据えて

いくつもの主要貿易国が2018年に加盟するための準備を進めており、マドリッド制度は海外で商標登録を行なうための最善の方法であり続けるでしょう。

翌年には、加盟国やユーザーは以下のことを期待できるでしょう。

  • 国際商標登録出願の審査進行状況と国際登録状況の追跡・確認をさらに簡単にする強化機能の追加など、WIPOが提供するe-ServicesやWebコンテンツの継続的な改善。
  • 出願人がマドリッド制度をより効果的、効率的に活用できるようにするためのビデオチュートリアルや全く新しいマドリッド制度Webセミナーの拡充。

 

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