新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) に関する新たな調査報告: 大学・研究機関によるワクチン関連の特許出願、パンデミック初期に活発―中国・米国の出願人がワクチン・治療薬のイノベーション活動をリード

ジュネーブ, 2022/03/10
PR/2022/887

WIPOは、パンデミック時代におけるイノベーション活動のトレンドに関する報告書[1] を本日付けで発表しました。本報告書によると、世界的パンデミック初期の数カ月間において、大学や研究機関による新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) のワクチン関連の特許出願件数が企業発の出願とほぼ同数となり、新型コロナワクチン・治療薬の新技術に関する特許出願は、中国と米国の出願人によるものが最も多かったことが明らかとなりました。

本報告書、「Patent Landscape Report: COVID-19 Related Vaccines and Therapeutics (特許ランドスケープレポート: COVID-19関連のワクチン・治療薬) 」によると、COVID-19関連の特許出願では、従来型のワクチン技術や既存薬転用 (repurposed drug) に関するものが最も多く、次いで、mRNA等のより新しいタイプのワクチン技術の順となりました。本報告書は、WIPOのパンデミック支援策パッケージの一環として公表されたものであり、この種の報告書として初めて、COVID-19関連の特許出願活動を調査・分析したものになります。

「この報告書を通じて、今般のパンデミックが世界の科学界をかつてないほど駆り立てるきっかけになったことが明らかになりました。また、COVID-19の処置・治療手段の開発にあたり、企業やスタートアップ、大学、研究機関が互いに補完・補強し合う役割を果たしたことが浮き彫りになりました」とダレン・タン (Daren Tang) WIPO事務局長は話します。

「この報告書により、世界が直面する難題の解決に向けて意味のある進展を遂げるためには、組織や機関、部門や境界をまたいだ協力が不可欠であることも明確になりました。」タン氏は、テドロス・アダノム・ゲブレイェスス (Tedros Adhanom Ghebreyesus) WHO事務局長、ンゴジ・オコンジョ=イウェアラ (Ngozi Okonjo-Iweala) WTO事務局長が同席した本報告書の発表イベントで、そう語りました。

報告書の主な調査結果

  • パンデミック勃発から最初の21カ月の間に、5,300件近くのCOVID-19関連の特許出願が49の特許庁においてなされました。
  • これらの出願のうち、1,500件近くが治療薬に関し、400件以上の出願がワクチンに関連するものでした。
  • ワクチン関連の出願では、大学・公的研究機関が全体の44%を占める一方、企業による出願は49%でした。比較対象としては、2021年におけるWIPOへの国際特許出願の合計件数に対し、大学・公的研究機関の出願がわずか8%でしかないことが挙げられます。
  • ワクチン関連出願では、出願国トップ10は、中国、米国、ロシア連邦、英国、韓国、ドイツ、インド、オーストリア、スイス、オーストラリアでした。
  • 治療薬については、中国、米国、インドが上位出願国となりました。インドと韓国では、治療薬関連の出願件数がワクチン関連を上回りました。
  • 主要特許庁における初期データによると、通常の早期審査ルートだけでなく、新製品を迅速に公衆利用可能にするために設けられたCOVID-19関連発明の優先審査プログラム等の利用により、COVID-19関連の特許出願は比較的迅速に許可されていることが分かりました。同期間 (2020年1月~2021年9月) における化学・生物科学分野の特許出願と比べて、COVID-19関連出願が早く審査されていることが分かりました。
  •  本報告書では、研究機関・大学が民間産業と協働して、人びとの命を救うための新型コロナワクチンや治療薬の開発促進に取り組んだ点にも注目します。また、パンデミック前からの研究の飛躍的進展と技術的進歩のおかげで、パンデミックの最中でも迅速なイノベーションやワクチン開発が可能となったことも確認されました。

[1]この報告書は、2021年9月末時点で公開されていた情報に基づく2020年1月~2021年9月の期間になされた特許出願に関するデータに基づくものです。なお、特許出願が公開されるまでに平均18カ月かかります。

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