第一回WIPOグローバル・アワードを開催:日本、中国、オランダ、シンガポールが受賞

2022/07/19

日本、中国、オランダ、シンガポールの中小企業が、WIPOの新しいグローバル・アワード・プログラムの第一回受賞者となりました。このプログラムは、知的財産(IP)を活用して国内外でプラスの効果を上げている優れた企業や個人を表彰するものです。

7月14日から22日に開催されたWIPO総会で行われた授賞式では、ダレン・タン事務局長が、受賞した5社の代表者にトロフィーを手渡しました:Hydraloop(オランダ)、Lucence(シンガポール)、Raycan(中国)、Shylon(中国)、Splink(日本)※アルファベット順

世界各国から集まった7名の著名な審査員により、62カ国に及ぶ272件の応募の中から受賞者が決定されました。この賞は、経済的、社会的、文化的な進歩を促進する、知的財産権に基づく革新的な商業的ソリューションを表彰するものです。

授賞式での受賞5社の代表者(写真:WIPO/Berrod)

初回のグローバル・アワードは、世界経済の屋台骨を支える中小企業を称え、今後は若者や女性にも焦点を当てる予定です。

タン事務局長は、「がんの早期発見、省エネ照明、水のリサイクル、認知症診断、医療用画像の強化など、第一回WIPOグローバル・アワードの受賞者は、より良い世界を築くためにそれぞれ活動しています。そして今、受賞した5つの中小企業は、WIPOの支援によってビジネスの成長を遂げることができるのです。」と述べました。

また、「新しく始まったWIPOグローバル・アワード・プログラムが、知的財産を利用して前向きな変化をもたらしている優れた個人や企業を支援すると同時に、知的財産の利用があらゆる場所のすべての人に利益をもたらすことを確実にするという我々のビジョンに沿って、ロールモデルのコミュニティを構築していることを誇りに思います」とも述べました。

WIPO総会議長を務めたTatiana Molceanモルドバ国連常駐代表は、タン事務局長と一緒に賞品を手渡し、受賞者を歓迎しました。

WIPO グローバル・アワードの審査員

WIPOグローバル・アワード・プログラムについて

グローバル・アワード・プログラムは、あらゆる場所で生み出されるイノベーションや創造性がすべての人の利益となるよう、知的財産によって支えられる世界を実現するというWIPOの使命に根ざしたものです。審査員によって選ばれたこの独立した賞は、その技術により人々の生活の向上と進歩に貢献する人々を表彰し、支援します。 受賞者には、知的財産をビジネスの成長に役立てるための個別指導プログラムが提供されるほか、資金調達やビジネスの成長を促進するためのその他のサポートやスポンサーシップが提供されます。

2022 年のWIPO グローバル・アワードの受賞者たち

Hydraloop(オランダ)

Hydraloop は、分散型かつ消費者フレンドリーな、さらにはIoT接続可能、コンパクトで拡張性のある排水リサイクル製品を住宅や商業用不動産向けに設計・製造し、水の消費量を最大45%削減している、数々の受賞歴のあるベンチャー企業です。Hydraloopは、50カ国以上で120社以上のパートナーネットワークを持っています。オランダに本社を置き、米国と中東にオフィスを構えるほか、カナダとオーストラリアにも代理店を置いています。

Lucence(シンガポール)

Lucence は、がん医療をより明確にすることを目指すプレシジョン・オンコロジー(高精度腫瘍学)企業です。Lucence社は、超高感度リキッドバイオプシー検査を製造し、医師と患者に人生を変えるような情報を提供して、早期発見と効果的な治療を可能にしています。パロアルトに本社を置くLucence社は、米国とシンガポールにある2つのCLIA認可ラボを通じて、患者ごとに個別化されたがん治療サービスを提供しています。

Raycan(中国)

2009年に設立されたRAYCAN Technology Co., Ltd. (蘇州市)は、放射線検出器と画像処理装置の開発・製造を専門としています。独自の研究開発に基づく新しいデジタルサンプリング技術を武器に、RAYCANはオールデジタル放射線検出・画像処理技術のリーダーとなりました。米国、ドイツ、日本などで百件以上の特許を出願、取得しています。

SHYLON(中国)

2010年に上海で設立されたSHYLONは、建築照明の専門企業で、完全なLED技術を使用し、屋外照明の設計、生産、販売を行っています。SHYLONは、「ワンブランド、グローバル市場、超高光学建築、Zoomneoカラーアルゴリズム、Anecastレーザープロジェクション」といった戦略的優位性を持ち、中国の工業情報化部が選ぶ「2021年技術先進中小企業」に認定されています。

Splink(日本)

株式会社Splink は、データや現場の専門家と連携し、医師による初期認知症などの神経変性疾患の診断を支援することで、病気をもつ人だけでなく健常者も支援するAIソフトウェアを開発しています。病院と連携し、脳ドック用プログラムである「Brain Life Imaging」、神経内科医向け「Braineer」などの医療用AI製品を提供しています。

WIPOについて

世界知的所有権機関(WIPO)193加盟国を抱える国連の専門機関として、バランスのとれた利用しやすい国際的なIP制度の発展を担当しています。
国際的な知的財産に関する条約や基準について話し合う場を与え、民間部門に営利ベースのIPサービスを提供し、政府が開発戦略の一環としてIPを活用する能力開発を助けるとともに、無料でIP情報へのアクセスを提供しています。

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