青島現象:経済発展と繋がるマドリッド制度利用

2017年9月5日

今朝、WIPOと青島市人民政府は、中国の青島市における経済発展促進を目的としたマドリッド制度の利用に関する共同研究の公表を発表しました。

青島現象

(写真: iStock.com/webstar15)

2011年、WIPOと青島政府は、現地の経済発展促進を目的として、中国におけるマドリッド制度の利用に関する共同研究を実施するため、覚書に調印しました。青島市は、中国の新興の「ブランドの都」および革新的なハイテク海洋産業の中心都市として、海外での商標保護に対する最も効率的な手段に関する興味深い事例研究を示しました。

研究は、2011年から2015年にかけて行われた中国の第十二次五カ年計画(FYP)期間中に実施されました。この期間に起こった地域的な経済低迷に関わらず、青島市の累計輸出量は、国家平均(459.17億米ドル)を2%上回って増加しました。

2015年末までに、青島でマドリッド制度に基づいて出願された国際出願の数は記録的に増え、5年にわたる研究期間の間で、その数は1,836件に達しました。(2006年から2011年の間の出願数はたった59件でした。)2015年だけで800件を超える出願がなされ、青島での出願は中国における出願数の約35%、および山東省で提出された出願の88.15%を占めました。

経済発展と並行して見られたマドリッド制度に基づく出願の著しい増加は、「青島現象」と呼ばれました。

主な研究結果

研究で得た重要な教訓にハイライトを当てたビデオ、そして現地企業および個人を対象とした事例研究で補足される当研究により、青島で国際商標登録に影響を及ぼしている3つの主要な制約が特定されました。

  • 国際取引における商標の重要性に対する認識
  • 国際商標登録に対する政府による幅広い支援
  • 商標の代理人事務所の専門知識のレベル

青島における事例研究の結果、的を絞ったプロモーション、教育、インセンティブベースの推進プログラムにより、どのように上記制約を克服できるかが示されました。そして、結果的に、経済発展と並行して、マドリッド制度に基づく国際商標の出願数は著しく増加しました。

  • 国際商標出願に対する障壁を克服するために青島政府によって実施された取組の詳細を含む当レポートの概要はこちらをご覧ください 。 PDF, Summary of the report