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WIPO Arbitration and Mediation Center

紛争処理パネル裁定

Rakuten Group, Inc. f/k/a Rakuten, Inc. 対 Whois Privacy Protection Service by MuuMuuDomain / Tomohide Matsuura

事件番号 D2021-3558

1. 紛争当事者

申立人は、楽天グループ株式会社(Rakuten Group, Inc.)で、その2021年4月1日の商号変更前の会社名は楽天株式会社(Rakuten, Inc.)であり、その住所地は日本国である。申立人の代理人は、The GigaLaw Firm, Douglas M. Isenberg, Attorney at Law, LLCであり、その住所地はアメリカ合衆国(以下「米国」という。)である。

被申立人は、Whois Privacy Protection Service by MuuMuuDomain / 松浦智英(Tomohide Matsuura)であり、その住所地は日本国である。

2. ドメイン名および登録機関

紛争の対象であるドメイン名は<rakutenpoint.net>(以下「本件ドメイン名」という。)であり、本件ドメイン名の登録機関はGMOインターネット株式会社(GMO Internet, Inc.)で、Discount-Domain.comやOnamae.comで事業を行っている。MuuMuuDomainは、登録機関のグループ会社のGMOペポパ株式会社が運営している。

3. 手続の経過

本件申立書(英語)は、2021年10月26日にWIPO仲裁調停センター(以下「センター」という。)へ提出された。センターは、2021年10月26日にメールにより本件ドメイン名の登録確認を登録機関に要請した。登録機関は、2021年10月27日にメールによりセンターに登録確認の返答をし、申立書に記載された被申立人および連絡先細目と異なる情報を本件ドメイン名の登録者として提供した。登録機関から連絡を受けた被申立人は、問い合わせのメール(英語)を送信し、センターは、2021年11月10日に被申立人の問い合わせに返信した。センターは、2021年11月10日に登録機関により提供されたドメイン名の登録者および連絡先細目を申立人に通知し、申立書を訂正することができる旨を案内した。申立人は、2021年11月12日に申立書の補正書(英語)をセンターに提出した。

センターは、2021年11月10日に、手続言語に関して両当事者に英語と日本語で連絡を送り、2021年11月12日に、申立人は、英語を手続言語にすることを求める要請書(英語)を提出した。2021年11月15日に、被申立人は、日本語を手続言語にすることを望む旨の異議(日本語)を提出した。

センターは、申立書および補正書が統一ドメイン名紛争処理方針(以下「処理方針」という。)、統一ドメイン名紛争処理方針手続規則(以下、「手続規則」という。)およびWIPO統一ドメイン名紛争処理方針補則における方式要件を充足していることを確認した。

センターは、手続規則第2条および第4条に従い、2021年12月9日に本件申立てを英語と日本語で被申立人に通知し、紛争処理手続が開始された。手続規則第5条に従い、答弁書の提出期限は2021年12月29日とされた。

センターは、2022年1月12日に本件について山口裕司(Yuji Yamaguchi)を単独のパネリストとして指名した。紛争処理パネルは、同パネルが正当に構成されたことを確認した。手続規則第7条の要請に従い、紛争処理パネルはセンターへ承諾書および公平と独立に関する宣言を提出した。

紛争処理パネルは、2022年1月18日に、申立人に申立書および申立書の補正書の日本語の翻訳の提出を求め、被申立人に日本語に翻訳された申立書および申立書の補正書に対する答弁書の提出を求め、裁定期限を2022年2月23日まで延長する手続命令第1号を英語と日本語で発出した。申立人は、2022年1月20日に申立書および申立書の補正書の日本語の翻訳を提出し、被申立人は、2022年1月29日に日本語に翻訳された申立書および申立書の補正書に対する答弁書(日本語)を提出した。

4. 背景となる事実

申立人は、1997年に設立され、東京証券取引所に上場している上場企業で、東京に本社を置き、世界で1万人以上を雇用している。申立人は、キャッシュバックや買い物ポイントを提供する電子商取引サイト等の70以上の事業を展開し、15億人以上の利用者を有していて、2020年度の連結売上収益は1兆4555億円に及んでいる。

申立人は、2001年2月16日に登録された日本商標登録第4453054号「楽天」や2012年1月17日に登録された米国商標登録第4088493号「Rakuten」など、少なくとも39の国または法域において、少なくとも640件の「Rakuten」から成るまたはそれを含む商標(以下「楽天商標」という。)を登録している。

また、申立人は、2016年8月19日に登録された日本商標登録第5875619号「楽天ポイント」、2012年7月6日に登録された日本商標登録第5505776号「Rakuten Super Point」、2021年9月7日に登録された米国商標登録第6473641号「Rakuten Point」、2016年7月12日に登録された米国商標登録第4995651号「RAKUTEN SUPER POINTS」など、20件の「RAKUTEN」と「POINT」または「POINTS」を含む商標(以下「楽天ポイント商標」という。)を登録している。

申立人は、<rakuten.com>を1997年9月12日に登録し、<rakutenpoint.com>を2009年3月9日に登録するなど、「rakuten」から成るまたはそれを含む多数のドメイン名を登録している。

被申立人は、本件ドメイン名を2013年1月5日に登録した。被申立人は本件ドメイン名を、広告を含む「楽天ポイントの貯め方-攻略ガイド」というウェブサイトとして使用していた。本件ドメイン名の登録は2022年1月5日に失効したが、登録機関によりロックされた状態となっている。

5. 当事者の主張

A. 申立人

申立人の主張は、以下のとおりである。

手続規則第11条(a)項、WIPO Overview of WIPO Panel Views on Selected UDRP Questions, Third Edition (以下「WIPO Overview 3.0」という。)第4.5項およびRakuten, Inc. 対林宗兴 (Lin Zong Xing), WIPO 事件番号 D2020-2846等の裁定例に沿って、本件ドメイン名に英語の「point」が含まれ、本件ドメイン名を使用するウェブサイトは英語の広告を含んでいて、申立書を別の言語に翻訳することが申立人にとって不公平で、不当な遅延を引き起こすことからすると、本件で英語を手続言語とすることが裏付けられる。

トップレベルドメイン <.net> は、標準的な登録要件とみなされ、「混同を引き起こすほどの類似性」の要件では無視される(WIPO Overview 3.0第1.11.1項)。本件ドメイン名は、楽天商標を含み、楽天ポイント商標から成っており、WIPO Overview 3.0第1.7項で説明されているように、商標と「混同を引き起こすほどに類似」していると通常考えられる。本件ドメイン名の「指定は、申立人の商標に接続されているという全体的な印象」を変えるものではないから(L’OREAL 対 Lewis Cheng, WIPO 事件番号 D2008-0437)、本件ドメイン名は楽天商標と同一または混同を引き起こすほどに類似している。

申立人は、いかなる態様でも楽天商標を登録または使用することを、被申立人に譲渡、付与、使用許諾、販売、移転、またはいかなる方法でも承認したことはなかった。本件ドメイン名を使用して多数の広告を含む「楽天ポイントの貯め方-攻略ガイド」というウェブサイトを開設していることからして、被申立人は処理方針第4条(c)項(i)における「善意による商品またはサービスの提供を行うため」という立証をできていない。本件ドメイン名は楽天ポイント商標と同一で、「提携関係を暗示する可能性が高く」(WIPO Overview 3.0第2.5.1項)、被申立人による「楽天ポイントの貯め方-攻略ガイド」の開設はOki Data Americas, Inc. 対 ASD, Inc., WIPO 事件番号 D2001-0903で判示された確立した原則の下における「公正な使用」には当たらない。申立人の知る限り、被申立人は本件ドメイン名で一般的に知られたことはなく、本件ドメイン名について商標または役務商標(サービスマーク)の権利を取得したことはない。さらに、20年以上にわたる申立人による楽天商標の登録と、世界中の少なくとも39の法域における申立人による640件の楽天商標の登録からすると、被申立人がこの商標によって一般的に知られていることは実際上不可能である。多数の広告を提供するウェブページに関して本件ドメイン名を使用する被申立人の行為は明らかに商業的であり、本件ドメイン名を使用するウェブサイトでの被申立人によるスパムブログ(splog)の開設は、被申立人のウェブサイトが申立人と何らかの関係があるという誤った印象を与えるという被申立人の悪意による企ての一応の推定(prima facie)が強く働く証拠となり、被申立人は権利または正当な利益の立証をできていない。

「著名または周知商標と同一または混同を引き起こすほどに類似しているドメイン名の無関係の団体による単なる登録は、それ自体が悪意の推定が認められ得る」(WIPO Overview 3.0第3.1.4項)。楽天商標は、世界中の少なくとも39の法域で少なくとも640の商標登録によって保護され、最も古いものは20年以上前から登録されていることからすると、明らかに著名で、周知である。「著名商標であることからすると本件ドメイン名を登録したときに被申立人が申立人を知らなかったとは信じ難い」(Six Continents Hotels Lin hongyu, Cheng Qi Lin, WIPO 事件番号 D2017-2033)。したがって、「被申立人によるドメイン名の登録および使用の動機は、単に申立人と顧客や潜在的な顧客との関係を混乱させるか、潜在的な利益のためにインターネット利用者を引き付けようとするためであろうとしか説明できず、いずれも、処理方針第4条(b)項(iii)および(iv)による悪意の登録かつ使用の証拠となる」(Pancil, LLC 対 Jucco Holdings, WIPO 事件番号 D2006-0676)。同様に、楽天商標に基づく申立人のサービスの世界的な知名度ならびに本件ドメイン名と申立人自身のドメイン名 <rakuten.com>および<rakutenpoint.com>との類似性からすると、「被申立人が申立人の活動ならびに申立人が事業を行う名称および商標を知らずに本件ドメイン名を選択したとは考えられない」(Pancil LLC 対 Domain Deluxe, WIPO 事件番号 D2003-1035)。本件ドメイン名は申立人と「明らかに関連している」ので、被申立人の行動は、処理方針に違反する「便乗による悪意」を意味する(Research In Motion Limited 対 Dustin Picov, WIPO 事件番号 D2001-0492)。申立人の商標の長い歴史ならびに申立人の重要な存在およびブランドの認知に照らして、「被申立人が申立人の商標を知っていて、その混乱によりインターネット利用者を引き付けることによって商業的利益を得ようとしていた可能性が高い」(Western Union Holdings, Inc. 対 Manuel Rodriguez, WIPO 事件番号 D2006-0850)。本件ドメイン名を使用するウェブサイトの内容は広告を提供するための口実に過ぎないことは明らかである。申立人による楽天商標の大半が、被申立人による本件ドメイン名の登録のかなり前に登録され、被申立人の住所地と推測される日本を含む一部は、13年前に登録されていることは、WIPO Overview 3.0第3.2.2項で説明されているように、処理方針による悪意を示すものである。したがって、本件ドメイン名は悪意で登録かつ使用されている。

B. 被申立人

被申立人の主張は、以下のとおりである。

本件ドメイン名は日本国内にて取得されたものであり、ウェブページの内容も日本国内ユーザーのみに向けて発信されていて、日本国外のユーザーにとっては、ほぼ無価値な内容である。本件ドメイン名にpointが含まれるが、日本国内でもドメイン名に英単語を用いるケースは決して少なくない。表示広告に英単語が含まれるが、Google AdSense広告であり、日本国外からウェブページを表示すれば、英語の広告が表示されることの方が多いであろうが、日本国内から閲覧した場合、英語の広告が表示されることはごく稀である。英語での答弁は現実問題として不可能である。

被申立人は、広告主の規約と方針に従ってアフィリエイト広告を行っている。商標の権利がドメイン名にも及ぶことを理解しておらず、2013年1月に申立人の各種サービスを紹介する目的でウェブページを立ち上げる際に、深い考えもなしに本件ドメイン名を取得した。本件ドメイン名を使用するウェブページを運営していく上で、検索ユーザーの誤解や混同を招く危険性については考えが至ったので、ウェブページ内には「個人の運営するサイトであること」と「楽天の公式サイトではない旨」を記載していた。被申立人は、ウェブページの運営に関して、申立人と実際のウェブサイトを確認しながら、電話でやり取りしたことがあるが、本件ドメイン名に関して申立人から問題視されているという認識は持っていなかった。その後はウェブページの更新も滞って、現在に至っている。本件ドメイン名を使用するウェブページは、申立人のサービスを紹介することを目的としたウェブページで、不利益をもたらすことを目的とした運営はしていなかったので、今回の紛争に関して争う姿勢はない。楽天商標と同一または紛らわしいほど類似しているかと問われれば、客観的にみて否定できず、申立人が本件ドメイン名の類似性を問題視されていのであれば、要求された救済であるドメインの譲渡に従う所存である。

6. 審理および事実認定

6.1 手続言語

本件ドメイン名の登録契約の言語は日本語である。本件の手続言語についての当事者間の別段の合意は存在しない。申立人から英語を手続言語にすることを求める要請書が提出されたが、被申立人から異議が出された。申立人が主張するとおり、本件ドメイン名に英語の「point」が含まれるが、ポイントは外来語として日本で一般的に使われている単語に過ぎないから、被申立人が英語を手続言語とするのに支障がないことの裏付けとはならない。日本を代表する企業である申立人にとって、申立書の日本語の翻訳を作成することが、困難であるとも、不公平であるとも言うことはできない。本件ドメイン名の登録契約の言語は日本語であり、両当事者の住所地は日本であるという本件の紛争解決手続の事情においては、手続規則第11条(a)項の原則どおり、本件の手続言語を日本語とするのが妥当である。

被申立人から英語を手続言語にすることに対する異議が出されたことに鑑み、手続保障を十全ならしめるため、被申立人には、日本語に翻訳された申立書および申立書の補正書に対して、日本語で答弁書を提出する機会を設けることとした。

6.2 実体的要件

処理方針第4条(a)項によれば、申立人は以下の3項目のすべてを立証しなければならない。

「(i) あなたのドメイン名が、申立人が権利を有する商標または役務商標(サービスマーク)と、同一または混同を引き起こすほどに類似しており; かつ

(ii) あなたが、そのドメイン名についての権利または正当な利益を有しておらず; かつ

(iii) あなたのドメイン名が悪意で、登録かつ使用されていること。」

A. 同一または混同を引き起こすほどの類似性

本件ドメイン名は楽天ポイント商標から成り、一般トップレベルドメインである<.net>が付加されている点が異なるに過ぎない。一般トップレベルドメインは、「混同を引き起こすほどの類似性」を判断するためには、無視することができると解されている(WIPO Overview 3.0第1.11.1項)。楽天ポイント商標は明瞭に識別可能であり、被申立人も客観的にみて否定できないことを認めているから、「混同を引き起こすほどの類似性」は認められる。

よって、紛争処理パネルは、本件ドメイン名が、申立人が権利を有する商標または役務商標(サービスマーク)と、同一または混同を引き起こすほどに類似していると認定する。

B. 権利または正当な利益

「楽天」というブランドは、明るく前向きに考える「楽天的」という語に由来しているとされるが、申立人の20年以上の多岐にわたる事業によって、申立人を指すブランドとして広く知られている。また、買い物ポイントの制度として、「楽天ポイント」が日本において著名であることは顕著な事実である。

被申立人は、申立人の各種サービスを紹介する目的でウェブページを開設したとされるが、アフィリエイト広告の目的があったことも認めている。被申立人が申立人と電話でやりとりしたことがあったとしても、申立人が主張するように、申立人が、いかなる態様でも楽天商標を登録または使用することを被申立人に明示的に許諾等したことはなかったと考えられる。楽天ポイント商標から成る本件ドメイン名を使用した被申立人による「楽天ポイントの貯め方-攻略ガイド」の開設は、申立人と関係のあるウェブサイトという消費者の誤認を招き得るもので、アフィリエイト広告による商業的利益を得る意図もあったと認められるから、処理方針第4条(c)項(iii)における「正当な非商業的使用または公正な使用」であるとは言えない。

被申立人は本件ドメイン名で一般的に知られているとまでは言えず、本件ドメイン名について商標または役務商標(サービスマーク)の権利を取得したことはない。被申立人は、商標の権利がドメイン名にも及ぶことを理解していなかった旨答弁しており、本件ドメイン名についての権利または正当な利益の存在については主張していない。

よって、紛争処理パネルは、被申立人が本件ドメイン名についての権利または正当な利益を有していないと認定する。

C. 悪意による登録および使用

楽天商標は著名であり、被申立人の答弁からも、被申立人が申立人の商標を知らずに本件ドメイン名を登録していたとは言えない。

申立人は、被申立人が本件ドメイン名を使用してスパムブログ(splog)を開設していたと主張している。スパムブログ(splog)とは、検索エンジンのランキングを上げるか、またはリンクもしくは広告を販売する目的で、アフィリエイト用のウェブサイトの宣伝を促進するために著者が使用するブログ等を指すが(Fiberweb Geosynthetics Limited 対 osa bun/ Whois Privacy Shield Services, WIPO 事件番号 D2015-0048)、広告と論評記事が一体化しているウェブサイトは、広告よりも、論評記事の方がコンテンツ制作の中心であると読者に信じさせて、混乱させる(BISSELL Homecare, Inc. 対 WhoisGuard Protected, WhoisGuard, Inc. / Commercial Vacuum, WIPO 事件番号 D2018-0211)効果がある。本件ドメイン名を使用した被申立人による「楽天ポイントの貯め方-攻略ガイド」というウェブサイトも、一見すると、楽天ポイントに関する説明を行っているに過ぎないようにも見えるが、実際には、アフィリエイト広告を行うために設けられたウェブサイトであった。それゆえ、被申立人には、商業的利益を得る目的があったと言え、申立人の標章との混同の虞れを生じさせることにより、インターネットのユーザーを、そのウェブサイトに意図的に引き寄せるために、楽天ポイント商標から成る本件ドメイン名を使用していたものと評価できる。

被申立人は、申立人に対して不利益をもたらすことを意図していなかったと主張するが、検索ユーザーの誤解や混同を招く危険性について気付いていたとも答弁している。被申立人は、ウェブページ内には「個人の運営するサイトであること」と「楽天の公式サイトではない旨」を記載していたと主張し、申立人が証拠として提出した2021年10月25日時点の本件ドメイン名を使用するウェブページのトップページには、「楽天ポイントのお得な貯め方・稼ぎ方を、楽天ダイヤモンド会員が解説・ご紹介しているサイト」等の記載が見られるが、さほど目立つ記載ではなく、ウェブページ閲覧者が誤認・混同するのを十分に防止できる態様であったとは言い難い。そもそも、「誤認・混同は、インターネットのユーザーがウェブサイトを訪問する前に紛争ドメイン名を見ただけでも、申立人が運営するウェブサイトであると勘違いして該当するウェブサイトを訪問する場合も多くあり得る」(Inter IKEA Systems B.V. 対 Blomma and Co, Tsutomu Ikeda, WIPO 事件番号 D2011-0573)のであり、本件ドメイン名においても、いわゆる最初の関心を起こさせる混同(first interest confusion)が生じていた可能性はあると考えられる。したがって、被申立人に、インターネットのユーザーを、本件ドメイン名を使用したウェブサイトに引き寄せる意図があったことは否定できない。

よって、紛争処理パネルは、本件ドメイン名が悪意で、登録かつ使用されていると認定する。

7. 裁定

以上の理由により、処理方針第4条(i)項および手続規則第15条に従い、紛争処理パネルは当該ドメイン名<rakutenpoint.net>を申立人へ移転することを命じる。

山口裕司(Yuji Yamaguchi)
パネリスト
日付:2022年2月18日