マドリッド制度125周年を迎えて

2016年4月14日

2016年4月14日、マドリッド制度は1891年のこの日に最初の準拠条約(マドリッド協定)がマドリッドで採択されてから125年の節目の記念日を迎えました。今日のマドリッド制度は、これまでにも増して、ブランドを世界的規模で保護するための簡便で費用効果に優れた解決策を提供しています。

これまでの長い道のり

1891年に9つの創設メンバーで構成されたマドリッド同盟は、長きにわたり拡大を続けてきました。125周年を迎えた現在、マドリッド制度は総勢97のメンバーが加盟する113ヶ国に及ぶ制度となり、今後数年間で加盟メンバー数は100を超えると予想されています。

スイスの腕時計メーカーであるロンジンは今なお有効な最も古く国際登録された標章を有しておりその歴史は1893年に遡ります。多国籍企業から中小企業、個人起業家まで、幅広い産業の何千もの企業が自己の標章を世界的規模で保護するべくマドリッド制度の数多くの利点に頼ってきました。制度の開始以来、国際的によく知られている無数の有名標章など、優に100万件を超える標章が登録されています。

Infographic, Madrid: 125 Years of Growth
(Image: WIPO)

利便性と費用効果

マドリッド制度は、その進化の過程で利用者のニーズに絶え間なく適応し、複数国での商標登録・管理を簡易化する便利かつ費用効果のある機能を導入してきました。

この進化における重要な転機は、1989年6月27日に締結され、1996年4月1日に施行されたマドリッド議定書の採択でした。2015年10月31日、マドリッド制度のメンバーのうちでマドリッド協定のみに加盟する最後の加盟国であったアルジェリアでマドリッド議定書が発効され、マドリッド制度は事実上単一条約体制となりました。

マドリッド制度におけるもう一つの大きな進展は、使用言語に関するものです。マドリッド制度の当初の使用言語であるフランス語に加えて、英語(1996年より)とスペイン語(2004年より)も用いられるようになり、利用者の翻訳費用負担や手続の遅延が軽減されました。この利便性への着目については、マドリッド制度の一元化された手数料の支払いやポートフォリオの管理構造にも見ることができ、住所の変更や権利の更新など、登録のライフサイクルを通して名義人に求められる手続が合理化されました。

Infographic, Madrid: 125 Years of Protecting Trademarks Abroad
(Image: WIPO)

未来を見据えて

マドリッド制度の運用は進化し続けており、当該制度の利用者が、情報を入手し、WIPOのマドリッド登録部と連絡を取るために参照することができる電子的ツールの強化が進められています。1992年に導入されたROMARIN CD-ROMを介した国際登録への電子的アクセスを皮切りに、E-Renewal(2006年より)、Madrid Real-Time Status(2010年より)、Madrid Portfolio Manager(2012年より)、E-Subsequent Designation(2014年より)などの電子サービスE-Servicesにより、利用者が自身の国際商標登録を追跡管理することがますます容易になりました。これらのサービスは、電子サービスを通して利用者のオンライン操作を向上させるべく数ヶ月以内に開始されることとなっている新たな取り組み「E-Madrid」への道を開きました。

今後も、新しいビジネスニーズに応えつつ地理的範囲を広げ、マドリッド制度運営の効率性を高めることこそ、引き続きこの進化の要となるでしょう。

Infographic, Madrid: Still Evolving
(Image: WIPO)

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