トルクメニスタンの発明者がゴムおよびプラスチック廃棄物の新しいリサイクル方法を発見

2021年12月

著者: Gennady Galifanov氏、特許弁護士、トルクメニスタン、アシガバット。トルクメニスタンの若手起業

家であるEldar Rizayev氏は、産業および家庭廃棄物による環境汚染への対策が急務となっていることを認識し、ゴミを経済的に利用価値のある製品を製造するための二次原料に変える方法を探っています。特に、擦り切れたタイヤなど、プラスチックおよびゴム製廃棄物の変換に重点的に取り組んでいます。

最近のデータによると、世界全体で毎年約10億本の廃タイヤ (約1,700万トン) が発生し、その75%が埋め立てられています。 (写真: Nikolay Zirov/iStock/Getty Images Plus)

問題の技術的特質

新しい製品を製造するための二次原料として廃棄物を再利用することは、困難を伴いますが魅力的なソリューションです。ゴムの廃棄は特に厄介です。屑ゴムの分解は非常に時間がかかり、100年以上かかる場合もあります。しかも、ゴム製品の廃棄は高レベルの大気汚染を引き起こし、ゴム廃棄物1トンを燃焼させると、250キログラム以上の煤と400キログラム以上の有毒ガスが発生します。埋立地にある膨大な量の引火性の高いゴム廃棄物は、環境および健康への重大な問題を引き起こします。また、ネズミなどのげっ歯類や虫の温床となり、その多くは危険な感染症の原因となります。

100年以上にわたり、使用済みゴム製品を再生利用する試みは失敗を続けてきました。その主な理由は、ゴム製品が熱を加えても溶けにくい熱硬化性ポリマーでできているためです。したがって、こうした廃材を、新しいゴム製品を製造するための原料に変えることは、容易ではありません。

政策環境の変化がもたらすゴム廃棄物リサイクルのインセンティブ

これまで、使用済みゴム製品はほとんど焼却されていました。欧州連合は2003年に、埋立指令1999/31/EC pdf に従って屑ゴムの焼却とタイヤの埋立処分を禁止しました。3年後の2006年には、屑ゴム (破砕されたタイヤを含む) を埋立地に廃棄することも禁止されました。欧州タイヤ・ゴム製造者協会 (European Tyre and Rubber Manufacturers Association、ERTMA) などの団体は政策担当者と協力し、消費者、ドライバー、および欧州のタイヤ業界を支援する規制環境の整備に取り組んでいます。

欧州におけるこのような法律の変更を受けて、多くの国が (廃タイヤを利用して) ゴム廃棄物の化学構造を変化させずにゴム粉に変える処理工場を建設しました。ゴム粉は、ポリマー結合剤 (硬化剤、ポリウレタン接着剤、異相ポリマー) と混合され、様々な建築資材や路面に使用されます。しかし、こうした結合剤の使用はコストが高く、廃棄物をその後利用できる製品に変換する費用が大幅に増加します。そのため、使用済みゴム製品が処理されるペースは、ゴム廃棄物が蓄積されるペースを大幅に下回っています。最近のデータによると、世界全体で毎年約10億本の廃タイヤ (約1,700万トン) が発生し、その75%が埋め立てられています。 この25年間、屑ゴムのリサイクルを奨励する様々な取り組みが実施され、良好な成果を上げています。例えば、ノルウェー、セルビア、スイス、トルコおよびEU加盟国は2018年に廃タイヤの90%以上を回収・処理 pdf し、2017年に比べて処理量は約4%増加しました。

ゴムおよびプラスチック廃棄物の混合: コスト削減の新しいアイデア

タイヤ生産は世界的に増加が見込まれ、Garner Insights社は、2020年の21億本から2029年には90億本に増加すると予想しています。このため、タイヤのリサイクル市場にはビジネスと成長の機会があります。

こうした機会に加え、ゴムのリサイクル・コストを削減する必要性と高分子結合剤のコストの高さを認識したEldar Rizayev氏は、ゴムとプラスチックの廃棄物を両方リサイクルし、実用的な製品に変換する新しい方法を探し始めました。ゴム廃棄物と異なり、プラスチック廃棄物には熱可塑性ポリマーが含まれています。熱可塑性ポリマーは再加熱すると溶けるため、再利用が比較的容易で、様々な実用的な製品を作ることができます。

トルクメニスタンの若手起業家であるEldar Rizayev氏は、プラスチックとゴムの廃材を様々な実用的な製品に変えることによって環境汚染に取り組む方法を模索しています。

Rizayev氏は、熱硬化性ポリマー (ゴム廃棄物の特性で、加熱しても溶けない) を熱可塑性ポリマー (プラスチック廃棄物の特性で、加熱により溶ける) と混合し、その溶融混合物から様々な新しい製品を作り出す可能性について調査を開始しました。まず、私たちが普段使用しているプラスチック製ボトルなどの容器から得られるポリエチレンテレフタレート (PET) を利用するというアイデアを検証しました。これは簡単に決めることができました。というのも、同氏の研究により、ゴムおよびプラスチック製の家庭廃棄物の80%超がリサイクルされておらず、様々な実用的な製品を作るための貴重な材料となる可能性があることが示されていたからです。

同氏の実験は期待を上回る成果を上げました。ゴム粉と混ぜ、押出機に入れて220~240°Cに加熱すると、粉砕されたPETは化学反応を起こし、ポリマーとゴムの混合物が生成されました。これを利用すると、耐摩耗性と耐久性があり滑りにくい様々な床材 (タイル、薄スラブ、敷物、カーペット、ジムや子どもの遊び場用のマットなど) を作ることができます。

Rizayev氏は、ゴム廃棄物 (使用済みタイヤなど) とプラスチック廃棄物 (プラスチック製ボトルなど) を混合・加熱して溶融混合物を作り出す新しいプロセスを開発しました。溶融混合物は成形して耐摩耗性と耐久性のある様々な床材を作ることができます。(写真: Eldar Rizayev氏提供)

ゴム粉と高分子結合剤を混合する標準的なプロセスと異なり、Rizayev氏のプロセスでは、溶けたゴムと溶けたPETを融合し、有益な性質が追加された新しい混合物を作り出します。

この共重合プロセスを最適化するために、Rizayev氏は使用する各廃棄物の特性に合わせてプロセスを調整し、溶融混合物を作り出します。この混合物は、3つのセクションからなる押出機を通って一連の型に入り、様々な製品を生み出します。

Rizayev氏のソリューションは、非自明的でこれまで知られていなかった新しい性質を持つ溶融混合物を生成するという点で優れています。この成功により、ゴムおよびプラスチック廃棄物を実用的な家庭製品や建設資材に変換するプロセスは、費用対効果が高く効率的なものとなりました。

(写真: Eldar Rizayev氏提供)

Rizayev氏は自身の成功に支えられて、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなど、供給量の多い他の種類のプラスチックを利用して屑ゴムをリサイクルする新しい方法の模索を続けており、同氏の研究に関する様々な技術調査を終えています。国連環境計画の2018年の報告書によると、世界のプラスチック廃棄物は毎年約3億トンに上ると推定され、そのほとんどが埋め立てられています。Rizayev氏は自身の研究を通じて、リサイクルという世界の重要課題の解決に貢献しています。何世代にもわたり、科学者と発明者は失敗を繰り返しましたが、同氏はゴムとプラスチックの廃棄物を両方リサイクルするという重要な課題の解決に成功しました。Rizayev氏の革新的なソリューションは、産業廃棄物と家庭廃棄物という世界的な問題の解決に向けた重要なステップとなります。

この発明の特許

Rizayev氏の研究に対して、トルクメニスタン財務経済省国家知的所有権局 (State Service for Intellectual Property) (特許番号608、628) およびユーラシア特許庁 (ユーラシア特許番号028388、033283) から特許が付与されました。現在、Rizayev氏はこうした特許取得済みプロセスを事業活動に完全に組み入れ、リサイクルされたゴムおよびプラスチック製品を大量生産しています。

新型コロナウイルスの世界的大流行にもかかわらず、Rizayev氏と14名のスタッフは、1,000万マナト (約USD 2,860万米ドル) を超える製品を製造し販売しています。Rizayev氏が製造する廃棄物由来の材料には、建設会社やスポーツ団体などから旺盛な需要があり、これを受けて同氏は科学的研究と実験を続けています。

Rizayev氏は引き続き、世界の廃材を再利用する新しい魅力的な機会の開拓に時間とエネルギーを注いでいます。

技術の使用許諾に熱心な同氏は、すでにロシア連邦の様々な企業と交渉の初期段階に入っています。財務面での制約により、Rizayev氏がこうした技術の特許を取得できた国は限られていますが、財務状況が改善すれば、より多くの国で技術を保護したいと考えています。

Rizayev氏は引き続き、世界の廃材を再利用する新しい魅力的な機会の開拓に時間とエネルギーを注いでいます。コストを削減し、強度と弾性の高い製品 (鉄道の枕木、海や河川の整流板、電気絶縁体、道路製品、フォームバックカーペット、耐久性の高いスポーツマットなど) を作り出すために、例えばトルクメニスタンのカラクム砂漠にあるバルハン砂丘の砂など、新しい材料を様々な廃棄物と混合する新しい技術が開発段階にあります。

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