WIPO Arbitration and Mediation Center

紛争処理パネル裁定

Philip Morris USA Inc. 対 Whois Whois Privacy Protection Service by onamae.com / Shinsuke Kawahara

事件番号 D2015-0296

1. 紛争当事者

紛争処理手続において用いられた申立人と被申立人の氏名

申立人:Philip Morris USA Inc., Richmond, Virginia, United States of America, 代理人: Arnold & Porter, United States of America

被申立人: Whois Whois Privacy Protection Service by onamae.com, Tokyo, Japan / Shinsuke Kawahara, Nara, Japan.

2. ドメイン名および登録機関

紛争の対象であるドメイン名:<babay-marlboro.biz>

本件ドメイン名の登録機関:GMO Internet, Inc. d/b/a Discount-Domain.com and Onamae.com

3. 手続の経過

本件申立書は、2015年2月23日にWIPO仲裁調停センター(以下「センター」)へ提出された。センターは2015年2月24日にメールにより本件ドメイン名の登録確認を登録機関GMO Internet, Inc. d/b/a Discount-Domain.com and Onamae.comに要請した。2015年2月25日に同登録機関はメールによりセンターへ登録確認の返答をし、申立書に記載された被申立人および連絡先細目と異なる情報を当該ドメイン名の登録者として公開した。センターは申立人へ2015年2月26日に登録機関により公開されたドメイン名登録者および連絡先細目を通知した。それに伴い、申立人は申立書を訂正することができると案内された。申立人は申立書の補正書を2015年2月26日にセンターへ提出した。センターは訂正された申立書が統一ドメイン名紛争処理方針(以下「処理方針」)、統一ドメイン名紛争処理方針手続規則(以下、「手続規則」)およびWIPO統一ドメイン名紛争処理方針補則 (以下,「補則」)における方式要件を充足していることを確認した。

手続規則第2条(a)項および第4条(a)項に従い、センターは本件申立を被申立人に通知し、2015年3月5日に紛争処理手続が開始された。手続規則第5条(a)項に従い、答弁書の提出期限は2015年3月25日であった。被申立人は答弁書を提出しなかった。したがって、センターは被申立人の義務の不履行を2015年3月26日に通知した。

センターは、近藤惠嗣を単独のパネリストとして本件について2015年4月8日に指名した。紛争処理パネルは、同パネルが正当に構成されたことを確認した。手続規則第7条の要請に従い、紛争処理パネルはセンターへ承諾書および公平と独立に関する宣言を提出した。

規則11条によれば、本件紛争の手続言語は、当事者間で別段の合意または登録合意書に別段の定めがない限り、手続言語は登録合意書の言語とする、と定められている。本件ドメイン名の登録合意書の言語は日本語であるので、本件紛争の手続言語は日本語とする。

4. 背景となる事実

申立人は、たばこ製品を製造及び販売する事業者である。申立人は、米国において、2つのMARLBORO商標を有している。それらの登録日は、それぞれ、1908年4月14日、1972年7月25日である(付属書類C)。

5. 当事者の主張

A. 申立人

(1)本件ドメイン名が申立人の商標に混同を引き起こすほど類似していること

申立人は、紙巻たばこを製造及び販売する事業者であり、1883年以降、MARLBORO商標を使用した紙巻たばこを製造及び販売している。

申立人が幅広い広告活動を行った結果、MARLBORO商標は米国全土においてよく知られ、有名である。

本件ドメイン名は、商標全体を組み入れるものであり、実際の意味を持たないランダムな言葉である「babay」を単に追加しても、本件ドメイン名と申立人のMARLBORO商標を区別することにはならない。

「.biz」はジェネリックトップレベルドメイン名に過ぎない。

したがって、本件ドメイン名は申立人の商標に混同を引き起こすほど類似している。

(2)被申立人が本件ドメイン名に対して正当な利益も権利も持たないこと

被申立人は、申立人、その関連会社、またはMARLBORO商標の下で申立人が提供する多くの製品と一切関係がない。

被申立人は、「MARLBORO」を組み入れたいかなる名前または商品名でも、一切知られていなかった。

被申立人は、「MARLBORO」に関連する商標を得ておらず、申立人が知る限り、商標登録を得ようとしたこともない。

申立人は、被申立人に対して、いかなる方法であってもMARLBORO商標を使用する明示的・黙示的なライセンス又は権限を与えていない。

被申立人は、明らかに、インターネット使用者を申立人のウェブサイトに進ませず、被申立人のウェブサイトに訪問させようとしている。

現在、本件ドメイン名は休眠状態のウェブサイトに接続されているが、かかる被申立人の受動的保有には、ドメイン名に対するいかなる権利も正当な利益も無い。

したがって、被申立人は本件ドメイン名に対して正当な利益も権利も一切有していない。

(3)被申立人が本件ドメイン名を悪意で登録し使用していること

MARLBORO商標の名声に鑑みると、被申立人が申立人の権利を知らずに本件ドメイン名を登録したとは考えられない。本件ドメイン登録時に、単純なインターネット検索でも、たばこ商品においてMARLBORO商標の広範囲にわたる使用は明らかとなったはずである。

さらに、2014年12月12日付の書簡に対して被申立人が回答しなかったという事実は、さらなる悪意を示すものである。

また、身元隠しサービスの利用は、被申立人の悪意を示唆するものである。

したがって、本件ドメイン名は悪意で登録されたといえる。

MARLBORO商標を使用してインターネットユーザーを申立人のウェブサイトに進ませないという被申立人の侵害方法は、悪意での使用を示すものであることは決着済みである。

本件ドメイン名は、休眠状態のウェブサイトに接続されている。このような受動的保有は、悪意での使用を示すものである。

したがって、本件ドメイン名は悪意で使用されているといえる。

B. 被申立人

被申立人は、申立人の主張に対してなんら応答していない。

6. 審理および事実認定

(1)本件ドメイン名が申立人の商標に混同を引き起こすほど類似していること

申立人のMARLBORO商標は、遅くとも本件ドメイン名登録時には、世界中でよく知られ、有名となっていた。

本件ドメイン名は、MARLBORO商標全体を組み入れるものであり、意味を持たない「babay」を単に追加しても、本件ドメイン名と申立人のMARLBORO商標を区別することにはならない。

また、「.biz」はジェネリックトップレベルドメイン名に過ぎない。

したがって、本件ドメイン名は申立人の商標に混同を引き起こすほど類似しているといえる。

(2)被申立人が本件ドメイン名に対して正当な利益も権利も持たないこと

被申立人は、MARLBORO商標の使用について、申立人から一切許諾を得ていない。

また、被申立人は、「MARLBORO」を組み入れたいかなる名前または商品名でも一切知られていないし、「MARLBORO」に関連する商標登録を得ようとしたこともない。

現在、本件ドメイン名は休眠状態のウェブサイトに接続されている。このような受動的保有は、被申立人の正当な利益又は権利を基礎づけるものではない。

したがって、被申立人は本件ドメイン名に対して正当な利益も権利も一切有していないといえる。

(3)被申立人が本件ドメイン名を悪意で登録し使用していること

本件ドメイン名登録時、既に申立人のMARLBORO商標は世界中でよく知られ、有名であり、インターネット検索を行うだけで、たばこ商品においてMARLBORO商標が広範囲に使用されていることは明らかであった。

また、「MARLBORO」は通常の用語ではない。

そのような状況で、被申立人が申立人の権利を知らずに本件ドメイン名を登録したとは考えられない。

したがって、本件ドメイン名は悪意で登録されたといえる。

次に、被申立人は、本件ドメイン名を休眠状態のウェブサイトに接続している。このような使用方法は、転売目的や不正の利益を取得する目的などの積極的な悪意による使用を示すものではない。しかしながら、本件ドメイン名は申立人のMARLBORO商標と混同を引き起こすほど類似しているのであり、そのような本件ドメイン名のいかなる使用であっても、被申立人の公正な使用と考えることはできない。

したがって、本件ドメイン名は悪意で使用されているといえる。

7. 裁定

以上の理由により、処理方針第4条(i)項および手続規則第15条に従い、紛争処理パネルは当該ドメイン名 <babay-marlboro.biz>を申立人へ移転することを命じる。

近藤惠嗣
パネリスト
日付: 2015年4月23日