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Lijadu Sistersと著作権に裏打ちされた再発盤の力

著者: Habeeb Gobir氏 (ナイジェリアの弁理士)

2025/07/03

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ナイジェリアの音楽史には、William Onyeabor、Fela Kuti、そしてそのいとこであるLijadu Sistersといった、伝説的なアーティストが数多く存在しています。一卵性双生児のTaiwoとKehindeは1969年にデビューアルバムをリリースし、その後10年間にわたりナイジェリアのポップ (今で言うアフロポップ) の先駆者として活躍しました。しかし、キャリアの大半でロイヤリティを受け取れず、作品が無断使用される問題に直面していました。

Kehindeは2019年に亡くなりましたが、Taiwoは10年以上ぶりにレコードを再リリースすることでLijadu Sistersの遺産を受け継いでいます。草分け的なこの姉妹デュオの5枚のアルバムは、アーカイブレーベルNumero Groupによってビニール盤、CD、ストリーミングプラットフォームで再発 (リイシュー) されており、姉妹の功績が適切に評価されています。このコラボレーションは、間違いを正すだけでなく、著作権に裏打ちされたリマスタリングを通じて西アフリカのアーティストがどのように自らの遺産を保護できるかについての教訓も提供しています。

Lijadu Sistersの遺産と課題

Lijadu Sistersは、ナイジェリアのジュジュ、ヨルバ人の伝統音楽、ファンク、ディスコ、アフロビートを独自に融合させたスタイルで、1970年代に注目を集めました。アフロファンクやアフロポップとも呼ばれることもある彼女たちの音楽は、豊かなハーモニーと社会意識の高い歌詞が特徴で、ガーディアン紙は、「ねじれたポップと激しい政治の融合」と評しました。

姉妹の音楽はいまもなお影響力を持ち続けていますが、ナイジェリアには正式なロイヤリティ制度が存在しなかったため、適切な対価が支払われていませんでした。多くのレコードが本人たちの同意なく再発され、ロイヤリティが本人または遺産継承者に支払われることはほとんどありませんでした。これは当時の男性優位なナイジェリアのアフロビート業界ではよくあることでした。2024年の夏、Numero Groupによる適法かつエシカル (倫理的) な再発キャンペーンにより、この流れに転機が訪れました。

『Horizon Unlimited』の再発

このキャンペーンの第一弾として再発されたのが、1979年のアルバム『Horizon Unlimited』です。プレスリリースの中でTaiwoは、「『Horizon Unlimited』の再紹介で最もわくわくするのは、若い世代が私たちの音楽を気に入り、そのアップビートなテンポと、現代的かつ未来的な歌詞に驚いていることです」と語っています。また、当時彼女とKehindeがスタジオとバンドのセッション費用を自費で支払っていたことも付け加えています。これは当時としては珍しい取り決めでした。

Numero Groupとの契約は、より安全で透明性のある関係に基づいています。ロサンゼルス、シカゴ、ロンドンに拠点を持つこのアーカイブレーベル兼著作権管理会社は、再発を専門とし、希少な音源を新たな世代へ届けることに注力しています。同社は再リリース前にLijadu Sistersのカタログ全体の権利を取得し、ロイヤリティが正当な受益者に直接支払われるようにしました。また、オリジナル盤の録音の本質を損なうことなく、現代のリスナーに訴求するよう音源をリマスターしました。

Numero Groupはこの取り組みを「再発と補償が同等に重視された包括的な新パートナーシップ」と呼んでいます。同社の広報担当者は、「Lijadu Sistersの音楽を新しい世代に紹介できることに大きな喜びを感じています。彼女たちの物語と影響力は称賛に値します」と述べています。

Horizon Unlimited』には、ヒット曲「Come on Home」が収録されており、Numero Groupの復刻盤にはヨルバ語と英語の歌詞の書き起こし、そして修正されたクレジットが初めて付けられています。

Lijadu SistersのLPはストリーミングでも配信され、残る復刻盤も今後数年のうちにNumero Groupから発表される予定です。さらに、キャンペーン期間中に発掘された貴重な録音も再発されます。

ナイジェリアおよび西アフリカのアーティストへの教訓

Lijadu Sistersの再発キャンペーンの成功は、作品の保護と復刻を目指すナイジェリアおよび西アフリカのアーティストや音楽遺産の継承者にとって重要な教訓を示しています。

  1. 著作権の登録と監視: ナイジェリアのミュージシャンは、自分の作品をナイジェリア著作権委員会 (NCC) および国外でも作品を登録し、法的な認知を受けることができます。

  2. 再発前にライセンス契約を締結: ミュージシャンは、不正使用を防ぐために、再発前に明確なライセンス条件を取得する必要があります。

  3. ロイヤリティを追跡するテクノロジーの活用: ブロックチェーンやデジタル著作権管理 (DRM) などの技術により、著作権の追跡と公正な報酬の確保が可能です。

  4. エシカルなレーベルとの協業: 定評のある再発レーベルや著作権の専門家と協力することで、アーティストや継承者が正当な報酬を得られるようになります。

In the Courtsの記事は通常、現在の判例や判決について報告し、ディスカッションやコメントのためにタイムリーに配信されています。

ナイジェリアの知的財産の詳細については、WIPOナイジェリア事務所をご覧ください。

音楽関連の最新コンテンツについては、WIPOマガジンの特集号「音楽と知財」をご覧ください。