2032年のブリスベンオリンピック&パラリンピック競技大会が目前に迫るなか、オーストラリアはトレーニング場だけにとどまらず、あらゆる面で懸命に準備を進めています。同国は、選手たちを金メダル獲得に向けて鍛え上げるだけでなく、この機会を捉えて、自国のイメージを打ち出そうとしています。
Fiona de Jong氏は、オーストラリアが2032年オリンピック大会をブリスベンに招致するうえで重要な役割を果たしました。彼女は2004年から2016年までオーストラリアオリンピック委員会 (AOC) のスポーツ局長兼最高経営責任者として、計9カ国10回に及ぶオーストラリアへのオリンピック招致活動を主導し、これを成功に導きました。現在は、オーストラリアスポーツ研究所のヨーロッパ事業を統括し、同国が次の課題に備えるための取り組みを支援しています。
マドリードを拠点とするBloom Consultingは、2019年にオーストラリア貿易投資促進委員会と協力して、オーストラリアの国家ブランド戦略を策定しました。同社のCEOであるJosé Filipe Torresは、de Jong氏との対談で、グローバルな舞台でのストーリーテリング、知的財産 (IP) 戦略と国家ブランディングの関係、そして2032年のオリンピックに向けたオーストラリアの取り組みについて語っています。同社のパフォーマンス哲学とは何か。それは「健全な勝利 (Win Well) 」というものです。
あなたは法曹界でキャリアをスタートさせた後、スポーツ界のトップマネジメントや国家ブランディングの分野に活躍の場を広げられましたね。
私がトライアスロンという競技に出会ったのはロースクール在学中でした。それ以来、学生としての生活とオーストラリア代表選手としての活動の両立に奮闘する日々が続きました。その後、IT業界で知的財産弁護士として数年間法律実務に携わるなかで、法律とスポーツへの情熱を結びつけ、この二つの世界を融合させられないかと考えるようになりました。
根本的に、スポーツの本質はルールにあります。だからこそ、私の経歴には重要な意味がありました。地元のトライアスロンクラブでボランティアをやり始めてすぐに気づいたのは、ガバナンスやプロジェクト管理のスキルを通じて、大きな価値を提供できるのではないか、ということでした。
それがきっかけで、2004年にオーストラリアオリンピック委員会 (AOC) に迎えられ、その後12年間そこで働きました。そのうち9年間はスポーツ局長としてオーストラリアオリンピック代表チームの編成に携わり、残りの3年間はCEOとして組織運営を指揮しました。
計10カ所のオリンピック村で過ごした間、私は世界中の人々と交流する機会に恵まれ、そのおかげで世界がオーストラリアをどのように見ているかを理解することができました。CEO在任中にオーストラリアのオリンピック運動が持つブランドイメージを刷新したことが、オーストラリアの国家ブランディング事業に私が携わるきっかけとなったのです。
法曹界での経験から、スポーツにおいて他の人々が見落としていたかもしれない点について何か気づかれましたか。
オリンピック代表チームの編成において大きな部分を占めるのが、プロジェクト管理とガバナンスです。そのプロセスにおける重要なステップの一つが、代表チームの選抜です。スポーツ局長としての私の役割の根本的な役割の一つは、オリンピック代表チームの選考方針を明確かつ公平で透明性のあるものにすることでした。そうすることで、どの選手もオーストラリアのオリンピック代表チームに選ばれるために何をすべきかを理解できるようになるのです。
法的判例はすべて物語 (ストーリー) を語ることを基盤としており、適切な物語を適切な聴衆に伝える能力は国家ブランディングにおいて極めて重要です。
私が最も誇りに思っていることの一つは、そうしたプロセスを進化させ、明確化し、記録に残すために私たちが取り組んできたことです。また、選手たちが納得できない決定に対して異議申し立てができるよう法的手続が存在することも重要でした。オリンピック大会のスタートラインに立つのは、そこに立つにふさわしい人物でなければなりません。
ですから、法的な観点から、おそらく私がより明確に感じたのは、オリンピックの選考プロセスに正義と公平性の感覚を取り入れることの必要性でした。
国家ブランディングについてはいかがお考えですか。
国家ブランディングとは、言葉を巧みに使い、説得力のある形でビジョンを明確に伝えることが大きな部分を占めます。弁護士はまさにそのための訓練を受けています――言葉を巧みに使い、説得し、大量の情報を吸収し、それらを総合して判断を下すのです。
このスキルセットは国家ブランディングの文脈において重要です。なぜなら、世界が何を考え、何を語り、何を感じているかを把握し、それを世界が理解できるような首尾一貫した、明快な計画に落とし込む必要があるからです。
第二の要素はストーリーテリングです。法的判例はすべて物語 (ストーリー) を語ることを基盤としており、適切な物語を適切な聴衆に伝える能力は国家ブランディングにおいて極めて重要です。
国家ブランディングは、従来の知的財産権とは異なります。知的財産権の根本は、独自のアイデアを考案し、他者がそれを営利目的で利用しないようにすることにあります。一方、国家ブランディングの本質は、自国を他国と差別化する要素を特定し、それをできるだけ多くの人々に伝えるための首尾一貫した方法を見いだすことにあります。
スポーツにおける自国のイメージが、あまりにも狭く捉えられたり、特定のスポーツや人物に偏りすぎたりするのを、どうすれば防げるのでしょうか。知的財産戦略は、より一貫性のある国家の物語を形成するのに役立つのでしょうか。
個人と国家は切り離せないものだと思います。アスリートが不適切な行為をした場合、それが国のイメージを損なうリスクがあります。
たとえばオーストラリアでは、2018年にクリケットの試合で起こった サンドペーパー事件〔訳注 南アフリカで開催された同国代表とのテストマッチで、オーストラリア代表の選手たちが不正にボールの表面を削って軌道を変化させようとしたことが発覚した事件〕は、国のイメージを損なうものとなりました。なぜなら、その行為は、オーストラリア国民が大切にする価値観――スポーツマンシップ、公平性、ルールの遵守――に反するものだったからです。
だからこそ、知的財産の分野においては透明性が必要となります。代表チーム、個々の選手、そして商業パートナーが、自分たちの立場や権利、誰がいつどのような機会を活用できるかを正しく理解できるように権利や契約を明確に定めることが重要です。
近年私が目にしてきた大きな変化の一つは、特にソーシャルメディアの台頭に伴い、スポーツ関連資産における知的財産権の細分化が進んでいることです。かつては、放送局が主要なスポーツイベントに関連するすべての権利を一括して購入するのが普通でした。しかし現在では、それらの権利はインターネット配信権、テレビ放映権、ライブ中継権、ソーシャルメディア権といった具合に分割されるようになっています。
これにより、知的財産を取り巻く状況は劇的に変化し、組織はさまざまな観客や視聴者、プラットフォームに向けて首尾一貫した物語 (ナラティブ) を構築するための手段をより多く持てるようになっています。
代表チームや選手たちは、国の象徴的存在として捉えられることがしばしばあります。知的財産の観点から見て、代表チームの中核となる資産とは何でしょうか。
興味深い質問ですね。私がAOCのCEOを務めていた時期、オーストラリアのオリンピック関連資産が持つブランドイメージの刷新 (リブランディング) に取り組んだ際、まさにその問いに答えなければならなかったのです。
オーストラリアのオリンピック関連資産が持つブランドイメージの刷新 (リブランディング) に取り組む際に課題となったのは、ブランドを時代に合わせ、若者にとって親しみやすいものにすることでした。
これは軽々しく扱うべきものではありません。国のオリンピック代表チームには長い歴史があるからです。そのため、私たちは過去への敬意を忘れずに、同時にブランドを最新化し、現代風にアレンジし、シンプルにする必要がありました。
私たちは自問しました。「オーストラリアのオリンピックブランドは、何を象徴すべきなのか」と。
では、オリンピック選手たちが持つ、他の誰とも異なる特徴とは何でしょうか。
私たちの調査により、いくつかの共通点が明らかになりました。まず第一に、私たちオーストラリア人が「マイトシップ (mateship、仲間意識)」と呼ぶものがあります。オリンピックチームの一員であるということは、個人としての自分の存在や個人の成績をはるかに超えた意味を持ちます。「マイトシップ」の精神は、「卓越性」と同様に、オリンピック運動の根幹をなすものです。並みの実力では通用しません。オリンピック選手として、選手一人ひとりが「一流中の一流」であり、その選り抜かれた存在こそが、オリンピックをこれほど特別なものにしている一因なのですから。
さらに、リスペクトも重要です――ルールの尊重、互いへの敬意、権威への畏敬――そして「スポーツマンシップ」です。多くの場合、観客の心を最も強く揺さぶるのは、スポーツマンシップが光る瞬間です。たとえば、マラソンのラスト数キロの地点で、エチオピアとケニアのランナーが給水を分け合うような場面です。
オーストラリアのオリンピック関連資産が持つブランドイメージの刷新 (リブランディング) に取り組む際に課題となったのは、過去を尊重し、ブランドを時代に合わせ、オーストラリアで育つ若者たちにとって意義のあるものにしつつ、「マイトシップ」「卓越性」「スポーツマンシップ」をどう表現するかという点でした。
その結果として生まれたのが、時の試練に耐えうる、活気に満ちた力強いブランディング構造でした。10年以上前に私たちが刷新した色やシンボルが、2026年のミラノ・コルティナオリンピックで力強く鮮やかに輝いているのを目にしたときは、なんとも誇らしい瞬間でした。
オーストラリアのスポーツガバナンスに、どのようにして戦略的思考を取り入れたのですか。
人々はスポーツといえば競技場での激しい競争を思い浮かべるでしょうが、競技場の外では多くの協力が行われています。私は他のスポーツ団体の仕組みを参考にしながら、そこから学べるものを検討したうえで、オーストラリアの実情に合わせてそれを取り入れていきたいと考えています。
1976年のモントリオールオリンピックで金メダルを1つも獲得できなかったことを受け、オーストラリアは1981年、トップアスリートを集中的に育成するスポーツトレーニング施設をいち早く設立した国の一つとなりました。それが「オーストラリアスポーツ研究所 (AIS) 」です。その後、2024年パリオリンピックで、オーストラリアは過去最多となる18個の金メダルを獲得しました。
1981年以来、多くの国が同様の機関を設立しています。他の国々は、トップアスリートを集中的に育成する拠点というわが国のアイデアを模倣したのかと言えば、もちろん、その通りです。では、私たちの国も長年にわたり、他のスポーツ強国からコンセプトを取り入れてきたのかと言えば、もちろん、その通りです。
ただし、そうしたアイデアは、自国のスポーツ制度、政策、文化的慣行の長所と短所を考慮したうえで適応させることが重要です。
インスピレーションを得たり、アイデアを共有したりすることは重要ですが、他国のアプローチをむやみに真似たところで、うまくいく可能性は低いでしょう。
なにか例を挙げていただけますか。
具体的な例として、各国がオリンピック代表チームをどのように準備しているかという点が挙げられます。オリンピックは4年に一度開催され、同じ形式でありながら開催都市が変わり、条件や課題もそれぞれ異なっています。したがって、国内オリンピック委員会としては、毎回新たなオリンピック大会の環境に適応していく必要があります。
たとえば2026年ミラノ・コルティナ冬季大会の場合、オーストラリアにとって不利だったのは、ヨーロッパが冬である時期にオーストラリアは夏であるという点でした。そのため、オーストラリアの選手たちは大会に先立ち、予選や競技会に参加するために、何カ月も故郷を離れて過ごさなければなりませんでした。
ただし、オーストラリアの競争上の強みは、遠く離れた地、イタリアにあるオーストラリアスポーツ研究所 (AIS) の欧州拠点に「第二の故郷」とも言える環境をつくりあげたことにあります。
イタリアには年間を通じて現地スタッフやイタリア語ネイティブのスタッフがいたため、競技会場の近くでありながらオリンピック村の外にある宿泊施設やハイパフォーマンス施設を確保することができました。
私たちはヨーロッパに拠点を持ち、現地の言語を話し、地元の事情にも精通していたため、オリンピック特有の高いプレッシャーのかかる環境ではなく、ワールドカップのようなパフォーマンスを支える環境を構築することができたのです。
2030年にフランスのアルプス地域で開催される予定のオリンピックでは、異なる戦略が必要になるでしょう。各大会において鍵となるのは、競争上の強みを生み出す要因が何であるかを見極めることです。つまり、過去に成功した決断と今後進化させるべき点を理解することです。解決すべき課題が国ごとに異なるため、同じアプローチをとる国は二つとありません。
チームブランドや選手の肖像権を、その真正性 (本物であること) を失わずに守るにはどうすればよいのでしょうか。また、個人の肖像権と国の代表者としての役割との間で、どのような対立が生じるのでしょうか。
それは、AOCのCEOとして私が担っていた役割の一つでした。国内オリンピック委員会として、私たちは基本的に2年に1度、夏季と冬季のオリンピック開催期間である4週間分の権利のみを代表チームに販売しています。
私たちのブランドを活用できる実質的な機会は、その短い期間に限定されているため、商業モデルを機能させるためには、強固な知的財産の枠組みと強力なブランドが必要になります。
AOCとそのスポンサーは、大会期間中、選手の肖像を使用する独占的権利を有しています。それ以外の期間については、選手本人が自身の権利を売却し、自身の肖像を管理することができます。
このモデルは近年、特にソーシャルメディアの台頭に伴い、批判の的となっています。しかし、期間が極めて短いことから、法的な枠組み上は許容されるとされています――個人の商取引を不当に制限しているわけではないからです。
選手は大会と大会の合間に、より個人的なストーリーを語ることができますが、代表チームは集団としてのストーリーを通じて人々の一体感を醸成します。
市場にはさまざまなブランドが共存する余地があると考えています。オリンピック代表チームのスポンサーは、多くの場合、国内外のターゲット層とのつながりを求める大手多国籍企業ですが、個々の選手には、その選手のパーソナリティやファン層とより密接に連携したいと考える、小規模で機動性の高いブランドがスポンサーとなる場合もあります。
2032年ブリスベン大会には、どのように関わっていらっしゃるのですか。
私はブリスベン出身で、そこは私の故郷なんです。オリンピックの開催を機に、世界中の人々をブリスベンに迎えることは、私にとって「原点回帰」のような瞬間となるでしょう。
私はこれまでずっとオーストラリアで暮らしてきましたが、2023年にオーストラリアスポーツ研究所 (AIS) 欧州トレーニングセンターの責任者としてイタリアに移りました。
過去3年間、欧州で2大会連続のオリンピックが開催されるなかで、このセンターの運営に携わることができたのは大変光栄でした。また、この経験を通じて、欧州諸国のハイパフォーマンススポーツシステムについてさらに深く学ぶことができ、オーストラリアのスポーツシステムの強みをアピールしながら、日々スポーツ外交を実践することもできました。
ヨーロッパでの生活経験を通じて、私は今や世界の国々がオーストラリアをどのように見ているかをより深く理解できるようになりました。各国が2032年ブリスベンオリンピック&パラリンピックに向けて準備を進めるにあたり、私はその基本的な事項についてアドバイスを提供できると考えています。
たとえば、オーストラリア人にとってはごく普通のことである24時間の移動も、ヨーロッパ人にとっては普通ではありません。私は、各国の代表チームがハイパフォーマンストレーニングや大会前の合宿の重要な計画を立てる際に、彼らをオーストラリアの適切な担当者とつなぐお手伝いができます。
最近、フランス代表チームの関係者が、選手たちのトレーニング施設を探すため、最初の視察としてオーストラリアを訪れました。ブリスベン出身の私としては、彼らのオーストラリア滞在がここから実りあるものになることを願っています。
私の仕事のもう一つの役割は、2024年のパリ大会や2026年のミラノ・コルティナ大会で優れたサービスを提供した実績があり、その知見を活かして2032年のブリスベン大会を支援したいと考えている企業間の橋渡しをすることです。
「ブリスベン2032戦略」について教えていただけますか。
「2032年戦略」という10カ年計画が始まってから2年が経過しました。このハイパフォーマンス戦略の中核にあるのが、「健全な勝利 (Win Well) 」という理念です。
多くのメダルを獲得したいのはもちろんですが、それだけでなく、その過程を大切にしたいと考えています。私たちは選手一人ひとりのウェルビーイング (心身ともに健やかな状態) を重視しています。この哲学の根底にあるのは、持続可能な形で高いパフォーマンスを発揮できれば、結果も自然とついてくるという考え方です。
この考え方は、たとえば、ブランディングやコミュニケーションの一環として、「健全な勝利」というスローガンをどう保護し、戦略的に活用するかという点において、知的財産の役割にも及ぶ可能性があります。
オリンピックがもたらす経済効果は、閉会式の時点では判断できません。それは10年後に判断されることになるでしょう。
この理念は、ハイパフォーマンスな環境において女性のニーズが確実に満たされるよう、女性への平等な機会の提供をはじめ、パーソナルブランディングや肖像権といった分野における指導など、いくつかの熟慮を伴う政策やプログラムの策定にも影響を与えています。
今や、あらゆる国や都市が、大型スポーツイベントがもたらす長期的な経済効果をより強く意識するようになっています。国際オリンピック委員会 (IOC) も、それを反映したより持続可能なモデルを導入するべく、開催都市の選定基準を変更しました。もはや、オリンピック開催に必要なあらゆるものを一つの都市に負担させる時代ではありません。
(写真:Getty Images/Ampueroleonardo)
ブリスベン大会についてもそのことが言えます。2032年の夏季オリンピックは、今後10年間にわたりクイーンズランド州南東部が人口流入を維持するために必要なインフラ整備を加速させるための好機となります。
この大会が、10年にわたる準備期間を超えて、ブリスベンとクイーンズランドにとってより良い状態を残すことが重要です。オリンピックがもたらす経済効果は、閉会式の時点では判断できません。それは10年後に判断されることになるでしょう。
2019年に私たちが協力して活動した当時、オーストラリアは、国家ブランドを経済的価値創出資産として活用する先駆的な国の一つでした。2023年、オーストラリアは国家ブランドや地域ブランドの影響に関する私たちの調査に参加しました。スポーツ戦略は、国家のブランドや経済にどのように貢献していると思われますか。
スポーツは、世界の人々がオーストラリアと出会うための架け橋です。オーストラリアはまだ多くの点で国際的な認知度があまり高くありませんが、スポーツでの成功については広く知られています。それは、競技場の外での私たちの姿について語る機会を与えてくれます。
こうしてスポーツは国家ブランディングに役立つものとなります。つまり、より幅広い経済的価値や評判的価値への扉を開くことになるのです。
国家ブランディングの取り組みから私が学んだ最も大切なことの一つは、解決すべき課題は国ごとに異なるということです。オーストラリアには、親しみやすさや好感度の面で特に問題はありません。ほとんどの人がオーストラリアに対してかなり肯定的な印象を持ってくれています。私たちが抱えているのは、「つながり」の問題です。
人々はオーストラリアを単なる観光地としてしか捉えていない傾向があります。しかし、経済を成長させたいのであれば、世界中のもっと多くの人々にオーストラリアの製品やサービスを購入してもらわなければなりません。そのためには、人々にオーストラリアの持つ強みを知ってもらう必要があるのです。
私たちにとって、スポーツとは単に競技場で良い成績を収めることだけではありません。スポーツテクノロジー、スポーツ医学、スポーツ科学、そして選手たちのスポーツパフォーマンスを支えるシステムや専門知識についての物語を伝えることも重要です。スポーツは、より広範な経済的価値や評判的価値への扉を開くことで、国家ブランディングに役立つものとなります。
2032年ブリスベン大会が目前に迫るなか、その機会はさらに大きくなってきています。世界がオーストラリアに注目するきっかけとなり、私たちはこの舞台を活用して、スポーツのパフォーマンスだけでなく、その背後にある技術、会場に関連する持続可能性への取り組み、ガバナンス体制、そして大会運営に関する基準についても発信することができるのです。
大会に向けての準備は、競技場で起こる出来事と同じくらい重要です。
著者について
José Filipe Torres氏は、国家・都市ブランディングの専門家、コンサルタント、広報担当者。2003年に設立され、スペインのマドリードに拠点を置く、国家・都市ブランディング専門のグローバル企業Bloom ConsultingのCEO兼創業者。