PCTニュースレター 12/2023: 実務アドバイス
注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。
PCT出願をXML形式で行うメリット
Q: 当方は通常、新規PCT出願の明細書、請求の範囲と図面をMSワードで作成し、文書をpdf形式に変換して出願しています。ePCTではファイル変換ツールが利用でき、DOCX形式からXML形式に変換可能であることに気が付きました。この変換にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
A: PCT出願は、ePCTを利用してPDF形式又はXML形式により行うことができます。出願人や弁理士の皆様は、MSワード又はその他のワープロソフトを使用して出願を作成し、DOCX形式で保存した後、出願をPDF形式かXML形式に変換することができます。しかし、明細書、請求の範囲と要約がXML形式で提供される場合には、出願のそれらの部分はテキストベース形式になるため、出願人は大幅な手数料減額を受けることができます。手数料減額 (PCT手数料表の表I(a) に記載されている各受理官庁名の横に記載) は、XML形式による提出を奨励するものであり、国際事務局 (IB) が全ての特許出願のデジタル化された記録を作成したり、PCT出願の表示や正確な公開を行うための品質を強化したり、コンピュータによるフルテキスト検索用の機械可読データベースを作成できるようにする目的があります。
さらに、XML形式の出願では、レイアウトルールのほとんどがスタイルシートによって処理され、そこから公開用の閲覧版が作成されるため、方式上の欠陥が発生するリスクが低くなります。
PDF文書にはテキストベースと画像ベースがあります。ワード文書をスキャンしてPDFを作成すると画像ベースのPDFとなり、それではPCT実施細則の附属書Fに準拠しないことになります。
WIPOは出願人を支援するため、ePCTの機能の一部として、ファイル変換用と検証用のオンラインツールを開発しました。これらのツールのスタンドアロン版もご利用いただけます。
https://pct.wipo.int/ePCTExternal/pages/documentConversion.xhtml
"Application Body Converter" と呼ばれるツールは、特にDOCX形式からXML形式へのファイル変換用のスタンドアロンツールであり、以下のリンクからご利用いただけます。
https://pct.wipo.int/DocConverter/pages/home.xhtml
上述したウェブページ上で "Upload and Convert" ボタンを使用してDOCX文書をアップロードすると、システムがその文書を附属書Fに準拠した出願本体のXML形式に変換します。変換結果には以下が含まれます。
- 出願本体のXMLファイル (画像を含む)、
- 出願本体のPDF形式 (XMLから生成)、
- 出願本体のHTMLファイル (画像を含む)、
- クリーンなDOCXファイル (認識されなかったコンテンツが削除された文書) - このクリーンなDOCXをエディタで使用し、認識されたコンテンツをオリジナルと比較して、必要に応じて文書を修正し、必要であれば再度アップロード可能、及び
- 変換された後の出力状態のレポート。
DOCXファイルから変換されたXML文書は、アップロード中にePCTによって提示されるため、その文書を閲覧し、確認することが可能です。
出願本体のサンプルやテンプレート (ひな型)は、PCT 10公開言語でご利用いただけます。出願準備の際にePCTの書類セクションで簡単に見ることができ、以下のウェブページからもご利用いただけます。
https://pct.wipo.int/DocConverter/pages/sampleFiles.xhtml
https://pct.wipo.int/DocConverter/pages/templateFiles.xhtml
また、簡潔なユーザガイドとDOCXに関するウェビナーの録画 (英語のみ) もご参照下さい。
ファイル変換中に意図していないデータの変更が生じるリスクが認識されていることを考慮して、PCT実施細則の第706号は、該当する受理官庁が許可する場合には、出願時の「変換前」文書の提出を明確に認めています。これにより、提出された国際出願と変換前文書のコンテンツとを一致させる目的で、意図していない変更を訂正する機会が提供されています。
DOCX出願については、オリジナルのDOCX版は自動的に変換前文書として考慮されることにご留意下さい。そのため、DOCX版を変換前ファイルとして添付する必要はありません。
テキストベース形式による国際出願の提出は、紙による出願(推奨されるものではありません)よりも多くのメリットがあります。PCT出願が紙形式で提出される場合には、PDFにスキャンされ、書誌データは手入力されます。このような出願は、画像ベースのPDF出願と共に、機械可読形式に変換される必要があります。IBは光学式文字認識 (OCR) サービスを利用して、スキャンされた文書から入力、手書き、又は印刷されたテキストの画像を抽出し、機械でエンコードされたテキストに再利用します。しかしながら、OCRには技術的な限界があり、特に複雑なフォントや手書きのフォントを扱う場合には、必ずしも100%の精度が得られるとは限りません。そのため、OCRサービスでは誤認識や潜在的な不正確さが生じる可能性があります。
以上のことからPCT出願書類は、DOCXファイルからの変換によるXML形式での提出を強くお勧めします。そうすることにより出願人は、手数料減額とXML形式の技術的な有利性の両方からメリットを得ることができます。