注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

国際段階での図面の補正

Q: 当方は時間的な制約からPCT出願と共に「非公式」図面を提出し、後から品質の良い図面を提出することがあります。国際段階で図面の補正を要求されることがある一方で、他の同様の状況では提出された図面のままで公開されるのはなぜなのか説明していただけますか?

A: PCT出願は、PCT規則11に記載されている様式上の要件に準拠すべきであり、PCT出願人の手引に詳細な説明が記載されています (図面に関する要件の詳細は5.128項から5.163項をご参照下さい (訳者追記: /pct/guide/ja/gdvol1/pdf/gdvol1.pdf#page=38 (日本語))。PCT第27条(1) は「国内法令は、国際出願が、その形式又は内容について、この条約及び規則に定める要件と異なる要件又はこれに追加する要件を満たすことを要求してはならない」と規定している通り、国際段階において様式上の要件が準拠されている限り、当該国際出願が国内段階移行する際にはその形式のまま受理されるべきです。

PCT規則26.3は「受理官庁は、国際出願が国際公開の言語で行われた場合には、(i) 国際出願について、第十一規則に定める様式上の要件が、国際公開が適度に均一なものであるために必要な程度にまで満たされているかいないかのみを点検すること」と規定している通り、国際段階において、管轄受理官庁や国際事務局 (IB) は、国際出願について、PCT規則11の様式上の要件が、国際公開が適度に均一なものであるために必要な程度にまで準拠しているかを点検することが求められています。また、PCT規則26.3の2も同様に「受理官庁は、第十一規則に定める様式上の要件が、26.3の規定によって必要とされる程度にまで満たされている場合には、同規則の規定に基づく欠陥の補充をするよう第十四条 (1)(b) に規定する求めを発出することを要しない」と規定しています。

これを受け、受理官庁やIBの方式審査官は「適度に均一な国際公開」の基準を適用する職務を担っています。各国の実務の多様性や特定のケースにおける個人的な判断の相違を考慮すると、当然ながら別々の官庁で異なる決定がなされる可能性があります。PCT出願を公開するIBは、この基準ができる限り一様に適用されるように均一性と妥当性のバランスを図る必要があります。そのためIB自体が国際公開のための技術的準備の期間中に特定の補正を行うことがあります。

いずれにしても、PCT規則11の要件に最大限可能な程度まで準拠することが出願人にとって利益となる点にご留意下さい。PCT規則11に準拠していない場合には、国内段階において指定官庁は合法的に新しい図面を要求することができます。

また、後から図面を補正するよりも、出願する際に品質の良い図面を提出する方が出願人にとって得策となる点もご留意下さい。それは、図面の差替えが行われた場合、特に「非公式」図面を公式図面と差し替える場合に、差替え図面がPCT規則26の下での補正として認められるのか、或いは公式図面に追加事項が含まれたのか、方式審査官が判断しかねるリスクがあるためです。そのため手続に遅れが生じ、意図した補正の結果が不透明になる可能性があります。

覚えておいていただきたい重要な点は、国際段階において出願の特定の様式上の欠陥の補正を要求されなかったとしても、出願人が補正したい欠陥があれば、2組の図面の相違について注意を喚起し、出願人は自発的に差替え用紙を提出できることです (PCT規則26.4参照)。ただし、この差替え用紙には、出願時のテキストや図面の内容への追加や修正があってはならず、様式面に限り補正が可能です。差替え用紙は、受理官庁により点検と承認が行われ、国際公開のための技術的準備が完了する前にIBに転送されるよう十分な時間を確保するため、できる限り早く受理官庁に提出されるようお勧めします。

詳細については、過去のPCTニュースレターに掲載された「実務アドバイス」をご参照下さい:

2005年1月号: 図面の欠陥の補正

2007年6月号: 欠陥の補充の求めがされていない場合における、差替え図面の提出

2016年3月号: PCT 規則に規定された様式上の要件がどの程度満たされるべきか、またそのような要件が満たされているかどうか点検する方法における不一致の可能性

2019年5月号: 国際出願時に非公式図面を提出することから推測可能な結果