注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

特に署名権者ではない者によるEPCTを利用した国際出願の提出及び管理

Q: オーストラリアに拠点を置く企業出願人(オーストラリアに居住で国籍を有する)を代理して国際出願を提出する予定です。当方は当該企業が子会社を持つシンガポールに拠点を置く特許弁理士で、発明者は他の様々な国に居住しており、受理官庁としての国際事務局(RO/IB)へ出願する予定でおります。当方はオーストラリア特許庁に対し代理人として行動する資格がないため、PCT規則83.1の2に従い、RO/IBに対し代理人として出願人のために行動できない可能性があり、当方を"通知のためのあて名"として記載する必要があります。

先月号のPCT Newsletterで公表されたように、ePCTは新しくデザインされ、さらなる機能を提供しています。私どもは発明の新規性に関して疑念があり、国際調査の結果が否定的であれば公開を回避するため出願の取下げを決定する可能性があることも念頭に置いていますが、ePCTの最善の利用法についてアドバイスいただけますでしょうか?

A: RO/IBは、出願人にRO/IBに対して行動する代理人の選任は求めていません。通知のためのあて名はどのような場所でも可能であり、出願人の国籍や居住国に関連づける必要はありません。PCT規則4.4(d)に基づき貴殿が通知のためのあて名として記載されている場合には、全ての通知を受け取るでしょう。そう記載されていない場合には、国際段階での国際出願に関する通知は出願人又は代理人へ送付されます。ただし、代理人とは異なり、出願人を代理して署名をすることができず、国際段階でのいずれの提出書類も出願人による署名が必要となります。

ePCTを利用して出願するには、まだそうされていない場合、最初のステップはユーザネームとパスワードを用いてWIPOのオンラインサービスへサインインするためのWIPOアカウントを作成することです。ただし、新規国際出願の作成と提出を含む、機密データへのアクセスを伴うePCTの機能をご利用いただくためには、WIPOアカウントのために少なくとも一つの高度な認証方法も設定する必要があります。つまり、貴殿のユーザネームとパスワードを用いてePCTへサインインする際、追加の本人確認のステップが貴殿の身元を確かめるために要求されます。従来は、この2つの要素による認証は、インターネットブラウザにインストールされ貴殿のWIPOアカウントへアップロードされた電子証明書又はスマートカードの利用により行われていました。しかし、ePCTが新しいデザインになってからは、電子証明書と比べより効率的な代替手段として、追加の高度な認証方法としてのワンタイムパスワードがご利用いただけるようになりました。簡単な設定プロセスで、貴殿のWIPOアカウントとワンタイムパスワードを生成する携帯デバイスにインストールされたアプリケーション(Google認証システムなど)を同期させることが可能です。またテキストメッセージ(SMS)を介してワンタイムパスワードを受け取るために携帯電話番号を登録することもできます。

それぞれのWIPOアカウントは一人の者、つまりアカウントの所有者のみが使用すべきである点にご留意ください。サインインするための詳細は安全に保管し、共有されるべきではありません。国際出願にアクセスする必要のある他の者はそれぞれ別のアカウントを作成し、それぞれ高度な認証方法を設定すべきです。

2つの要素による高度認証を用いてePCTへサインインする際、デフォルトの開始ページは"ワークベンチ"で、そのページから"新規国際出願"を選択することにより新しい国際出願を作成することができます。書誌データを入力 しePCTで書類を添付すると、常に最新の参照データを保有するIBのライブデータベースと照合して即時に確認が行われます。

通常、特許部門又は弁理士事務所の複数の者が、内部の作業分担や担当者の不在の場合に応じて、特定の作業を遂行するために国際出願への完全なアクセス権が必要となります。新しい国際出願を作成する場合、自動的に"eOwner"レベルの出願へのアクセス権が付与されます。つまり、出願前を含め、他のWIPOアカウント所有者へアクセス権を事後的に付与することが可能になります。他の者へアクセス権を付与する場合は、その者が関連する機密データを閲覧し、及び/又は管理する権限があり、またその権限を継続的に有しているということを確実にすることは貴殿の責任であることにご留意ください。

国際出願へのアクセス権は3つのレベル、すなわち完全なアクセス(eOwner)、eEditor及びeViewerのうちの1つになります(詳細はサポート資料をご参照ください)。

貴殿の氏名と住所を入力 入力 する際、代理人ではなく、"通知のためのあて名"のオプションを選択すべきです。全ての関連データの入力 入力 を完了し、必要な書類を添付した時点で、新規国際出願のドラフト版を保存し、出願人、すなわちオーストラリアの企業出願人の権限ある職員へ完全なアクセス権を付与することができます。それにより出願人は出願データのドラフトを即時に確認し署名をすることが可能です。署名はテキスト文字列(英数字)の署名若しくはイメージ(複写)による署名が添付可能です。権限ある署名権者のフルネームと企業内での立場を記載する必須の欄が署名欄にあります。

上述したように、貴殿がeOwnerであり、通知のためのあて名(代理人とは異なる)としての資格において、ePCTでの出願への完全なアクセス権を有していても、出願に署名をする権限はありません。出願人(企業出願人の権限ある職員)のみが署名をすることができ、貴殿の氏名は署名欄に記載されるべきではありません。ePCTにおいては、出願人や権限を付与された代理人の氏名のみが、署名欄に記載されている氏名のドロップダウンリストから選択可能です。

同様に、規則4.17(iv)に基づく発明者である旨の申立てをePCTを利用して作成する場合、貴殿は共同発明者へeEditorとしてのアクセス権を付与することができます。そうすることで、彼らが申立てのドラフトにアクセスや署名ができ、異なる国やタイムゾーンに在住している者の署名を取得することが容易になります。出願人や発明者が署名をした後は、彼らのアクセス権をeViewerのみへ引き下げたり、アクセス権そのものを削除するオプションがあります。

貴殿はRO/IBへ国際出願を提出することを予定しているため、"クレジットカード"か"WIPO当座預金"どちらかの支払方法を記載することで、出願時にオンラインで出願手数料を支払い可能な利点があります。あるいは、出願後にePCTへサインインして"オンライン支払"のアクション機能(アクション機能に関する詳細は以下をご参照ください)を利用してオンラインで手数料を支払うことも当然可能です。

出願後に、国際調査の結果の受理を注意深く監視し、公開を回避するために出願を取下げるかどうかを期限内に決定する判断をすることが重要です。国際公開を回避するためには、出願は通常、実際の公開日の15日前になる、公開の技術的な準備の完了前に取下げられなくてはなりません。

ePCTを介して、予定されている公開日(変更の可能性あり)を閲覧したり監視したりすることが可能であり、デフォルトの設定では、公開の技術的な準備の完了の2週間前にEメールによる通知によってリマインドされるでしょう。またIBが国際調査報告書や見解書を含む出願に関する新しい書類を処理する度に通知も受けるでしょう。eOwnerとしての貴殿とeEditor又はeViewerのアクセス権をもつ者は、ePCTファイルの書類についてオンラインで協議をすることも可能です。従来の方法でISAから原本を受取る前に、オンラインでの協議が可能な場合もあります。

出願の取下げを決定した場合、ePCTでのオンライン"アクション"機能のご利用を強くお勧めいたします。"アクション"機能の項目が自動的に分類されることで、IBでの確認や処理が簡素化されるためです。出願を開くと、"アクション"機能と呼ばれるセクションがご覧いただけます。当該機能は書類のドラフトやアップロードの代替手段として、さまざまなオンライン"アクション"機能での書類の作成や提出を可能にします。IBで保管されている書誌データが、各"アクション"機能を利用する際に自動的に記録されるため、時間を節約しエラーを回避できます。

上述したように、署名に関する要件を満たすため、"国際出願の取下げ"手続のドラフトを保存し、署名ができるようにオーストラリアの出願人の署名権者へ完全なアクセス権を再度付与することができます(以前のアクセス権が削除されていた又はeViewerのみへ引き下げられていた場合)。当該アクションの実施後、提出された書類はIB保管記録として"書類"欄に表示され、IBの電子処理システムで即時に利用可能になります。国際出願を取下げるための"アクション"手続が、国際公開の技術的な準備の完了前にePCTを介してオンラインで提出され次第、IBが当該要請を処理するまでの間は国際出願が公開されないという有益な点にご留意ください。重要な比較として、取下げの通知を郵送又はファックスのいずれかで送付する場合、当該通知が受理、スキャン、処理のため保留になっている間に、出願が公開されるリスクがあります。

さらなる詳細、ePCTサポート資料及びよくある質問は、下記のPCTホームページの"サポート"リンクからご覧いただけます。

https://pct.wipo.int

ePCTにおけるアクセス権の付与や管理に関する詳細は、PCT Newsletterの以下の号に掲載された"実務アドバイス"をご覧ください。

2016年6月号:ePCTを利用したPCT規則92の2に基づく変更の記録要請:国際出願へのアクセスが停止される場合、及びどのアクセスがどの程度遮断されるのか
2015年11月号:ePCT-Filing(ePCT出願)を利用して国際出願を提出する際の代理人による出願人へのeViewerアクセス権の付与
2012年4月号:代理人の変更がある場合のePCTでのアクセス権の変更