マドリッド同盟総会が歴史的な決定を行う

2016/10/26

今月初旬、マドリッド同盟総会第50回会合がジュネーブで開催され、マドリッド協定への加盟を凍結するという画期的な決定が行われました。また、利用者と官庁双方の利益に資するよう、報告書や提案の検討、共通規則の改正に関する採択も行われました。

マドリッド協定への加盟を凍結する決定

2015年10月に、マドリッド協定のみに加盟していた最後の国であるアルジェリアPDF, Algeria's accessionマドリッド議定書の加盟国となったことにより、マドリッド制度は事実上単一の条約体制となりました。

この節目となる加盟を受けて、マドリッド同盟総会(総会)は、マドリッド協定第14条(1)及び(2)(a)PDF, Agreement の適用を停止する歴史的な決定を行い、いずれの国もマドリッド協定のみに加盟することを禁じました。今後は、単一の規則がマドリッド制度の全加盟国及び利用者に適用されます。

1989年6月のマドリッド議定書の採択以来、この単一の条約体制への移行が進められてきました。今般、マドリッド協定のみへの加盟が正式に停止されたことから、すべての締約国及び利用者は、本国官庁(住所、国籍又は工業上若しくは商業上の営業所に基づく)の選択の自由、基礎出願/基礎登録の効果の終了により取り消された国際登録の変更、10年の更新期間、事後指定や変更の記録の申請をWIPOに直接提出することなど、マドリッド議定書の独自の特徴や柔軟性について恩恵を受けることができるようになりました。その他についてはこちらPDF, Madrid Highlights

共通規則の改正

作業部会の勧告を受けて、総会では共通規則に対する多くの改正案も採択されました。改正の一部は2017年7月1日に、他の部分は2017年11月1日に施行され、残りの部分は2019年2月1日に施行されます。改正事項は次の3つのカテゴリーに分類することができます。

1. 名義人の利益を目的とする改正

利用者及び加盟国の要請を受けて、第25規則(1)(a)(iv)が改正され、名義人は自己の国籍、法人の法的性質及びその法人が設立された国名に関する変更を申請できるようになりました。この変更は、前述の部分のみでも、あるいは名義人の名称又は住所の変更と同時でも、行うことができます。

新設される第27規則の2の採択により、名義人は個々の締約国(当該官庁が認める場合)に対し国際登録の分割を請求できるようになります。これは、分割をすることで、暫定的拒絶通報の際に、拒絶を受けていない指定商品及び指定役務に関する保護のプロセスを進める点で有用であり、最終的には、時間効率と費用効率の高いプロセスをもたらします。

また、本国官庁が基礎出願/基礎登録の効果の終了に関する「暫定的」通報を発行し、最終の決定がなされた場合には、当該官庁はその決定内容についても通報することが要求されます。これにより、名義人は自身の標章のステータス情報を継続的に得ることが容易になります(第22規則)。

2. 指定締約国官庁の支援を目的とする改正

共通規則第3規則、第25規則、第32規則の改正により、WIPOは、WIPOに対する代理人の選任、変更又は代理人の辞任を官庁に通報することになります。また、第18規則の3(4)の改正により、官庁は、国際登録の保護範囲に係るさらなる決定をWIPOに通報しやすくなります。

さらに、官庁が国内法の規定により、当該国の宛先住所を有さない名義人への通信ができない場合、新たに新設される第23規則の2により、当該官庁はWIPOを通じて当該名義人に当該通信を送付することができるようになります。

3. WIPOの役割を明確にするための改正

第12規則、第25規則、第26規則、第27規則の改正により、国際商標出願に包含されている限定(limitation)及び国際登録への限定(limitation)に関するWIPOの審査水準がより明確になります。

なお、基礎出願/基礎登録の効果の終了により国際登録が取り消される場合には、WIPOは、一部移転、分割又は併合の結果生じた国際登録についても(適用可能な範囲内で)取り消しを行うことになります(第22規則)。

マドリッド制度に係る商品・役務データベース(MGSデータベース)の進捗報告

2015年6月から2016年5月までの間に、新たに7カ国がMGSの参加国リストに加わりました。これにより、総参加国数は27になり、18番目の言語(モンゴル語)が追加されました。

豊富な内容と数々の新機能とともに、全18言語による注釈へのアクセスや、日本特許庁(JPO)及び韓国特許庁(KIPO)の「類似群コード」が追加されました。

参考情報: