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Beat of IP — 知財の鼓動を聴く

著者: Nora Manthey (WIPOマガジン編集者)

2025/05/07

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WIPOマガジンの「世界知的財産の日」特集号では、ボリウッドにおける音声クローニングからK-POPのファンダムまで、音楽と知的財産がどのようにして共に進化しているかを探ります。このAI時代にアーティストたちがどのようにして自身の権利を守ろうとしているのか、また、かつては海賊版が市場に蔓延していたにもかかわらず、なぜストリーミングサービスが記録的なロイヤルティ支払額を報告するようになったのかについてご覧ください。さらに世界各地のアーティストや音楽業界を牽引するリーダーたちが、音楽の未来について語ります。

「世界知的財産の日2025」を記念して、本号では、音楽と知的財産 (IP) がそれぞれの鼓動に共鳴しながら進化する様子を探ります。ボリウッドにおける音声クローニング (ボイスクローニング) から、AIと人間の創造性に関する米国著作権局の見解に至るまでの様々なトピックに加えて、ミュージシャンたちへのインタビュー、さらに音楽業界のリーダーやイノベーターから寄せられたエッセイなど、今年のテーマがインスピレーションとなって、非常に幅広いストーリーが寄せられました。

今、音楽にスポットライトを当てることは、タイミングとしても時宜を得ていると言えます。最新の業界データでは、とりわけかつて海賊版が蔓延していた地域において、音楽業界の目覚ましい成長が示されています。またストリーミングサービスや業界団体からは、記録的なロイヤルティ支払額とマーケティングやA&R投資が報告されています。同時に、デジタル配信が進化するにつれて、アーティストはこれまで以上に自身の権利についての理解を深める必要があります。

人工知能 (AI)、そして人間の創造性と著作権の関係は目まぐるしく変化しており、重要度の高いこの議論の緊急性をさらに高めています。AIが既存のビジネスモデルを破壊する一方で、米国などの国々は、既存の法令の適用によってテクノロジーと人間の関与のバランスを図ろうとしています。またソニーのような業界のリーダーは、創造性と新技術の調和実現を目指しながら、厳格なライセンス契約の必要性を説いています。そして、ある技術者は、AIシステムがどのように音楽を生成するかを検証し、将来的に機械が公平なロイヤルティ分配を支援できるかどうかについて考察しています。

アーティストの報酬についても大きく取り上げており、グレナダのソカ・ミュージックのスターであるV'ghnと、カーボベルデの歌手Solange Cesarovnaが、知的財産制度の効果的な活用方法を説明しています。さらに、中国の音楽業界や、K-POPのスーパーファンダムと知的財産との関係性を探る記事にもご注目ください。

このほかにも様々なコンテンツを提供してまいります。音楽と知的財産の関わり合いは多岐にわたるため、夏にかけて引き続きこのテーマを扱う予定です。ぜひニュースレターにご登録いただき、今後の展開にご注目ください。

こちらから特集号のコンテンツをご覧ください

WIPOウェブサイトでご覧いただける音楽と知的財産に関するリソース