特許協力条約 (PCT) に基づく規則改正が1月1日に発効しました。本制度はこれにより、国際特許調査の質と範囲に関して大きく前進しました。
主要な改正ポイント
PCT 規則 34、 36 及び 63 の改正により、PCT国際調査機関の利用に供される最小限資料が拡大し、国内特許コレクション19点が新たに含まれました。今後さらに多くのコレクションの追加が見込まれており、PCT調査の基盤となるグローバルな特許データの拡充が着実に進んでいます。
また、PCT国際調査機関及び PCT加盟国 (「締約国」) の知的財産庁は、特許出願データの交換に際して、一部で使用されていた画像形式のみのデータに代わってフルテキスト形式の交換を開始しました。これにより、より正確なテキストベースの調査及び分析が可能になり、 先行技術 調査の網羅性と信頼性が大幅に向上します。
PCTユーザへの利点等
出願人のためのより包括的な調査
PCTユーザにとっては、これらの変更により、より充実した国際調査報告及び見解書が得られることになります。38点に上る最新及び過去の特許コレクションを参照して作成されるため、引用文献に、ブラジルやエジプト、インド、ポーランド、サウジアラビアなどを含む広範な地域からの先行技術文献が含まれることが期待できます。
カバーされる地理的範囲が拡大することで、PCT調査のグローバルな規模での実効性が高まります。また、先行技術の発見が遅れて、補正の費用が嵩み法的手続が煩雑になりがちな国内/広域段階になって初めて先行技術が特定されるリスクが低減されます。
特許制度全体への利点
この規則改正は、個々の出願人のみに恩恵をもたらすものではありません。より有益で信頼性の高い調査基盤が整うことには次の利点があります。
- 脆弱な(無効になりやすい)特許又は過度に広範な特許の付与を防ぐことに役立ちます。
- より強固で安定性の高い特許権の実現に貢献します。
- より透明性が高くバランスの取れた国際特許制度の実現に貢献します。
質の高い調査は、質の高い特許を支える基盤となります。審査官が広範な国や地域の包括的な特許文献にアクセスできることで、審査結果の予測可能性と各官庁間における一貫性が向上します。これにより、世界全体の特許出願・付与制度に対する信頼性が高まります。
PATENTSCOPEを通じたアクセス拡大
新たに含められた特許コレクションの多くは、 PATENTSCOPE データベース上で既に提供されています。WIPO国際事務局 (IB) は、より多くの文献のフルテキストの一般提供とコレクション追加の取組を進めています。
より広範な特許情報 (多くは原語) へのアクセス提供は、世界中のイノベーターや研究者、一般の方々に利益をもたらします。既存技術の知識がより入手しやすくなることで、重複研究の回避、共同研究の機会発見、既存技術を基盤とした新技術の創出や市場投入が促進されます。
継続的なグローバル・イノベーション推進の取組
質の高い特許調査と審査は、国際的な特許保護の実効性を確保するために不可欠なものです。出願人にとっては、保護を求める発明に真に新規性及び進歩性があることの法的確実性が向上します。また特許庁は、できるだけ多くの情報源から提供される包括的で信頼性の高い特許データに速やかにアクセスできることが求められます。
2023年に PCT同盟がこれらの規則改正を採択して以来、PCT運営機関と各国の国内/広域特許庁は実施に向けた実務対応について緊密に協力してきました。その結果、今日のグローバルな性質のイノベーションにより適した、強固で包括的な調査の枠組が実現しました。
この進展は、真に国際的なスケールでイノベーションを支援するために、ユーザの利便性を重視した質の高いサービスを提供するというPCT制度の継続的な取組を表すものです。
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