PCTニュースレター 03/2024: 実務アドバイス
注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。
国際出願は取り下げられたものとみなされた場合の帰結と国内段階での救済手続の可能性
Q: 「手数料の納付の補正命令書」(様式PCT/RO/133) を受領しましたが、新規PCT出願の手数料を期間内に支払うことができませんでした。そのため受理官庁から、国際出願が取り下げられたものとみなす旨の決定の通知書 (様式PCT/RO/117) が発行されてしまいました。PCTは出願を回復する可能性について規定していますか?
A: PCTでは、PCT規則16の2.1(e) の法的救済措置 (最初の手数料の支払期間満了後であっても、出願が取り下げられたものとみなす旨の宣言が発出される前に受理官庁が手数料の後払手数料を受領した場合は、期間の満了前に受領したものとみなす) 以外には、受理官庁により国際出願が取り下げられたものとみなす宣言がなされた後に、国際段階で出願を回復するための一般的な手続は規定していません。受理官庁が宣言をした場合、その出願は法的効力を失い (PCT第11条(3) 参照)、各指定国において当該指定国における国内出願の取下げの効果と同一の効果をもってその法的効力を失います (PCT第24条(1) 参照)。
この問題に対処するには、まず手数料の支払期間を徒過してしまったことに対する救済措置があり、依然として手数料を支払う機会が与えられるのかどうかを調べることをお勧めします。支払いの機会が与えられるのであれば、出願は回復できる可能性があります。期間を徒過した場合に救済される条件についての詳細は、PCTニュースレター2020年3月号の実務アドバイス (予期せぬ事態により PCT に基づく期間を徒過した場合に適⽤される可能性のある救済措置) をご参照下さい。
また、受理官庁である国内官庁が、出願人の個別の状況を考慮して、出願が取り下げられたものとみなす決定の再検討を行う国内手続を有しているのかを確認することもお勧めします。
上述の選択肢が肯定的な結果をもたらさない場合には、権利回復は、依然として国内段階へ移行し、特許保護の取得を希望する各指定官庁に対して直接試みるしかありません。
PCT条約第25条と規則51は、受理官庁が国際出願は取り下げられたものとみなした場合などの特定の状況において、出願人は関係する国内官庁に対し不利な決定に関する再検討を求めることが可能な旨を規定しています。この請求期間は、国際出願が取り下げられたものとみなす旨の決定の通知書 (様式PCT/RO/117) の日付から2か月であり、出願人は国際事務局に対し、出願人が指定した官庁に出願の一件書類に含まれる関連書類の写しを送付するよう請求することができます。同期間内に出願人は、関係する各官庁において国内段階へ移行するための要件である、国内手数料の支払と必要な翻訳文の提出を満たす必要があります。
各官庁は、関係する限りにおいて再検討を行います。国内官庁が、国際出願が取り下げられたものとみなす決定が受理官庁側のエラーか見落としによるものであると認めた場合には、国際出願は取り下げられたとみなされなかったものとして取り扱われます。国内官庁が、PCTに基づき受理官庁の決定は正当であると認めた場合であっても、自国の国内法令を適用することがより有利な結果をもたらす場合には、国内官庁は国際出願の効果を維持することができます (PCT第24条(2) と第27条(4) 参照)。
PCTの期間を徒過した場合、徒過の救済を求めることが可能なさらなる規定があります。PCT第48条(2) と規則82の2は、締約国は、期間が遵守されていないことが国内法令で認められている遅滞の事由と同一の事由による場合には、自国に関する限り、遅滞を許すものとする旨を規定しています。従って、出願人が引き続き特許保護の取得を希望する国内官庁が、国内や広域の法令に徒過を許容する規定を適用しているかどうかを確認する必要があります。もし規定がある場合には、国内官庁は、当該国内官庁に直接なされた特許出願に適用するのと同じ方法と同じ条件でPCT出願に当該規定を適用しなければなりません。そのような規定の例としては、権利の回復 (reinstatement of rights)、回復 (restoration)、権利の回復 (restitutio in integrum)、放棄された出願の回復 (revival of abandoned applications)、手続続行 (continuation of proceedings) や「追加手続」("further processing") (例えば、欧州特許条約の第121条) を認めるものです。これらの救済措置はPCT出願人にも適用されなければならないものです。PCT第48条(2)(b) はさらに、PCTは、国内法令で認められている遅滞の事由と同一の事由による場合には、いずれの締約国も遅滞を許すことを妨げない旨を明確に規定しています。
各指定官庁が適用する具体的な手続については、PCT出願人の手引 国内編に救済手続に関する情報が
掲載されています。
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(訳者注: ページ右上の言語切替ドロップダウンリストから日本語が選択可能)
詳細は、関係する国内官庁に直接お問い合わせ下さい。
PCT第25条や第48条に関する国内や広域の判例については、WIPO PCT判例データベース(https://www.wipo.int/pctcaselawdb/en/list.jsp) をご参照下さい。また、PCT規定の適用を解釈したり実証するもので、当データベースへの収録が有益であると判断されるものにつきましては、ご遠慮なく国際事務局 (pct.legal@wipo.int) までお知らせ下さい。