海外における材料イノベーションの保護:U-MAPによるPCTを活用した海外展開
2026年4月1日

株式会社U-MAPの代表取締役の西谷健治さんに、PCTの活用状況を伺いました。(インタビューは、2025年6月、名古屋大学内の本社(愛知県名古屋市)にて実施)
ポイント
- 電子機器の発熱問題を解決するために、熱伝導性の高い繊維状の窒化アルミニウムフィラーを開発し、スタートアップを立上げ、現在は実用化に至っている。
- 海外の顧客が増えるにつれて海外での特許取得が必要となり、PCTを利用して、市場国(米国、中国、韓国、ドイツなど)で特許を取得している。
- 自社の技術を保護するために知的財産(知財)の管理は重要であり、社内の責任者が外部の知財専門家とともに戦略を立てて、適切な特許を取得するようにしている。
-御社の事業について教えてください。
スマートフォンやPC、電気自動車(EV)、データセンタなど多くの業界が、電子機器の発熱に悩まされています。世界規模の電子機器の発熱問題に新材料で解決しようと取り組んでいるのが、名古屋大学発スタートアップのU-MAPです。我が社の製品である窒化アルミニウムフィラー(充填材)のThermalniteⓇは、繊維形状のため、繊維どうしが接続されやすく、ゴムのフレキシブル性や強度を維持しながら熱伝導性を向上させることができます。
この技術は名古屋大学の宇治原徹教授が開発を行っています。私は学生時代に宇治原研究室に所属しており、3年ほど民間企業におりましたが、宇治原教授に声をかけていただき、代表取締役に着任しました。
U-MAPは2016年12月に設立され、現在の従業員は25名です。愛知県瀬戸市に工場を建設し、2025年6月から量産を始めました。設立当初は助成金の獲得を行っていましたが、現在は複数の企業に出資していただいています。
以前は繊維状のフィラー自体の販売を考えていましたが、ゴムに混ぜるとフィラーの向きや配合により性能が大きく変化するので、現在はフィラーを混ぜ込んだシートを展開しており、特にEVや通信用レーザーの分野で需要が増えています。
―知財の体制はどのようなものですか。
知財については、事業開発部、技術センター、リサーチの3つの部門の責任者とともに方針を立てていますが、特にリサーチ部門の責任者は元々素材系の企業におり、知財に詳しく中心的役割を果たしています。また、技術とスタートアップに詳しい法律事務所と顧問契約をしてから、知財戦略が改善されたと感じています。
-PCTをどのように活用していますか。
最近では海外の顧客が増えており、海外での特許取得のためにPCT出願は有効と考えています。移行国は米、中、韓、ドイツです。最近、重要な市場である米国で特許を取得することができました。
ベンチャーキャピタルは外国を含めた特許の取得に関心を持っており、自社のアピールにつながるような戦略を立てる必要があります。自社の技術を守り、他社の追随を許さないようにするために、外国を含めた特許の取得は必須と考えています。