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イノベーションの専門家Louis Foreman氏が語る、アイデアを利益を生み出す事業に変える方法

2023年1月

著者: Catherine Jewell氏、WIPO情報・デジタルアウトリーチ部 (Information and Digital Outreach Division)

製品の設計から市場投入まで総合的なサービスを提供する米国のEnventys Partners社の創業者兼CEOで連続起業家のLouis Foreman氏に、知的財産 (IP) と起業に関する有益な情報を共有していただきました。Foreman氏は、過去30年間で複数のスタートアップ企業を設立し、成功に導きました。同氏は米国で10件超の特許を保有しており、同氏の会社はこの他に700件を超える特許の展開と商業利用をサポートしています。Foreman氏は最近、「IP Hall of Fame」(知的財産の殿堂) に殿堂入りを果たしました。

「私は知的財産と事業に高い関心があります。また、
自分が受けた恩を社会に返すことが大切だと考え、
30年前からさまざまな大学でも知的財産と起業に関す
る私の知識を伝えています」とLouis Foreman氏
は言います。(写真: Louis Foreman氏提供)

起業家となったきっかけを教えてもらえますか?

学生時代にサークルでラクロス用具を販売したのが最初の事業です。ラクロス用具を必要とするチームは、シャツやユニホーム、帽子、ジャケット、バッグも必要としていたので、次に衣料品を販売するようになりました。大学を卒業する頃には全米第24位の規模のスクリーン印刷製作会社を設立していて、従業員は約300人、製造スペースは8万平方フィートほどでした。

知的財産に初めて接したときのことを教えてもらえますか?

大学卒業後、NASCARレースの人気が高まり始めたので、NASCAR公認の衣料品を販売する会社を設立しました。この事業は2年弱で売上高2,000万米ドルの企業へと成長しました。スポーツ用衣料品には商標と著作権が関係するため、このとき初めて知的財産に関わりました。次に、怪我を予防するカスタムメイドのサッカー用シンガード (すね当て) を開発しました。このシンガードの特許を取得し、世界のほぼすべての主要サッカー・ブランドにライセンス供与しました。その後、Enventys社を設立し、製品開発からマーケティングまで幅広くサービスを提供しています。私は知的財産と事業に高い関心があります。また、自分が受けた恩を社会に返すことが大切だと考え、30年前からさまざまな大学でも知的財産と起業に関する私の知識を伝えています。これは非常にやりがいのある仕事だと感じています。

Enventys社はどのような事業を行っていますか?

当社は製品の開発・市場投入のあらゆる側面に対応します。当社では産業デザイナーや機械エンジニア、電気エンジニア、バイオメディカルエンジニア、ブランドおよびマーケティングの専門家など、約80人のスタッフが一緒に働いています。これまでに、3,000近くの消費者向け製品と医療機器を発売し、お客様の会社を成長させるための数億ドルの資金調達を支援してきました。

当社はあらゆる規模の企業と協力して、製品の発売を支援します。さまざまなシナリオがあります。例えば、お客様が問題に直面し、その問題を克服するために当社の支援を求める場合もあれば、お客様からアイデアの製品化や既存製品の改良を依頼される場合もあります。当社のビジネスモデルでは、製品の開発および市場投入の各段階で結果に対する責任を明確にしています。当社が製品開発に費やす労力に対してお客様から報酬を受け取る場合もありますし、当社がプロセス全体を引き受け、製品の商業的成功に応じて報酬が支払われる場合もあります。

アイデアを利益を生み出す事業に変えるには、主にどのような課題がありますか?

アイデアを思い付くのは簡単ですが、アイデアを実行に移さなければ市場で利益は得られません。どこかの時点でアイデアを製品やサービスに変える必要があります。これは、自分自身で行うこともできますし、知的財産を誰かにライセンス供与して行うこともできます。あなたのアイデアは、実行に移すことで価値が引き出されます。

「アイデアに資金や時間を投じる前に、そのアイデアが実現可能かどうかを判断する必要があります」とLouis Foreman氏は言います。(写真: mapodile / E+ / Getty Images)

新しい起業家はまず何を検討すべきでしょうか?

アイデアに資金や時間を投じる前に、そのアイデアが実現可能かどうかを判断する必要があります。起業家や発明者は、自分のアイデアに夢中になるあまり、アイデアを発展させるために必要な資金の調達を計画し忘れることがあります。失敗するのはそういうときです。アイデアを追求して事業を始める前に、5つの質問に答える必要があります。

  1. あなたの製品はどのようなもので、その独自性は何でしょうか?つまり、あなたの製品やサービスを買いたいと思わせるものは何か、ということです。
  2. 最適な顧客は誰でしょうか?この質問に答えることで、あなたの市場の規模を測定することができるでしょう。
  3. あなたの製品に対する需要はありますか?顧客と話をし、あなたの製品が欲しいか、いくらなら買うか聞いてみましょう。
  4. 必要な資金はいくらですか?事業の立ち上げを成功させるために必要な資本が分かるまで、起業するのは待ちましょう。
  5. 資金はどこから調達しますか?まず資金を確保しましょう。後から資金を調達することは、特に事業が上手くいっていない場合ははるかに難しくなります。

多くの企業が成長資金の確保は困難だと感じています。それはなぜでしょうか?

起業資金を確保するのが難しいのは、どうやって投資利益 (ROI) を上げるかを投資家に十分に説明していないためと大抵考えられます。投資を呼び込むには、事業に投資すべき理由と投資から期待されるリターンを明確に説明する必要があります。これはコミュニケーションの問題であり、信用の問題でもあります。資金を調達することは見返りを約束することであり、それを支える実績があるということです簡単なことではありませんが、優れたアイデアを支援しようとする人は必ず存在します。

クラウドファンディングは、市場で認められ、製品に対する需要の存在を証明するための優れた方法であり、投資家の参加につながる可能性がありますが、事業を経営するには十分でないとLouis Foreman氏は言います。(写真: metamorworks / iStock / Getty Images Plus)

クラウドファンディングは事業を立ち上げる手段となるでしょうか?

クラウドファンディングは、市場で認められ、製品に対する需要の存在を証明するための優れた方法であり、投資家の参加につながる可能性があります。通常、製品の発売前に市場調査を行って、製品の購買意欲について問います。この反応が実際の売上に結び付くとは限りません。クラウドファンディングを行うと、顧客は製品が作られる前に購入することになります。これにより、製品の発売時に成功する可能性を予測し、投資家を呼び込むことができます。

クラウドファンディングは、市場で認められ、製品に対する需要の存在を証明するための優れた方法であり、投資家の参加につながる可能性があります。

クラウドファンディングは当初資金の調達手段となりますが、事業を経営するには十分ではありません。クラウドファンディング・キャンペーンを行うと、製品を事前に販売することになるため、集めた資金を利用して製品を製造・発売する責任を負います。少額の利益しか得られなければ、事業の存続は困難でしょう。

企業は自社の知財資産を担保に資金を調達できるでしょうか?

はい、小規模企業は知的財産を担保とする融資を歓迎するでしょう。知財担保融資は事業の成長を大幅に加速させると考えられます。一方、すでにブランドを確立し、知的財産から収益を上げたことがある大企業は、自社の知的財産を活用して、高度な専門知識を備えた銀行や投資家グループから資金を調達することが可能です。このような大企業は、知的財産に価値があることを知っており、知的財産を資産として利用し、資金を借り入れることができます。しかし現時点で、スタートアップや小企業にはこれは当てはまりません。

小規模企業は知的財産を担保とする融資を歓迎するでしょう。知財担保融資は事業の成長を大幅に加速させると考えられます。

なぜ知的財産は企業の長期的成功にとって重要なのでしょうか?

知的財産は、イノベーションを生み出すためのインセンティブとなります。事業を立ち上げ、新製品を市場に出す際のリスクを考えると、自分たちが作り出した製品が他者に模倣されることを防ぐ能力が必要です。知的財産がなければ、投資利益を生み出すための起業家の計画が変わり、投資理由を見出せなくなってしまいます。知的財産は、会社を設立し、時間と資本を投じて事業を構築し、社員を雇用し、新製品・サービスを発売するために利用する基礎となる資産です。このインセンティブがなければ、発明の助成は政府に委ねられることになりますが、政府は優れたイノベーターではありません。

知的財産に関して企業が犯しがちな失敗とは何でしょうか?

大きな失敗は、発明を保護する前にその新規性を損なうことです。多くの起業家や投資家は知的財産を理解しておらず、自分たちが理解していないことを認識していません。試作品を製作して販売しようとします。数年後、ある程度資金を調達した後に特許を取得しようとし、すでに特許性が失われていることに気づきます。あるいは、先行技術調査を行わずに特許の出願を急ぎ、すでに存在しているものに対する特許出願に大金を費やします。現在は特許情報が容易に入手でき、あなたのアイデアを誰かがすでに思い付いているかどうかは比較的簡単に調べることができます。

知的財産に対する理解を深めるための鍵は何でしょうか?

知的財産に関する知識の不足を補うための鍵は教育にあります。今日では、ほとんどの大学が起業に関する講座を開設していますが、知的財産に関する踏み込んだ内容を教えているのはごくわずかです。知的財産は非常に重要であり、さまざまな活動に関係しているため、高校や中学の教育課程に取り入れるべきです。知的財産は社会にとってきわめて重要であるにもかかわらず、多くの人が正しく理解していません。知的財産を高く評価し、もっと知的財産について学ぶよう奨励する必要があります。

知的財産に関する知識の不足を補うための鍵は教育にあります。

また、失敗に対する社会の認識を変える必要があります。失敗が好きだという人はいませんが、失敗は発明の母です。例えば紙パック不要の掃除機を発明したJames Dyson氏は、5,127台の試作品を製作しましたが、すべてが失敗だったでしょうか?そんなことはありません。どの試作品も以前より改善していたり、改善すべき点が見つかったりしました。発明の過程で失敗したくないと思うのであれば、革新的な技術は開発できないでしょう。世界の偉大なイノベーターたちは、失敗を学習体験と考えています。

発明の過程で失敗したくないと思うのであれば、革新的な技術は開発できないでしょう。世界の偉大なイノベーターたちは、失敗を学習体験と考えています。

知的財産戦略を策定する上でのアドバイスをお願いします。

会社を設立する前から知的財産について検討することが大切です。経験者と交流してください。あなたのスキルを補ってくれるチームと仕事してください。あなたが先見の明のある発明者であれば、あなたは発明に集中し、発明の保護は他の人に任せましょう。あなたが優秀なセールスマンで、製品開発が得意でなければ、代わりにやってくれる人を探してください。

イノベーションを取り巻く環境にはどのような変化が見られますか?

イノベーションはかつてないスピードで起きています。技術は進化し、さらに多くの新しい技術が生まれつつあります。より良い新しいものに対する私たち消費者の飽くなき需要が、こうした傾向に拍車をかけています。

知的財産庁は中小企業をどのように支援できるでしょうか?

顧客体験を改善する方法は必ずあります。私は米国特許商標庁の特許諮問委員会 (Patent Advisory Committee) の委員を7年間務めましたが、その間に同庁は審査官が容易に出願人と直接面談できるようにしました。発明者のほとんどは特許取得手続を理解しておらず、特許制度が発明者にとって有益であることを知らないため、これはゲームチェンジャーとなりました。発明者は、先行技術調査は出願人が請求の範囲を変更して保護を受けられるようにするために行われる、ということを理解していません。特許の取得は手続であり、必要なのはルールを理解することだけです。特許取得がどのように行われるかをきちんと理解すれば、失敗の可能性を下げることができます。特許庁の役割を明確にする必要があります。特許庁はイノベーションを促進して特許を取得してもらいたいと考えており、特許の取得手続で非常に協力的です。

特許庁の役割を明確にする必要があります。特許庁はイノベーションを促進して特許を取得してもらいたいと考えており、特許の取得手続で非常に協力的です。

将来について楽観視していますか?

はい。材料科学と5Gが共に処理速度の向上とチップ価格の大幅な低下をもたらし、さまざまなIoT機器が生まれようとしています。私たちが行うことはすべて結び付けられ、効率性が高まるでしょう。技術革新の進展のおかげで、商業利用できる新技術は数多くあります。

若者に何かアドバイスをお願いできますか?

生活の中で行っているすべてのことに目を向け、なぜそのように行っているのか考えてみてください。もっと良い方法があると考えることが、そうした方法を発見するための第一歩です。

Louis Foreman氏から学んだ8つのポイント

  1. あなたのアイデアは、実行に移すことで価値が引き出されます。
  2. アイデアに時間と資金を投じる前に、そのアイデアが実現可能かどうかを判断しましょう。次の質問に答えてください。あなたの製品の独自性は何でしょうか?最適な顧客は誰でしょうか?あなたの製品に対する需要はありますか?必要な資金はいくらですか?資金はどこから調達しますか?
  3. 投資を呼び込むには、事業に投資すべき理由と投資から期待されるリターンを明確に説明する必要があります。
  4. 知的財産は、起業家がイノベーションを生み出すためのインセンティブとなります。知的財産がなければ、投資利益を生み出すための起業家の計画が変わり、投資理由を見出せなくなってしまいます。
  5. 現在は特許情報が容易に入手でき、あなたのアイデアを誰かがすでに思い付いているかどうかは比較的簡単に調べることができます。
  6. 会社を設立する前から知的財産について検討することが大切です。経験者と交流してください。
  7. 特許の取得は手続であり、必要なのはルールを理解することだけです。特許取得がどのように行われるかをきちんと理解すれば、失敗の可能性を下げることができます。
  8. もっと良い方法があると考えることが、そうした方法を発見するための第一歩です。

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