注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

国内段階移行前後の出願人の記録の変更に関する選択肢

(The Procter & Gamble Company の前シニアパテントアドバイザーの David Reed 氏のご協力を得て作成しています)

Q: 国内段階移行を準備している国際出願の代理人ですが、クライアント(企業出願人)がこの発明及び出願を他の法人に売却したところで、その新しい所有者から、引き続き当該出願の代理人を務めるよう依頼されており、当該出願について新法人名で手続・登録がなされることを希望しています。現在、国内段階移行期限の 30 ヶ月まで 2 週間しかありません。どの方法が最良の手続の進め方でしょうか。国内段階への移行は、新出願人名あるいは現在の出願人名で行うのがよいでしょうか。また、国内段階移行の前または後に名義変更した方がよいでしょうか。

A: ご指摘のいずれの方法でも希望される結果を得ることができるでしょう。しかしながら、特に、多数の国の国内段階に移行する予定であれば、PCT 規則 92 の 2 をいようした変更の記録を国際段階終了前に行うことにより、かなりの作業及び費用を節減することができるでしょう。この変更はすべての指定官庁又は選択官庁に対して有効であり、新出願人名で国内段階に移行することができるでしょう。

PCT 規則 92 の 2 では、出願人、代理人、共通の代表者又は発明者の名義、氏名若しくは名称、住所、国籍又はあて名といった国際出願の多くの書誌情報の変更の記録が認められています。出願人の変更が元の(現在の)出願人あるいは出願人の代理を務める代理人による場合、国際事務局から追加の文書を請求されることはありません。記録された変更は様式PCT/IB/306 (変更の記録の通知)により出願人及び指定/選択官庁に通知されます。PATENTSCOPE での公開について、この場合、「書類」タブ上の国際出願のフロントページの再公開はなされませんが、「PCT 書誌情報」タブ上の書誌情報は変更が反映されます。

PCT 規則 92 の 2 に基づく変更の記録の要請を受理官庁に対して提出することも可能ですが、国際事務局への到着が遅れる可能性があります。したがって、この場合、国際事務局に当該要請を直接提出することを強くお勧めします。国際事務局に当該要請を直接提出する場合であっても、この場合は早く行った方がよいでしょう。PCT92 の 2 に基づく変更の記録の要請が、ジュネーブ時間で優先日から 30 ヶ月が満了する日の 24 時より前に国際事務局に受理されなければなりません。それでもなお、当該要請に遅れることなく到着した場合には、特別な場合に国際事務局により請求された特定の証拠が 30 ヶ月の期限を過ぎて提出されたとしても変更は記録されるでしょう。

国際事務局は、30 ヶ月の期限以後に変更の記録の要請を受理した場合、変更を記録しません。その結果、出願人は元の(現在の)出願人名で国内段階に移行し、その後、移行した各指定又は/選択官庁に対してそれぞれ、変更の要請手続を進めなければなりません。なお、PCT規則 92 の 2 に基づく変更の記録の要請は国際事務局に対して郵送することは可能ですが、最も早い方法は FAX か、好ましくは、PCT オンラインドキュメントアップロードサービスの利用です。

http://www.wipo.int/pct/en/service_center/

又は ePCT(PCT Newsletter 2012 年 1 月号参照)からも可能です。

https://pct.wipo.int/ePCT

変更の記録の要請が迅速に行われた場合であっても、国際出願はこの場合 2 週間以内(30ヶ月の移行期限)に関心のある国の国内段階に移行しなければなりません。業務ピーク時には、国際事務局が記録を変更し国内移行期限前(しかし、多くの指定/選択官庁では、当該官庁に関する PCT 第 22 条第 3 項又は PCT 第 39 条第 1 項(b)で適用される国内段階への移行期限のより遅い期限である追加の期間が設けられています)に様式 PCT/IB/306 を発行するのに 2 週間では十分ではないかもしれません。移行期限が間近である場合には、国際出願を担当している WIPO のプロセスチームに連絡をとり、移行期限が近づいているので、指定/選択官庁にできるだけ早く情報が届くよう希望している旨伝えることにより、出願人の変更の記録の要請を優先的に処理してもらうよう依頼することは、助けになるかもしれません。担当審査官の連絡先は、様式 PCT/IB/301 の下部に表示されています。又、国際事務局が変更を記録したかどうかについてフィードバックを得ることに関して、もし国際事務局から通知の受け取りを電子メール又は事前の電子メールによる通知の受け取りの希望を行っている場合、書面による通知の受け取りより早期に様式 PCT/IB/306 の写しを受け取ることが可能でしょう(訳者注:本ケースでは出願は公開日を過ぎていますので、PATENTSCOPE 内の「書類」タブで様式 PCT/IB/306 の発行を確認することが可能です)。

指定/選択官庁の多くが PCT 規則 92 の 2 に基づいて記録された変更について追加の証拠を請求することなく許可しますが、いくつかの官庁においては、公開された国際出願に掲載されている出願人から新出願人への出願の移転を証明する譲渡証(又は他の書類)の写しの提出を請求されるかもしれません。PCT 規則 51 の 2(第 27 条の規定に基づいて認められる国内的要件)にもとつく特別の要件について、PCT 出願人の手引きの国内段階の概要に記載されています。

http://www.wipo.int/pct/en/appguide/index.jsp

特定の指定/選択官庁によって請求される書類は国際事務局ではなく該当する指定/選択官庁に直接送付して下さい。国際事務局に対して 30 ヶ月の期限前に変更の記録の要請を提出できない場合、変更を反映させるためには、国内段階移行を希望する国の、様々な国内法に基づき、それぞれの指定/選択官庁に対して手続を行わなければなりません。これらの手続は各国内法に基づき正確に行われなければなりません。これらの手続は多くの労力がかかる作業であり、変更を反映させるために、代理人手数料だけでなく、国特有の二言語での譲渡証や譲渡税、その他方式について要求されるかもしれません。

ラストミニッツの変更を考慮すると、上記 2 つのいずれの方法を行ったとしても、その後に適切な手続が行われるよう現地の代理人と作業を進めることをお勧めします。

また、米国の国内段階への移行には、出願人は必ず発明者でなければならず、米国指定のための出願人/発明者を一人以上含んでいて、米国のための出願にとして残しておくことが重要です。