PCTニュースレター 03/2025: 実務アドバイス

注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

法人出願人の署名権者として行為すること

Q: 当法人はスペインに本社を置き、メキシコに子会社を持っています。国際調査機関 (ISA) の選択肢が広がることから、メキシコの受理官庁 (RO/MX) に子会社名義で出願予定でおり、国際段階における全ての提出書類の管理と署名は社内の実務担当者に任せたいと考えています。PCT願書 (様式PCT/RO/101) では実務担当者をどのように表示したらいいのでしょうか?また、受理官庁としてのWIPO国際事務局 (RO/IB) に出願することに違いはありますか?

A: 資格を有する弁理士が法人の知的財産部に所属している場合、PCT規則90.1に従い、PCT願書の第IV欄 (代理人、共通の代表者又は通知のためのあて名) に代理人として記載することにより、その弁理士を特許代理人として表示することができます。但し、代理人として行為するためには、その社内弁理士は出願がなされる受理官庁に対し業として手続をとる権能を有する必要があります。出願を管理する社内弁理士がRO/MXに対し業として手続をとる権能を有しない場合、当弁理士はRO/MXに対し代理人として法人を代理することはできないため (PCT規則90.1)、願書の第IV欄に代理人として表示されるべきではありません。

RO/MXに対し業として手続をとる権能を有する代理人を選任する代わりに、社内手続により法人を代表する権限を与えられた実務担当者は、同法人の署名権者として行為することが可能です。RO/MXを含むほとんどの受理官庁は、国際段階で出願人が代理人によって代理されることは要求しておらず、署名権者であれば、法人に代わって出願や取下げの通知を含む中間書類に署名することができます。

署名権者は、関係するROに対し業として手続をとる権能を有する必要はありません。とはいえ、受理官庁、国際調査機関や国内段階移行する可能性のある指定官庁に対する関連手続に詳しい者に出願を管理してもらうことは有益となり得ます。

この場合、PCT出願の願書に記入する際、第Ⅳ欄に署名権者を代理人又は共通の代表者として表示しないで下さい (彼らを通知のためのあて名として記載することは可能ですが、これは法人を代表して署名する権限を与えるものではありません)。同じように、ePCTや他の対応する電子出願システムを使用する場合でも「代理人」オプションを選択しないことです。代わりに第X欄の署名の横に署名者の氏名をはっきりと記載し、それが法人を「代表して署名された」ものであることを明確にし、法人名を記載して下さい。RO/IBに出願する場合、ePCTにはドロップダウンボックスがあり、そこに法人出願人を代表して署名する者がその権限を有している旨を記載することができます。代理人の選任とは異なり委任状は不要で、通常の状況下では法人出願人に代わって署名する権限に関する証拠は要求されません (受理官庁ガイドライン127項)。

RO/IB に国際出願する場合、RO/IBに対する代理人として行為する権利は、PCT規則83.1の2により規定されており、特定のPCT出願のための代理人として行為する権利を出願人の国籍や居所と結びつけています。これにより国籍や居所が異なる出願人がいれば代理人の選択肢が広がります。例えばこの実務アドバイスのケースで、社内弁理士がRO/MXに対し業として手続をとる権能を有しないが、スペイン受理官庁に対し業として手続をとる権能を有する場合、スペインに本社を置く親会社も出願人であれば、その社内弁理士をRO/IBに対する代理人として表示することができます。

但し、法人出願人が受理官庁に対し業として手続をとる権能を有しない者を「代理人」として表示した場合、受理官庁は職権でその表示を「通知のためのあて名」へ変更することが可能な点にご留意下さい (PCT規則4.4(d))。この「通知のためのあて名」として表示された者は、出願人の代わりにあらゆる通信を受け取ることができますが、出願人に代わって行為する権能は有しません。通知のためのあて名として行為する者が作成した出願又は中間書類は、出願人 (若しくは法人出願人の署名権者) による署名が必要となります。詳細は、PCTニュースレターの以下の号に掲載された実務アドバイスをご参照下さい。

  • “Indicating an address for correspondence where a person is not entitled to represent the applicant before the receiving Office” (04/2015)

https://www.wipo.int/pct/en/newslett/practical_advice/pa_042015.html

(訳者注: 日本語版「受理官庁に対して出願人を代理する資格がない場合の通知のためのあて名の表示」(2015年4月号)
https://www.wipo.int/export/sites/www/pct/ja/docs/newslett/2015/newslett_2015.pdf#page=31)

  • “Where an applicant can file a PCT application and who is entitled to act as agent” (02/2024)

https://www.wipo.int/pct/en/newslett/practical_advice/pa_022024.html

(訳者注: 日本語版「出願人が PCT 出願を行える出願先と代理人資格者」(2024年2月号)
https://www.wipo.int/export/sites/www/pct/ja/docs/newslett/2024/newslett-2024.pdf#page=15)