PCTニュースレター 07-08/2018: 実務アドバイス

注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

例えば、ファックスの送信が失敗した場合の、国際事務局へのファックス送信以外の代替手段

Q: ファックスで提出した国際出願に対して、請求の範囲のPCT第19条に基づく補正をファックスで送信しようとしましたが、補正のファックスによる送信ができませんでした。ePCTシステムのことは知ってはいるのですが、まだ利用を開始しておらず、ePCTでの国際出願のアクセス権を持っていません。期限に間に合うよう急いでいるのですが、ePCTを利用して迅速に簡単に国際事務局へ書類を送信する方法はありますか?

A: アナログからVOIP (ボイスオーバーインターネットプロトコル) へファックス技術が変遷した結果、電気通信サービス提供業者がVOIP方式へ既に移行している場合のファックス送信は信頼できないものとなりました。当該技術が利用されている接続のあらゆる時点で、一部の若しくは全ての送信が実際には失われているにもかかわらず、送信者には送信が完了したかのように表示されることがあります。VOIPへの移行は国際事務局(IB) へのファックス及び国際事務局からのファックスにも適用されています。PCT Newsletter の2017年12月号に掲載されたお知らせも、以下のリンク先からご覧ください。

/documents/d/pct-system/newsletters-en-2017-pct_news_2017_12.pdf

ファックスで書類を送信する場合には、失敗したり若しくは未完了の提出のリスクがあるため、IB (受理官庁としてのIBを含む) へ書類を送信する時には、この方式での送信を変更するよう出願人には強く推奨いたします。PCT第19条に基づく請求の範囲の補正を含む、IBへ書簡や書類を送信するためのより効率的で、安全で、信頼できる方法はePCTで対応する“アクション” 機能を利用することです。しかしながら、あなたがePCTにはまだ不慣れで時間も限られているのであれば、代わりにePCTのドキュメントアップロード機能が簡単に利用できるでしょう。当該機能を利用すれば、手動で操作する必要なしに、書類は出願ファイルに直接挿入されるため、IBでの処理が迅速になります。

ePCTのドキュメントアップロード機能を利用するにあたって、WIPOでの他のオンラインサービスを利用するためのアカウントをまだ持っていないならば、あなたがすべきことはWIPOユーザアカウントを作成することだけです。ePCTホームページ上(https://pct.wipo.int) の“WIPO ユーザアカウントを作成” リンクをクリックし、要求される情報を登録し、アカウントの認証手続を行うことにより、ほんの数分でアカウントが作成できます。詳細は、以下のリンク先の“スタートガイド” をご参照ください。

www.wipo.int/pct/ja/epct/pdf/epct_getting_started.pdf

ePCTのより多くの機能をご利用いただけるように、WIPOユーザアカウントには高度な認証方法を設定することをお勧めします。SMSメッセージ形式で受信するか若しくはGoogle認証システム(Google Authenticator) のようにワンタイムパスワードアプリを利用するために携帯電話を使用できるのであれば、この方法は完全にセルフサービスでお時間を取らせません。しかしながら、単純にIBに早急に書類をアップロードすることを望まれる場合には、作成されたユーザIDとパスワードを入力 するだけでログインすることも可能です。そしてその後、高度な認証設定の利用へと移行し、ePCTで使用可能なより多くの機能をご利用いただけます。高度な認証設定なしでログインされる場合には、以下に限定されたePCT機能のみご利用いただける点にご留意ください。

  • 中間書類をPDF形式でアップロードして、IBに提出する
  • きわめて限られた請求がオンラインで提出できますが、利用できる即時チェック機能(Validation: 不備の有無を確認する機能)は限られており、公開後の国際出願への提出のみ制限されます
  • 第三者情報提供サービスを利用する

高度な認証設定を用いてログインしていないと、ePCTにログインしたときにデフォルトのページは空の“ワークベンチ” となり、いかなる場合でも、あなたはePCTシステムでの特定の国際出願へのアクセス権はまだ持っていません。書類(例えば、第19条補正) をアップロードするためには、検索欄でPCTの出願番号と、指示に応じて国際出願日を入力 して、該当する国際出願を最初に確認する必要があります。当該システムは出願日と出願番号が一致するか即時に確認し、一致する場合には、”ドキュメントアップロード”を選択するとePCTで対応するオンライン機能が自動的に開きます。以下の単純なステップを利用して進んでください。

  • “書類の種類” のドロップダウンリストを用いてIBへ送信したい書類の種類を選択してください(高度な認証設定なしでePCTにログインしている場合には、ドキュメントのアップロードが可能な受信者はIBのみである点にご留意ください)。
  • あなたのコンピュータから書類を選択して添付するには“書類を追加” ボタンをクリックして書類を添付してください。“書類を追加” ボタンは、要求されるファイル形式の種類も表示する点にご留意ください。多くの場合はPDF形式ですが、配列リストの場合にはテキスト形式が要求されます(必要があれば、同一のアップロード操作に追加して、より多くの書類の形式を選択することができます)。
  • 全ての必要な書類を追加した後、非公式メッセージの欄では、アップロードされた書類に添付され、自動的に生成されるカバーレターに表示されるための、IBへの任意の非公式メッセージの記入が許可されます(‘プレビュー’ ボタンをクリックするとカバーレターを確認することができます)。
  • 署名を提出する形式を選択してください。
  • 国際出願の署名権者が署名した書簡若しくは他の書類がすでに添付されている場合にはこのオプションオプションを選択できますが、そうでない場合には、テキスト形式の署名を打ち込むか、若しくは署名権者のイメージ署名を含むファイルを添付し、指定される欄に署名者の立場を記載します。
  • 操作を完了するために“アップロード” 機能をクリックし、添付した書類をIBへ提出してください。

詳細は、以下のリンク先から”ドキュメントアップロード” 機能をご参照ください。

www.wipo.int/pct/en/epct/learnmore?N=820

今後の出願に関しては、高度な認証設定を用いてWIPOアカウントを設定し、eOwner若しくはeEditorとしてアクセス権を取得した後は、特定のePCTアクション機能である、”第19条に基づく補正” 機能を利用できます。当該機能はベストプラクティスであり、補正はDOCX若しくはテキストベースのPDF形式のいずれかで添付される必要があります。

たとえ出願が紙形式で提出されたとしても、出願人は出願後に国際出願へのアクセス権
(eOwnership) を請求することが可能です。しかしながら、国際出願を電子的に提出する場合のベストプラクティスは、あなたの選択する受理官庁にて利用可能であれば、出願前であってもePCTのアクセス権を設定できるため、ePCT出願を利用することです。別の方法として、ePCTと互換性のある出願ソフトウェアを利用して電子的に出願する場合には(PCT-SAFE、EPOオンライン出願又はJPO-PAS)、以下のリンク先のFAQで説明されるステップを利用して、出願時にePCTのアクセス権を設定することを強くお勧めいたします。

www.wipo.int/pct/en/epct/learnmore?N=518

ePCTへのログインができない時に、登録なしで書類の基本的なアップロード若しくは国際出願の提出を許可する、新しいPCTジェネラルアップロードシステム(ePCTシステム外で) をWIPOは開発中であることにもご留意ください。