PCTニュースレター 06/2020: 実務アドバイス
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受理官庁としての国際事務局に対し業として手続をとる資格 (国際出願が他国の出願人に譲渡される場合)
Q: 新型コロナウイルス感染症の世界的流行の影響により、出願人 (出願人 A) の国内受理官庁が長期間閉庁していたため、出願人に代わって当方が受理官庁としての国際事務局 (RO/IB) に国際出願を行いました。 出願人AはA国の国民であり居住者であり、当方はA国の特許庁に対し業として手続を行う代理人として登録されています。出願人は、国際出願を B 国の国民であり居住者である新規出願人 (出願人B) へ譲渡することを望んでいます。この状況を受け、出願人 B を代理する資格について、以下の質問があります。
- 当方は、当該出願について出願人 B を代理する資格があるのか?
- 出願人Bは、A国の特許庁に対し業として手続を行うため登録されている新規代理人を選任できるのか?
- 出願人Bは、B国の特許庁に対し業として手続を行うため登録されている新規代理人を選任できるのか?
A: RO/IB に対する手続において、出願人は代理人を立てるべきとの要件はありませんが、出願人が自身に代わって行動する代理人を選任することは、強く推奨されます。 RO/IB に対し出願人を代理する代理人の権能については,PCT 規則 83.1 の 2 に規定されています。規定では、出願人が (または 2 人以上の出願人がある場合には、これらの出願人のうちのいずれかが) その居住者もしくは国民である締約国の国内官庁またはその締約国のために行動する国内官庁に対し業として手続をとる権能を有する者は、国際出願について、PCT 規則 19.1(a)(iii)1 の規定に基づく RO/IB に対し業として手続をとる権能を有する、と定めています。さらに、国際出願について RO/IB に対し業として手続をとる権能を有する者は、その国際出願について、受理官庁以外の資格における国際事務局に対し、ならびに管轄国際調査機関 (ISA) および管轄国際予備審査機関 (IPEA) に対し、業として手続をとる権能を自動的に有します。
上記のシナリオ1については、国際出願を行った時点であなたは出願人を代理する資格を有していたため、RO/IB に関する限り、あなたは、RO/IB および国際機関に対し当該国際出願について引き続き代理人として行動する資格を有します。今後、当該出願が他の出願人に譲渡されるか否かにかかわらず、あなたは代理人として行動する資格を有します。したがって出願人 B は、出願人 B が居住者または国民である締約国、つまり B 国の国内官庁に対し、または B 国のために行動する国内官庁に対し、業として手続をとる権能を有する新規代理人を選任する義務はありません。
あなたが当該国際出願について記録されている代理人として、引き続き行動する場合には、あなたの選任に関して出願人 B が署名する委任状の提出は、必要のないことにご留意ください。 これは RO/IBが、PCT 規則 90.4(d) および 90.5(c) に基づく委任状の提出要件を放棄しているためです。
一方、シナリオ2については、出願人 B がA国で新規代理人の選任を望んでいる場合、出願人 B は A国の官庁に対してのみ業として手続をとる資格を有する代理人は選任できないため、状況は異なります。これは、代理人の新規の選任には、選任される者は、PCT 規則 83.1 の 2 に従い、出願人 B が居住者または国民である締約国の国内官庁、または締約国のために行動する国内官庁に対し業として手続をとる権能を有していること、とされているからです。
シナリオ3に関しては、したがって、出願人 B が B 国の特許庁に対し業として手続を行うために登録されている新規代理人を選任したい場合、上述した PCT 規則 83.1 の 2 の要件を考慮すると、B国の居住者であり国民である出願人 B は、B国の官庁に対し業として手続をとる権能を有する新規代理人を選任することができます。この規定は、国際段階の期間中いつでも適用されます。
なお、出願人 B が新規代理人を選任する場合、新規代理人が RO/IB によって記録されるためには委任状が必要となります。それは IB の委任状放棄の要件には、出願時の願書に記載されていなかった新規代理人が選任される場合の状況は含まれていないためです。
RO/IB に対し業として手続をとる権能があるかの決定は、国際出願が、受理官庁としての国内官庁または広域官庁に対し行われる場合の状況とは対照的です。出願が A 国の国内官庁に対し行われた場合、出願人 B は引き続きあなたを代理人とするか、または当該国内官庁に対し業として手続をとる権能を有する別の代理人を選任する必要があります。これは、国内 (または広域) 官庁に対し出願する場合には、代理人は、PCT 規則 90.1 に従い、国際出願が行われた官庁に対し業として手続をとる権能を有する必要があるためです。したがって、新規代理人は、新規出願人の国籍/居住地にかかわらず、出願が行われた国内/広域 RO に対し業として手続をとる権能を有する代理人でなければなりません。
RO/IB に対する PCT 出願についての詳細は、以下のリンクをご覧ください。
www.wipo.int/pct/en/filing/filing.html