注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

国際出願の一部として及び国際調査のための配列表の提出

Q: 配列表を含む PDF 形式で、電子形式で国際出願を提出予定です。国際調査機関は国際調査のため、配列表をテキスト形式で提出するよう要求していますが、国際出願の提出後に配列表を提出することは可能ですか?

A: PCT 規則 5.2(a)によると、"国際出願が一又は二以上のヌクレオチド又はアミノ酸の配列の開示を含む場合には、明細書には、実施細則に定める基準を満たし、かつ、当該基準に従い明細書の別個の部分として表した配列リストを記載する"とあります。参照される当該基準とは、PCT 実施細則の附属書 C("PCT に基づく国際特許出願におけるヌクレオチド及びアミノ酸の配列表の表示に関する基準")及び WIPO 標準 ST.25(http://www.wipo.int/standards/en/pdf/03-25-01.pdf 参照)に規定されています。基準に準拠した配列表は以下、附属書 C/ST.25 配列表とします。附属書 C/ST.25 配列表は、国際段階における全ての PCT 機関(受理官庁及び国際調査機関(ISA)及び国際予備審査機関(IPEA))、また同様に国内段階における指定(又は選択)官庁において(PCT 規則 13 の 3.3 参照)、出願の審査に使用されます。

国際出願の一部を構成する配列表は、国際出願の他の部分と同時に提出しなければならず、明細書の別個の部分として作成する必要があります。配列表が国際出願日以降に提出される場合、通常は国際出願の一部とはならず、国際出願と共に公開されません。しかしながら、特定の状況下で(下記最後から 2 番目の段落を参照)、国際出願への追加が可能です。配列表を国際出願と同時に提出する場合、国際出願の一部として提出する旨を明示する必要があります。ePCT-Filing(ePCT 出願)では"国際調査"タブをご利用下さい。PCT-SAFE ソフトウェアでは、"内訳"ページに配列表の項目を加えるためには"生物"ぺージの"明細書の配列表"のチェックボックスにチェックを入れて下さい。

PDF の電子形式で国際出願を提出する際、明細書の配列表の部分をテキスト形式で提出することをお勧めします。配列表は国際調査のためテキスト形式で準備する必要がありますし、余分な手数料の支払いを避けるためでもあります。明細書の配列表の部分が PDF 形式で(又は紙で)提出される場合、配列表を構成するページは国際出願の合計ページ数を決定する際に数えられ、30 枚を超える 1 枚ごとの手数料がかかるかもしれません。なお、当該手数料はテキスト形式で提出される配列表にはかかりません。

電子形式で提出される国際出願に含まれる配列表は、電子文書形式である必要があり、電子形式で国際出願を提出する目的において、受理官庁により特定された通信手段により提出される必要があります。ePCT-Filing 又は PCT-SAFE を利用して国際出願を提出する際、配列表ファイルの基本的な確認が行われます。当該ソフトウェアは配列が有効であるかの十分な確認は行いませんが、特定の必要なタグが含まれているか確認するため最初の数行をチェックします。

もし配列表が必要な要件を満たしていない、若しくはヌクレオチド又はアミノ酸の配列表が出願で開示されているが、配列表が提出されていない場合には、ISA は国際調査が適切に実施されるように、電子テキスト形式での附属書 C/ST.25 配列表を、指定した期間内に提出するよう求める(様式 PCT/ISA/225 の使用)でしょう(PCT 規則 13 の 3.1(a))。何れの場合にも、配列表は出願時における国際出願の開示の範囲を超える事項を含まない旨を記載した陳述書を作成する必要があります。また ISA に対し遅延提出手数料を支払う必要があるかもしれません(PCT 規則 13 の 3.1(c))。ISA の必要な要件に従わない場合には、国際調査は制限され、すなわち審査官は特定の配列に関する請求の範囲の調査を行わないこともあります(PCT 規則 13の 3.1(d))。(国際調査のための配列表に関する要件は、国際予備審査にも適用される旨、ご留意下さい(PCT 規則 13 の 3.2)。)

国際調査のためテキスト形式で提出された配列表が国際出願の一部を構成せず、ISA に直接送付された場合には、ISA は IB へ写しを転送し、IB は出願の一部を構成していなかった旨を記載し、国際出願の公開時に PATENTSCOPE に配列表を掲載します。

配列表がフリーテキストを含む場合には、当該フリーテキストを明細書の主要な部分にも記載する必要があります(PCT 規則 5.2 及び附属書 C パラグラフ 36 参照)。

配列表提出のための基準に関する詳細は附属書 C をご参照下さい。電子形式での配列表の作成専用のソフトウェアが無料でご利用いただけます。例えば、

(1) "Patentln"は米国特許商標庁の下記ウェブサイトから

http://www.uspto.gov/web/offices/pac/patin/patentin.htm

または日本国特許庁の下記ウェブサイトから

https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_tokkyo/shutsugan/idensi_txt_de-ta.htm

(2) "BiSSAP"は欧州特許庁のウェブサイトから。詳細は以下をご覧下さい。

http://www.epo.org/applying/online-services/online-filing/auxiliary/bissap.html

出願の一部として配列表を含まなかった場合、下記の特定の状況において、後に提出された配列表が国際出願の一部になることが可能な場合もあります。

  • 必要な条件が満たされている場合(PCT Newsletter 2014 年 12 月号の"実務アドバイス"参照)、PCT 規則 20.6 に基づく引用による補充により含める。しかし、PCT 規則 20.6 が受理官庁及び指定官庁の国内法令に適合しない場合、当該官庁は配列表の引用による補充は受け入れません(PCT Newsletter 2015 年 7-8 月号の"実務アドバイス"参照)。
  • もし配列表を引用により補充することができない場合、国際出願を完成するために国際出願日の 2 ヶ月以内に受理官庁へ提出が可能(PCT 規則 20.5(a)(i))。この場合、配列表の提出日が国際出願日になります。
  • 国際予備審査請求をする場合、出願時における国際出願の開示の範囲を超えない場合に限り、PCT 第 34 条に基づく明細書の補正として配列表を提出可能(PCT 規則 13 の 3.1(e))。

配列表の提出に関する詳細は下記リンク先の PCT 出願人の手引 国際段階のパラグラフ 5.099から 5.104 及び 7.005 から 7.012、

http://www.wipo.int/pct/guide/en/gdvol1/pdf/gdvol1.pdf

及び、下記リンク先の実施細則の附属書 C をご参照下さい。

http://www.wipo.int/pct/en/texts/pdf/ai.pdf