PCTニュースレター 12/2012: 実務アドバイス
注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。
出願様式における発明者の氏名およびあて名の表示
Q: 一法人出願人と発明者一人の国際出願を行う予定です。米国(US)を指定国とする目的で発明者を出願人とする必要がなくなった現在、発明人の氏名とあて名の公開を避けるために、国際出願において発明者を表示することを省略し、その後、国内段階において、必要としている指定官庁に対して、その情報を提供することが可能でしょうか。
A: 最近の米国国内法の改正に伴い US を指定国とする目的で PCT 出願様式に発明者はもはや出願人として表示する必要がなくなりましたし、PCT 出願の国際出願日の認定において発明者の氏名とあて名の提供が求められていませんが、発明者の氏名とあて名を出願時に出願様式に記載することを強くお勧めします。ほとんどの指定国(或いは選択国)において発明者の氏名とあて名が出願過程のある時点で提供されることを要求していますので、国内段階において、それぞれの指定官庁(DO)(或いは選択官庁)に対して情報を提供するのにかかる時間を節約するためにも、出願時にそれらの情報を含んでいることが最も適当です。
発明者の氏名とあて名が提出されなければならない時期に関する要求事項は官庁により異なります。PCT出願人の手引きの附属書B1 及びB2 には、国際事務局(IB)に提供された各PCT 締約国あるいは政府間機関に関する情報が記載され、もし当該国あるいは機関が指定されている場合は、いつ発明者の氏名とあて名が提出されなければならないかが示されています1。中には発明者の氏名とあて名を全く要求しないDO2もありますが、大多数のDOでは発明者の氏名とあて名を出願において提供されなければならないことが規定されています。また、PCT第 22 条(あるいは第 39 条(a))に基づいて適用される期限が来たときに、もしその情報が欠けていれば、所定の期限内にその情報を提供するよう、出願人に命令書を送付することが規定されている場合もあります。しかしながら、そのような命令書を送付しないDOや、国内段階において発明者の氏名とあて名を補充するのに手数料を課すDO、またそうするためのいかなる特別な時間をも許容しないDOもあるかも知れません。国内段階に移行する段階で、発明者の氏名とあて名を提供することを忘れたり、あるいはそうするための手数料を払わなければならないことを避けるため、出願時に発明者の氏名とあて名を記載することをお勧めいたします。
何らかの事情で、発明者が特定の国際出願で名前をあげられることを希望しない場合は、一般的に推奨されておりませんが、出願時に発明者に関する情報を省略することも可能です。このような場合は、受理官庁は、通常、発明者の氏名とあて名が出願様式に記載されていないと注意を促すでしょう。PCT-SAFE のような電子出願ソフトを利用するのであれば、それに相応するような警告メッセージを受けるでしょう。その際、何もアクションをとらなければ、出願手続きはそのまま継続し、出願は発明者の氏名とあて名なしで公開され、また上記に述べたように大多数の DO が、国内段階への移行の時点で、当該情報の事後的な提供を容認するでしょう。しかし、国内段階への移行を希望する DO における関連する要件を慎重に確認してください。
もし発明者の氏名とあて名が国際公開の技術的準備の完了に先立って提出された場合は、発明者の氏名(あて名ではなく)が、国際出願の公開時に PATENTSCOPE の"PCT Biblio.Data(PCT 書誌情報)"タブ で入手可能となることにご留意ください(PCT 規則 48.2(b)(i))(公開から特定の情報を削除するよう要求することは PCT では不可能です)。以前は発明者のあて名も書誌情報タブから入手可能でしたが、2009 年 1 月以降、プライバシーの懸念に応えて、発明者のあて名情報はもはやインターネットサーチエンジンによって検索されたり、表示されたりしないように、書誌情報タブ上では表示されることはありません。しかしながら、PATENTSCOPE の"Documents(書類)"タブを通して入手できる他の書類、例えば PCT規則 4.17(i)に基づいた発明者の特定に関する申立てに関する書類などと同様に、発明者のあて名は国際公開公報においてイメージ形式ですが閲覧可能です。なお、PATENTSCOP において発明者のあて名が検索される可能性がないわけではありません。
国際段階において PCT 規則 4.17(iv)に基づいて発明者である旨の申立てを提出するのであれば、その申立てには発明者の氏名とあて名を含まなければいけません。そして、その申立てが国際公開のための技術的準備が完了する前に受理されましたら、PCT 規則 48.2(x)に従い PATENTSCOPE 上で公開されます。なお、発明者である旨の申立ては国内段階で提出することも可能ですのでご検討ください。
発明者の氏名とあて名が、国際公開後から PCT 規則 92 の 2 で規定されている期限の優先日から 30 ヶ月以内の期間に提出された場合は、発明者の氏名だけが出願の書誌情報に含まれます。なお、発明者の氏名とあて名は、"Documents(書類)"タブで IB が作成したPCT/IB/306(変更の記録の通知)でイメージ形式ですが閲覧可能です。
発明者のあて名の公開を心配されるのでしたら、あて名を加えず氏名のみで発明者を記載することも可能ですが、後日、国内段階で多くの DO に提供する必要がございます。なお、PCT では願書に、発明者の自宅のあて名を記載することを求めておりません(PCT 規則4.4(c))ので、その代わりに発明者の雇用者のあて名を使用することが通常は可能です。これが可能でないのであれば、どのあて名を記載するかは発明者の問題(場合によっては関連する DO の国内法の問題)となります。何れにしましても、国際段階においてそのような目的のために、発明者の自宅のあて名が記載されていなくても IB は異議を唱えません。
また、発明者である旨の申立てにおいて発明者のあて名を示すといった当該申立ての記載項目を決定するのは米国の法律であり、米国の国内法の要件を満たさなかったことによる扱いも米国の法律で規定されています。米国法及び発明者のあて名に関する実務に関するご質問は米国特許商標庁(USPTO)にお問合せください。なお、DO としての USPTO では、発明者が通常、郵便物を受け取るあて名(例えば発明者の職場や私書箱を含む)を発明者のあて名として認めています。
上記のとおり、IB に提供された情報によると、発明者の氏名とあて名は、限られた官庁を除き、ほとんどの DO で求められています。ですので、特別な理由がない限り、国内段階での多くの問題や遅延を回避するために、国際出願時に発明者の氏名とあて名を記載することを強くお勧めいたします。