PCTニュースレター 12/2009: 実務アドバイス
注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。
国内移行期限を過ぎた後の権利の回復の請求
Q: 2007 年 8 月 10 日、つまり、12 ヶ月の優先期間(優先日:2006 年 8 月 4 日)の期限が切れた数日後に、国際出願をしました。受理官庁から、PCT 規則 26 の 3 に従って、優先権を回復するための請求を提出することが可能だという通知を受けましたが、実際には提出しないことにしました。提出しなかったことにより、優先権主張は無視され、また、事実上、国内段階に移行するための出願の準備するためにより多くの時間をかけることができる、と推測していました。しかしながら、2009 年 11 月に国内段階のための出願を準備していたところ、受理官庁および国際事務局から送付された書類に、優先日が 2006 年 8 月 4 日と表示されていることに気がつきました。これに関し受理官庁に問い合わせたところ、国際出願の出願日が優先日より 12 ヶ月過ぎていても、優先日は無効とはみなされず、PCT の期限は、優先日から計算されるとの確認を受けました。ちょうどその時、国内段階に移行するための期限(つまり、2009 年 2 月 4 日が満期)を過ぎていることに気がつきました。国内段階に移行するための期日が 2010 年 2 月 10 日までと改めて計算されうるよう優先権主張を撤回するか、あるいは、当該官庁に対し、出願を回復させるための方法が何か他にあるでしょうか。
A: PCT 規則 26 の 2.2(c)(iii)の規定では、国際出願日が優先期間が満了した日よりも遅い日であっても、国際出願日が当該満了の日から 2 ヶ月の期間内である限り、優先権主張は無効とはみなされません。よって、最初の出願日が国内段階の移行期限を計算する基礎として使用され、さらに適用された期間内で PCT 第 22 条に基づく行為を行わなかったため、PCT 第24 条(1)(iii)に従って、指定官庁(あるいは選択官庁)に対して、出願の効力を失います。
もし期限を国際出願日から計算することを希望していたのであれば、優先権主張を取り下げなければならなかったでしょう。しかしながら、優先権主張を取り下げるための期限(優先日から 30 ヶ月(PCT 規則 90 の 2.3 参照))をすでに経過しているため、今となっては手遅れです。さらに、上述の通り、PCT 規則 26 の 2.2(c)(iii)では、受理官庁または国際事務局に無効な優先権主張を表明することを禁じています。
しかしながら、PCT 規則 49.6(第 22 条に規定する行為を行わなかった場合の権利の回復)に規定に従って、指定官庁に対し請求することが可能であるかもしれません。国内段階への移行期限を遵守できなかった理由がなくなった日から 2 ヶ月、または、第 22 条に規定する期間が満了する日から 12 ヶ月のいずれかのうち早く満了する期間内に、この請求の提出を行わなければなりません。優先権主張が無効とみなされなかったと認識した日は、おそらく期限を遵守できなかった理由がなくなったと時とみなされるはずです。よって、その日から2 ヶ月となるでしょう(この期限は、国内段階の移行期間が満了する日から 12 ヶ月の期限より前に満了するでしょう)。もし指定官庁が適用する国内法令によって許されているのであれば、さらに遅く請求を提出することができるかもしれません。しかし、できるだけ早く回復の請求を提出することをお勧めします。
指定官庁は、一定の例外を条件として、出願人が期間内に国内段階に移行し損ねた場合の特定の国際出願に関して、当該官庁によって適用される基準によりますが、PCT 規則 49.6 に規定された要件を満たしているならば、つまり、故意ではなく、あるいは相当の注意を払ったにもかかわらず、国内段階の移行期限を過ぎてしまったことを示すことができた場合、権利の回復を認める義務があります。しかし、ある一定の官庁はこの点において留保しています。- PCT 規則 49.6 と国内法令との不適合を国際事務局に通告している官庁のリストについて、「留保および不適合」の一覧の「PCT 規則 49.6(f)」の欄をご参照下さい。
http://www.wipo.int/pct/en/texts/reservations/res_incomp.html
ある官庁がこのリストに載っていたとしても、当該国の国内法令に従って依然回復が可能かもしれず、また、いくつかのケースでは、PCT 規則 49.6 の規定より緩やかである可能性がある点にご留意下さい。このようなケースでは、官庁は PCT 規則 49.6 ではなく独自の国内法令の基準を適用するでしょう。
それぞれの指定官庁毎に、また当該官庁についてだけでも、PCT 規則 49.6 に規定された請求の可能性を追求すべきでしょう。指定官庁のいずれかに請求を行った場合、PCT 第 22 条(または状況に応じて第 39 条(1))(PCT 規則 49.6(c))に規定された移行期限を遵守できなかった理由を提示しなければなりません。さらに、指定官庁が適用する国内法令は、手数料が支払われること(PCT 規則 49.6(d)(i))、および上記に示した理由を裏付ける申立てその他の証拠を提出することを要求することができます。
国内移行期限を過ぎた場合の回復の可能性に関する情報は、様々な指定官庁の適用要件の詳細とともに、PCT 締約国毎に、PCT 出願人の手引きの該当する国内段階の中の、「期限を遵守しなかった遅滞に対する許容」の見出しのところで確認できます。それでもなお、このような状況に適用する様々な国内法令に精通している地元の弁理士に助力を求めることをお勧めします。