注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

国際出願の提出に関連する費用: ePCT 出願を利用して関連する手数料を調べる

Q: 当方は初めて国際出願する予定であり、ePCT 出願を利用するつもりです。出願を提出する前に正確な PCT 手数料を調べる方法はありますか?

A: PCT 出願の提出時に支払うべき手数料の金額は、以下に詳述するようにあなたの置かれている状況によって異なります。しかしながら、ePCT で必要な情報を全て入力すると、あなたが出願を提出する

前に、システムが手数料を即時に計算してくれます。当該システムでは、出願人にとって手数料計算が複雑になり得る全ての不確定要素を考慮して計算を行います。

国際出願の提出時に支払うべき手数料には、(該当する場合は) 送付手数料 (PCT 規則 14)、国際出願手数料 (PCT 規則 15) 及び調査手数料 (PCT 規則 16) があります。該当する場合は、優先権書類に関する手数料や優先権の回復に関する手数料をはじめとする、他の手数料の支払も必要な場合があります。

ePCT が手数料の全額と正確な金額を計算する前に、以下に記載した情報を提供する必要があります(ePCT 出願を利用して国際出願を作成する際に表示される順序で説明します)。それは、以下の全情報が全体の手数料計算に影響を与えるためです。

1. 国際出願を提出したい受理官庁を選択する

e-filling (電子出願) システム又はソフトウェアでは通常、出願を予定している受理官庁を選択してから、出願の作成を開始する必要があります。この選択は、以下の手数料計算に直接影響します。

  • 送付手数料。これは大半の受理官庁1により徴収され、その金額は選択した官庁2により異なります。また同様に受理官庁により徴収される他の手数料、及び
  • 調査手数料。受理官庁の選択により、どの国際調査機関 (ISA) があなたの出願のための管轄になるのかも決定します (以下参照)。

国際出願手数料の基本料金は、国際事務局 (IB) が提供するサービスに支払われ、選択する受理官庁にかかわらず、常に同額 (現在 1,330 スイスフラン) です。選択した受理官庁が認める通貨の換算額で支払う必要のある場合もあります。ただし、選択した受理官庁が複数の通貨を認める料金設定を用いていれば、送付手数料は当該官庁の現地通貨で支払い、国際出願手数料は異なる通貨で支払うことが可能な場合があります。その場合には、複数の通貨を表示することが可能です。

2. 該当する場合には、優先権の主張を記載する

優先権書類の認証謄本を準備し IB に送付するよう受理官庁に対し請求する場合、当該官庁が当サービスに課する手数料の金額が、手数料計算に含まれます3。なお、優先権の回復を請求している場合でも、手数料の金額が計算されます。手数料の金額はいずれも、適用される場合は、受理官庁の選択により異なります。

3. 出願人の国籍と居住国を記載する

「氏名」欄に情報を入力する際、出願人の国籍と居住国を記載します。その結果システムは、(PCT 締約国全ての国民及び/又は居住者のための受理官庁として行動する) 受理官庁としての IB (RO/IB) を除いた、他の全ての受理官庁は所定の国の国民及び/又は居住者のために限り行動する点を考慮して、あなたが選択した受理官庁の管轄を検証することができます。

出願人の国籍と居住国を記載することで、ePCTは、所定の PCT 締約国からの出願人に関連する手数料減額が適用されるかどうかを決定することが可能になります。かかる手数料の減額が正しく適用されるためには、出願人全ての国籍及び居住国を記載することが重要な点にご留意下さい。

4. ISA が複数ある場合には、あなたの国際出願のために行動し管轄する ISA を選択する4

上述したように、選択された受理官庁により管轄 ISA が決定されます。多くの受理官庁が ISA として行動する官庁を二以上特定しているため、複数の選択肢があるでしょう5。選択肢がある場合には、その選択によって支払う調査手数料の金額が決まります。それは各 ISA がそれぞれの調査手数料の金額を設定しているためです。

一部の ISA は、出願人の国籍や居住国により手数料減額を提供しています。また出願人が大学や他の学術機関であったり、小規模企業又は零細企業、若しくは政府機関である場合には、手数料減額を提供している ISA もあります。該当するのであれば、出願人はこれらのカテゴリーの一つに該当する旨をePCT にて記載することができ、適用される手数料の減額が ePCT の手数料計算で考慮されます。

また出願言語も、調査手数料の金額に影響します。それは一部の ISA は国際出願が調査される言語によって、異なる金額を課しているためです。

5. 出願の本体を追加する

出願の本体 (明細書、請求の範囲、要約及び (あれば) 図面) を添付すると、ePCT は出願のページ数を計算します。特定の受理官庁 (イスラエル特許庁と米国特許商標庁) では、ePCT に内容の追加はできず、明細書、請求の範囲、要約及び (あれば) 図面の各ページ番号を手動で入力する必要があります。なお PCT 規則 4.17 に基づく申立てを含めた、願書様式 (PCT/RO/101) のページ数も総ページ数に数えられ、入力された書誌データに基づいて ePCT により自動的に計算される点にご注意下さい。出願が 30枚を超える場合には、ePCT は 30 枚を超える枚数の手数料の金額を計算します。この金額は、国際出願手数料の追加料金になります。

あなたは電子出願を行う予定ですので、システムは当然のことながら、PCT 規則に附属する手数料表の項目4に基づき適用される、ePCT 出願に認められている電子出願の減額を自動的に計算します。また画像ベース形式 (PDF) よりも文字ベース形式 (DOCX 若しくは XML) で明細書、請求の範囲及び要約が提供されると、より望ましい手数料の減額が適用されます。

必要な全情報を入力すると、ePCT は、新規国際出願においてそれまで提供されたデータや書類に基づいて手数料を計算することができます。手数料の画面上で 「手数料を表示」ボタンをクリックすると、

支払の必要な手数料の金額が表示されます。また「手数料計算用紙のプレビューを表示」機能を利用して、手数料計算用紙をプレビューすることができます。

国際出願の下書きをその後変更した場合、それに伴い必要な手数料も変更になる可能性があります。したがって、ePCT は自動的に手数料を再計算します。例えば、

  • 出願人が追加された場合、最初の計算に適用されていた手数料減額の資格に影響が生じることがある。
  • 出願言語の変更、出願人の削除又は出願人の変更に関しては、選択された受理官庁がもはや管轄ではなくなることを意味することもある。その場合、受理官庁を RO/IB に変更することが可能。RO/IB は、PCT 全締約国の国民/居住者である出願人が行ういずれの言語による出願も受理 (ePCT 出願で出願の下書きを作成した後は、受理官庁は RO/IB への変更に限り可能な点に注意)。
  • 出願言語の変更、出願人の削除又は出願人の変更に関しては、ISA の選択にも影響する場合があり、それに伴い調査手数料にも影響が生じることがある。又は
  • 追加の書類が添付され、ページ数に変更があった場合には、30 枚を超える用紙一枚ごとに生じる手数料が適用されることになるか若しくは、最初の計算にその手数料がすでに算入されていた場合には、手数料が高くなることがある。

ePCT を利用して国際出願を提出する状況にない出願人に関しては、PCT 手数料に関する情報が PCTウェブサイト上に掲載されています。総まとめした手数料表 (/pct/en/fees.pdf)と PCT 出願人の手引 (/pct/ja/guide/index.html) にある各官庁ごとにまとめられた附属書から確認することができます。PCT 手数料の情報源に関する詳細は、PCT ニュースレター12月号に掲載予定です。

  1. 次の受理官庁は送付手数料は徴収しません: アルジェリア、中国、インド (電子出願の場合)、モロッコ、モンゴル、スロベニア及びトルコ。
  2. ただし、ごく少数の受理官庁では、システムが計算を許可する料金体系が設定されていないため、ePCT では送付手数料を計算することができません。あなたの受理官庁がその一官庁である場合、ePCT は「手数料」のページにて以下のお知らせを表示します。「重要 - ePCT は当該受理官庁に対して支払う手数料の計算をすることができません。支払が必要な正確な金額に関しては、当該受理官庁にお問い合わせ下さい。PCT 出願人の手引の附属書 C をご確認下さい。」あいにく、上述の事例では、出願時点では自動化された手数料計算用紙には0と表示されます。当該受理官庁は、必要な手数料を連絡するために出願後、様式 PCT/RO/102 (所定の手数料の納付に関する通知) を発行します。
  3. 特定の受理官庁では、優先権書類の提出に関連する手数料の全額を計算できない場合があります。詳細は PCT 出願人の手引、附属書 C をご参照下さい。優先権書類の提出に WIPO DAS システムが活用でき、DAS から当該書類を取得するよう IB に請求する場合、手数料は無料です(ただし、一部の提供庁に対して手数料の支払が生じる場合があります)。
  4. 選択した受理官庁が複数の ISA を特定している場合、若しくは、出願人が居住者である国と出願人が国民である国が異なる場合に、受理官庁としての IB (RO/IB) に対して出願する場合、選択肢は広がります。
  5. RO/IB が受理官庁として選択される場合、管轄 ISA は、国際出願が、出願人が居住者若しくは国民である締約国の国内官庁、若しくはその締約国のために行動している国内官庁に対して行われた場合に管轄したであろう機関になります (PCT 規則 35.3 及び 59.1(b))。