PCTニュースレター 11/2019: 実務アドバイス
注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。
WIPOデジタルアクセスサービス(DAS) を使用した優先権書類の提出ーパート1: 最初の出願官庁に対して優先権書類をDASで利用可能とするよう請求する
Q: 当方の国内特許庁に国内特許出願を提出する予定であり、当該出願を将来の国際出願の優先権書類としてDASを使用して利用可能にしたいと考えています。そうするためには、当該書類を利用可能とするよう明示的に国内官庁へ請求する必要があるのでしょうか?もしそうであれば、どのように請求できるのでしょうか?
A: DASは、当サービスのすべての参加庁との安全で信頼性の高く、法的に認証された電子的な書類のやりとりを提供します。またDASは、PCT規則17.1に従いPCTに基づいた、並びに他の条約や法令に基づいた、優先権書類に関する要件を充足するための多くの場合における使用が可能です。DASの使用は、PCT出願が先の出願が提出されたのと同じ官庁には提出されておらず、PCT規則17.1(b) が適用しない場合に、特に有用です。国際出願において先に提出された国内出願の優先権を主張する予定で、DASが使用できる場合(適格性に関する詳細は以下を参照) には、先の出願の認証謄本(優先権書類) がDASで利用可能になっている(PCT規則17.1(bの2)) ことを条件として、単純にDASから先の出願の謄本を取得するよう、国際事務局(IB) に請求することができます。
先の出願を優先権書類としてDASで利用可能とするためには、出願先の官庁(Office of First Filling (最初の出願官庁) (OFF) と呼ばれる) が、DASに基づく"提供庁" である必要のある点にご留意ください。
次の国の官庁は現在、場合により、国内出願または広域出願の提供庁であり、またPCT受理官庁としてのそれらの官庁に対して提出されたPCT出願の提供庁でもあります。オーストラリア、ブラジル、チリ、中国、デンマーク、フィンランド、ジョージア、インド、イスラエル、モロッコ、オランダ、スペイン、スウェーデン、および次の広域官庁、ユーラシア特許機構および欧州特許庁。またIBは、理官庁としての当官庁に提出されたPCT出願の提供庁です。次の国の官庁は現在、国内出願のみの提供庁です。エストニア、日本、ニュージーランド、大韓⺠国、英国、および米国。
その他の官庁は、DAS システムに参加するためのさまざまな準備段階にあり、将来参加する予定です。
IBに対して優先権書類をDASで利用可能とするよう手配するには、主に2つの手順を実行する必要があります。
- 先の出願の謄本をDASに預けるようOFFに請求する。
- その後国際出願を提出するときに、DASから優先権書類を取得するようIBに請求する。
今月号の実務アドバイスでは、優先権書類をDASで利用可能とするようOFFに請求する第一段階に焦点を当てています。第二段階については、PCT Newsletter の次号に掲載される実務アドバイスで詳述する予定です。
一部のDAS提供庁は、当官庁に提出されたすべての特許出願をDASシステムに入力 することを許可していますが、その他の官庁は、例えば電子形式で提出されたものなど、限られた種類の出願に対してのみ当サ
ービスを提供しています。各参加庁の当サービスに関連する範囲は、WIPOのDASウェブサイトにある各官庁の通知に要約されています。www.wipo.int/das/en/participating_offices/
先の出願の謄本をDASデジタルライブラリーに預けるようOFFに請求する方法は、関係するOFFの要件にもよります。例えば、一部の官庁では、請求用の特別な様式の記載を出願人に求めています。多くの官庁は、ウェブサイト上に特定の要件に関する情報を提供しています。また各官庁の要件に関する情報は、入手可能な場合には、上述のWIPOウェブサイト上で見つけることもできます。関係官庁がウェブサイトへの関連リンクをIBに提供している場合には、そのリンクはPCT出願人の手引附属書B1の該当する部分に掲載されています。
米国特許商標庁(USPTO) に関する限り、DAS提供庁として行動するUSPTOに提出された出願は、システム的にDASで利用可能になり、出願にアクセス権を付与する許諾文が含まれている場合には、参加庁は出願書類にアクセス可能な点に出願人はご留意ください。出願人がアクセス権付与の許諾を明示的に拒絶しない限り、USPTOのApplication Data Sheet (ADS) (出願データシート) (PTO/AIA/14) の様式には、参加庁により提出された出願の謄本へのアクセス権を許諾する欄が含まれている点に、ご留意ください。
(必要な場合には) 優先権書類をDASで利用可能とするようOFFに請求した後、OFFは優先権書類の電子謄本を作成しDASに登録します。そして、IBまたはOFFからアクセスコードを受け取ります。または、プロセスの一部として提供されたコードが、アクセスコードとして使用可能になります。例えば、
- 欧州特許庁(EPO) に提出された先の出願の事例では、出願人がオンライン出願(EOLF) または新しいオンライン出願(CMS) を利用して出願する場合、EPOは自動的にDASアクセスコードを生成し、欧州特許権の付与に関する請求の際に発行される受領書に、または国際出願の場合にはPCT願書様式に、そのコードを追加します。そうでなければ、コードは自動的に別個の通知で送付されます(詳細は、www.epo.org/law-practice/legal-texts/official-journal/2019/03/a27.html をご覧ください)。
- JPO PASを利用して日本国特許庁(JPO) に提出された先の出願の事例では、優先権書類は自動的にDASに登録され、アクセスコードはオンライン出願の受領書に記載されます。そうでなければ、紙形式の出願の場合には、出願人はDASアクセスコードを付与してもらうようJPOに対して書面による請求を行う必要があります(詳細は、https://www.jpo.go.jp/system/patent/shutugan/yusen/electronic/das/yuusennkenn_das_tetsuduki.htmlをご覧ください)。
- USPTO に提出された先の出願の事例では、元の出願受理書および電子受領書に記載された確認番号が、アクセスコードとして使用可能になります(詳細は、www.uspto.gov/patents-getting-started/international-protection/electronic-priority-document-exchange-pdx をご覧ください)。
アクセスコードを使用して、先の出願の優先権を主張する出願を提出する第2出願官庁に対して、優先権書類の謄本を取得するよう請求することができます。
先に提出されたPCT出願の優先権を主張するPCT出願の事例では、先の出願の受理官庁として行動した官庁が国際出願をDASで利用可能としている場合に限り、優先権書類の謄本を取得するためにDASルートを使用できる点にご留意ください。この状況のように、IBが先に提出されたPCT出願をすでに保有している場合であったとしても、優先権書類の要件が充足されたとみなされる前に、国内出願と同等の方法で、謄本の送付を請求することが必要となります。
受理官庁 (RO/IB) としてのIBがOFFであり、ePCT出願を利用して出願が作成されている場合のベストプラクティスは、次のボックス、"The receiving Office is requested to make this international application available to the Priority Document Access Service (DAS) (この国際出願を優先権書類デジタルアクセスサービス(DAS) で利用可能とするよう、受理官庁に対して請求する)" をチェックすることです。出願後にそのような請求を行うには、ePCTでのアクション機能"Make international application available to DAS (国際出願をDASで利用可能にすることの請求)" を選択することができます。また、望ましくはePCTを利用してアップロードした書簡により、出願をDASに登録するようRO/IBに請求することも可能です。先の出願が登録されると、RO/IBは様式PCT/RO/132を用いて出願人に固有のアクセスコードを送信します。
PCTにおけるDAS の使用方法の詳細は、以下のリンクから掲載情報をご参照ください。
www.wipo.int/das/en/pdf/pct_and_das.pdf
以下の状況では、DASを使用しないようご留意ください。
- OFFがDAS参加オフィスではない場合、または
- DASサービスからあなたの出願を除外する制限がOFFにある場合(例えば、OFFは電子形式による出願の提出を求めている場合に、あなたの出願は電子形式で提出されていなかった場合)
(先の国内出願または国際出願であれ) 先の出願が提出された受理官庁に国際出願を提出する予定の場合には、PCT規則17.1(b) に基づいた"従来" の方法により、単純に受理官庁に先の出願の謄本を作成し、送付するよう請求する選択も可能です。
DASを使用した優先権書類の提供に関する詳細は、PCT Newsletter 2019年12月号に掲載予定です。