PCTニュースレター 11/2018: 実務アドバイス
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⾒解書/IPRP 第I章の翻訳文
Q: 中国語の国際出願を提出し、国際調査機関としての中華人民 共和国国家知識産権局(CNIPA) が作成した中国語の⾒解書をすでに受け取りました。国際予備審査請求の提出は予定していません。その国際出願をいくつかの指定官庁の国内段階に早期移行するための準備をしようとしているので、国際調査機関の⾒解書の英語の翻訳文を受け取れるのかどうか知りたいです。また受け取るのであればいつなのでしょうか?
A: 出願人が国際予備審査請求を提出した場合、国際予備審査報告(IPER) が作成された場合または作成される予定の場合を除き、国際事務局(IB) はPCT規則44の2.1に基づき、"特許性に関する国際予備報告(特許協力条約第I 章)" すなわちIPRP第I章という表題をつけた国際調査機関(ISA) の⾒解書と同一の内容を含む報告書を作成します。IBは通常(PCT規則93の2.1に基づき) この報告書をそれぞれの指定官庁へ送達しますが、優先日から30ヵ月を経過する前であってはなりません。しかしながら、出願人が (PCT 第23(2)条に基づき) 国内段階へ早期に移行するために指定官庁に対して明⽰の請求を行う場合には、IBは指定官庁もしくは出願人の請求を受け、PCT規則43の2.1に基づきISAが作成した⾒解書の写しをその指定官庁へ送達します。
PCT規則44 の2.3(a) に従い、指定国は自国の国内官庁の公用語以外の言語、もしくは公用語の一言語でIPRP第I章が作成された場合には、その英語の翻訳文を要求することができます。あなたの事例では、国際出願に関しての⾒解書は中国語で作成されたため、中国語が公用語ではない指定官庁は英語の翻訳文を要求する場合があります。そのような翻訳文が要求される場合には、この翻訳文は関連する指定官庁の請求を受け、IBによりもしくはIBの責任において作成されます(PCT規則44の2.3(b))。この翻訳サービスの費用は国際出願手数料で賄われているため、⾒解書の英語の翻訳文に関してIBへ支払う追加の手数料はありません。
通常の状況では、IPRP第I章の翻訳文の写しは、IBが元の言語のIPRP第I 章を関連する指定官庁に送達するのと同時に、当該指定官庁(および出願人) に送付されます。その時期は優先日から30ヶ月を経過する前であってはなりません。しかしながら、PCT第23(2)条に基づき指定官庁に対して国内段階への早期移行に関する明⽰の請求を行う予定であれば、指定官庁の請求を受け、IBによりもしくはIBの責任において⾒解書は英語に翻訳されます(PCT規則44の2.3(d))。⾒解書の翻訳文の早期の作成を出願人 が直接IBへ請求する規定は存在しないことにご留意ください。
IBは翻訳の請求を受理した日から2ヶ月以内に翻訳文の写しを関連する指定官庁へ送達します(PCT規則44の2.3(d))。そしてあなたは様式PCT/IB/310 ("送達された書類に関する通知") とともに翻訳文の写しを同時に受け取るでしょう。
国際予備審査請求が提出された場合のIPERの翻訳文もしくはISAの⾒解書についての情報は、PCT規則72をご参照ください。