PCTニュースレター 11/2017: 実務アドバイス
注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。
"PCT DIRECT"に基づく先の調査結果に関する出願⼈のコメントが、国際調査機関としての欧州特許庁において審査官により考慮されるよう確実にする⽅法
Q: 欧州特許庁(EPO) が調査した先の出願の優先権を主張する国際出願を近く提出する予定です。そして、国際調査機関(ISA) としてのEPOに対し、優先基礎出願の調査⾒解で提起された異議に関するコメントを提出する⽅法があるのか否か知りたいと思っています。もし⽅法があるのであれば、どのように⼿続を進めたら良いのでしょうか?
A: ISAの資格においてのEPOは、"PCT Direct" と呼ばれるサービスを提供しています。当該サービスは、優先基礎出願の調査⾒解でEPOが提起した異議に対し反論する⾮公式コメントを出願⼈が提出することを許可するものです。同様のサービスはイスラエル特許庁も提供しています(PCT Newsletter 2016年7-8⽉号の3ページ参照)。
EPOに関する限り、"PCT Direct"に基づき提出されたいかなる⾮公式コメントも、国際出願の請求の範囲の特許性に関する意⾒書として、また、場合によっては、先の出願と⽐較した出願書類の修正箇所、特に請求の範囲に対する修正に関する説明として、理解されるべきものです。
"PCT Direct"のサービスは、最初の出願で得られたEPOにより作成された結果と、国際段階においてEPOにより実施される後の調査を結びつけるものです。PCT出願⼈は、国際段階において出願書類を補正する(若しくは補正しない) 決定の論理的根拠を説明するために当該サービスを最⼤限利⽤することができます。国際段階において出願⼈と審査官との間での連絡が国際調査の結論がでるまでは⾒込めないという事実を踏まえると、⼿続のこの段階で"PCT Direct" を利⽤することは特に有益かもしれません。また、ISAに対するコメントの提供は、国際段階での肯定的な⾒解書を得る可能性をかなり⾼める場合があります。
貴殿の出願が、EPOにおいて"PCT Direct" に基づき処理されることを希望する場合には、以下の要件を満たしていることを確実にする必要があります:
- 当該国際出願がEPOにより調査された先の出願の優先権を主張している(国際、欧州⼜は国内の最初の出願であり、国際型調査ではないもの)。
- ⾮公式コメントが国際出願(ただし、"PCT Direct" の書簡は国際出願⾃体の⼀部とはならない旨、ご留意ください) と共に書簡形式("PCT Direct"の書簡) で選択された受理官庁(EPOである必要はなく、いずれの管轄受理官庁でも可能) へ提出されている。
- "PCT Direct" の書簡が、別個の書類として国際出願に添付され提出されている。そのような書類は"PCT Direct/⾮公式コメント" として表題がつけられ、ヘッダーには先の出願の出願番号が明確に記載されるべきです。
- 国際出願の請求の範囲及び明細書の⼀⽅、若しくは両⽅が、先の出願のものと異なる場合には、好ましくは当該相違を⽰す注記をつけた写しを提出すべきです。
- 先の調査⾒解の写しも"PCT Direct" の書簡に添付可能です。ただし、ファイルの閲覧に関するPCTの規定に従い、当該書簡は添付書類と共に、公衆に利⽤可能となる点にご留意ください。
- "PCT Direct" の書簡、請求の範囲及び明細書の⼀ ⽅、若しくは両⽅の注記をつけた写しや先の調査⾒解を添付する場合には、⼀つのPDF形式(ZIP形式のファイルではなく) の書類として提出すべきです。
- "PCT Direct" の書簡や添付書類がある場合はPCT願書様式(様式PCT/RO/101) には以下のように記載すべきです。
- 紙形式での出願: 第IX欄のチェックボックス11 ("other (その他)") に"PCT Direct/⾮公式コメント" と具体的に記載する。
- EPOオンライン出願ソフトウェアを利⽤しての出願: 出願⼈は"Content (コンテンツ)" タブ上の"Accompanying items (添付書類)" のサブタブから書類タイプとして、"Applicant letter to ISA concerning earlier search (先の調査についてのISAに対する出願⼈の書簡) (PCT Direct)" を選択し、"Annotate (注釈)" タブ上の"Remark (意⾒)" として"PCT Direct/informal comments (⾮公式コメント)" を表⽰ する。
- EPOの新しいオンライン出願ツール(CMS) を利⽤ してのオンライン出願: 出願⼈は書類タイプとして"Communication concerning PCT Direct (PCT Directに関する通信)" を表⽰し、"Remarks (意⾒)" 欄に"PCT Direct/informal comments (⾮公式コメント)" と具体的に記載する。
- WIPOのePCTポータルを利⽤しての電⼦形式での出願: そのような書類は、"Applicant letter to ISA concerning earlier search (先の調査についてのISAに対する出願⼈の書簡) (PCT Direct)" の項⽬を選択し、"Other documents (他の書類)" としてアップロードする。
- 最後に、"PCT Direct" に基づき提出される⾮公式コメントは、⾃⼰完結した書類であるべきです。なぜなら、先の出願ファイルの⼀部である当該調査報告、当該調査⾒解⼜は他のいずれの提出書類も、公衆に利⽤可能にならない場合があるためです。
上述の要件を満たしている場合、審査官は国際調査報告及び⾒解書を作成する際、これらの⾮公式コメントを考慮します。審査官は⾒解書におい"PCT Direct"の書簡の受理を確認し、国際調査⼿続に関連する限りにおいてその内容に応答することで、貴殿のコメントが考慮されたことを明⽰します。先の調査⾒解を"PCT Direct" の書簡に添付した場合にのみ、審査官はその⾒解に対し明確に⾔及します。
なお、上述の"PCT Direct" の⼿続と、PCTに基づく⾮公式コメントの提出とを混同されないようご注意いただく必要があります。PCTに基づく⾮公式コメントは、ISAの⾒解に対し⾮公式に応答する機会を出願⼈に提供し、国際事務局へ提出するコメントを最終的に指定官庁に利⽤可能にするものです(詳細は、PCT出願人の手引、国際段階のパラグラフ7.030及びPCT Newsletter 2015年1⽉号に掲載された実務アドバイスをご参照ください)。