PCTニュースレター 11/2012: 実務アドバイス
注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。
国際公開を回避するための国際出願の取下げ
Q: 国際公開を回避するために取下げなければならない国際出願を担当している代理人です。計算によると、優先日から起算して 18 ヶ月の国際公開日に向け、国際公開の技術的準備が、おそらくこの一週間のうちに完了する予定だと思われます。国際出願が公開されないことを確実にするため、国際出願を取下げるためにとる最善の手続きについて教えてください。
A: 国際公開を回避するために規則 90 の 2.1 に基づく国際出願の取下げを希望されるのでしたら、国際事務局(IB)が国際公開の技術的準備を完了する前に、取下げの通告(Notice of Withdrawal)をIBに直接提出することを強くお勧めいたします(PCT規則90の 2.1(c)参照)。これらの技術的準備は、通常、国際公開日の 15 日前に完了します(優先日から起算して 18ヶ月経過後、できる限り速やかに行われるよう計画されています)。
国際公開を回避するため、国際出願の取下げが間に合うように考慮される機会を最大にするために、ePCT システムを利用して、IB に対しオンラインで取下げの通告を提出することをお勧めします。もし、ePCT を利用して取下げの通告を提出する場合は、国際出願の電子データにそのことがただちに、また自動的に通知されます。
ePCTをまだご利用されたことがない方は、WIPOユーザアカウントを設ける必要がありますが、それはとても簡単にできます(https://pct.wipo.int/ePCT にアクセスし、オンラインでの指示に従ってください)。WIPOユーザアカウントがあれば、ePCT public services(一般向けサービス)にログインすることができ、国際出願番号及び国際出願日を入力することにより、該当の国際出願を調べることができます。さらに、"Upload documents"機能を利用して、PCT/IB/372 の完成した様式("Notice of Withdrawal(取下げの通告)")(PCTウェブサイト(http://www.wipo.int/pct/en/forms/ib/editable/ed_ib372.pdf)において、編集可能なPDFフォーマットで入手可能)か、書簡の形式による取下げの通告を含むPDFファイルをアップロードすることができます。
"Upload documents"機能を利用して取下げの通告を提出する場合は、正しい書類の様式("Withdrawal of International Application(国際出願の取下げ)")を選択するよう、注意してください。アップロード後、取下げの通告は IB 手続システムに即座に反映され、書類が IBにより手続きされるまで国際公開は中断されます(もし、技術的準備がまだ完了していなければ、その間、国際出願が公開される危険はありません)。一方、IB に対して、郵便(普通郵便、航空郵便、あるいは速達のいずれであろうと)或いはファックスで取下げの通告を提出するのであれば、IB の電子手続システムに適切な日付を入力するため、IB 到着時に手動で操作する必要があり、かなりの時間がかかると思われます。
上記"Upload documents"機能は ePCT private service でも入手可能ですが、もしまだアクセスしておらず、時間に余裕のない方は、ePCT public services にアクセス可能な基本となるユーザアカウントを設けるほうがより早くできます。その後、ユーザアカウントに電子証明をアップロードし、ePCT private service へのアクセスができるようになれば、さらに多くの追加機能がご利用できます。例えば、国際出願に関する全ての書類への公開前のオンラインアクセスや公開予定日を含む最新の PCT 書誌情報へのアクセスができます。もし、すでに ePCT private services へのアクセスが可能でしたら、"Actions"タブで利用可能な機能(国際出願の取下げを含む)を選択すれば、国際出願に関するデータに対して、直接、各種のオンライン機能を利用することが可能です(以下のスクリーンショットを参照)。

ePCT のオンライン"Actions"を利用すれば、個別に書類を準備したり、アップロードするために PDF へ変換したりする必要もなくなります。というのも、このシステムは、選択された機能に合わせて編成された、簡単なウェブフォームにオンラインで記入するよう、提示されるからです。いかなるオンライン機能に関しても、その機能が定められた期日以前にとられることをシステムが自動的にチェックします。例えば、"Withdraw IA(国際出願の取下げ)"機能が選択された場合、もし技術的準備がすでに終了しており、その時点ではそのような取下げ手続によって公開を避けることができないのであれば、国際出願を取下げするかどうかの再考を希望するかもしれないので、即座に警告を発します。
国際出願の公開が避けられない場合の国際出願を取下げに対してのセーフガードもございます。これは、様式 PCT/IB/372(ePCT public services 経由か、ファックスまたは郵送による)提出時に、"the withdrawal is made conditional on it being received by the International Bureau in time to prevent international publication(この取下げは、国際公開を回避できる場合のみ効力を有する)"旨を述べることを可能にするチェックボックスが設けられています。同様に、ご自身で用意した取下げの通告に、そのような条件を付け加えることもできます。
もし、国際出願を取下げるために必要な全ての署名が、IB の電子データ上にされているか確信がない場合は、セーフガードとして、取下げの通告と共に、委任状を提出することもできます。ePCT private services をご利用の場合は IB の電子データ上の書類にアクセスし、願書様式での署名や、IB が必要な委任状を受理しているかどうかを確認することができます。しかし、どのような場合でも、IB は公開を中断させている妥当な期限内に不足している署名を補充するよう求めます。
ePCT の最新版に関するさらなる情報は、PCT Newsletter 2012 年 10 月の 7 ページ(日本語抄訳 5 ページ)をご参照ください。国際出願の取下げに関するさらなる情報は、PCT 出願人の手引きの段落 11.048 と 11.049 をご参照ください。