注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

手数料の未払いにより受理官庁が国際出願を取り下げられたものとみなすのを待つのではなく、積極的に取下げを行う

Q: ある国際出願の代理人ですが、国際出願を提出した翌日に、送達した書類から請求の範囲が数ページ抜けていることに気付きました。本件では先の出願に基づく優先権を主張していないので、引用補充のメリットを享受できず、この状況を是正する最も簡単な方法として、たとえ国際出願の出願日が一日遅れになるとしても、直ちに再度出願を包括的に行うことが良いと考えました。当初の出願に関してですが、受理官庁は手数料の未払いにより、国際出願が取り下げられたものとみなし、その旨を宣言するので(PCT 第 14 条(3)(a) )、単に国際手数料を支払わずにいればよいでしょうか。こうすれば、(一件書類に委任状がない場合に)出願人の署名を入手する必要がなく、出願を積極的に取り下げる必要もないと思うのですが。

A: 規定された期限内に国際出願の出願に関する手数料を支払わない場合は、その出願は受理官庁(RO)により取り下げられたとみなされ、その旨、宣言されます。PCT 規則 16 の 2によれば、送付手数料、国際出願手数料、調査手数料が国際出願の受理の日から 1 ヶ月以内に支払われなかった場合は(PCT 規則 14.1(c)、15.3、16.1(f)を参照)、PCT 規則 16 の 2.1(a)の規定に基づいて、RO はその手数料を補うために必要な額、及び、該当する場合には PCT規則 16 の 2.2 に基づく後払手数料を求めの日から 1 ヶ月以内に支払うよう出願人に求めます。出願人が当該求めに応じず、定められた期限内に総額を支払わない場合は、RO は国際出願が取り下げられたと宣言し(PCT 第 14 条(3)(a)、PCT 規則 16 の 2.1(c)及び 29.1)、出願人に通知します(様式 PCT/RO/117(国際出願が取り下げられたものとみなす旨の決定の通知書))。

しかし、手続きをもはや望まないからといって、手数料の未払いにより RO が国際出願を取り下げられたものとみなすのを単に待つことは、リスクを伴いますのでお勧めできません。これまで、出願人が取り下げられたものと考えていた出願が公開されてしまったという以下のような事例がいくつかあります。

  • RO が手数料の支払いを出願人に求めたものの、出願が取り下げられたものとみなす宣言をするための管理を怠った場合。
  • 国際出願が取り下げられたものとみなされたことを、RO が国際事務局(IB)に通知することを怠った場合。
  • 国際出願が取り下げられたものとみなされたことを、RO は IB に通知したものの、その通知が国際出願の公開を回避できる期間内に IB に届かなかった場合。

国際出願の手続きをもはや望まない場合には、たとえ代理人として選任されるための委任状又は取下げ通知の何れかに出願人の署名が必要だとしても、積極的に取下げ通知を送付することがより確実で、最善の方法です。

IB が記録原本を受理していない場合(様式 PCT/IB/301 により通知されていない場合)は、取下げ通知は RO に送付(可能であれば、電子的又は FAX による送付を推奨)してください。しかし、もし IB がすでに国際出願の記録原本を受理しているのであれば、不要な遅延を避けるため、特に取下げ通知が RO から IB に転送される前に国際出願を IB によって公開されたくない場合には、取下げ通知を RO ではなく IB に提出することをお勧めします。

もし、IB がすでに記録原本を受理していれば、ePCT パブリック又はプライベートサービスを利用して IB に対しオンラインで取下げ通知を提出することで、非常に簡単に国際出願を取り下げることができます。ePCT プライベートサービスを利用可能な場合は、関連するアクション("Withdraw IA(国際出願の取下げ)")を選択するだけで、国際出願を取り下げることができます。もし、ePCT パブリックサービスのみ利用可能な場合は、様式 PCT/IB/372(取下げ通知)(編集可能な PDF ファイルが PCT ウェブサイトからご利用いただけます:http://www.wipo.int/pct/en/forms/ib/editable/ed_ib372.pdf)又は書簡形式で取下げ通知を含むPDF ファイルを"ドキュメントアップロード"機能を利用してアップロードすることができます。また、委任状を ePCT 経由で提出することも可能です。上記の方法で、ePCT サービスを利用することにより、取下げが行われたことを迅速に確認できます。しかし、IB からそういった取下げの確認を受けたかどうかをチェックすることは大切です。もし上記の何れかの方法で送付した取下げの後、48 時間以内にそのような確認を受けていない場合は、IB に連絡し、調べてもらう必要があります。

取下げを提出するための ePCT システムの利用及び当該システムを利用するのに必要なWIPO ユーザアカウントの作成に関する詳細は、次のリンク先の PCT Newsletter 2012 年 11月号の"実務アドバイス"をご覧ください。

http://www.wipo.int/edocs/pctndocs/en/2012/pct_news_2012_11.pdf

まだ紙形式により書類を提出している場合は、出願の取下げ通知のための様式 PCT/IB/372の利用をお勧めします。この様式は正式に署名されなければならず、望ましくは様式に示された番号に FAX すべきです。

国際出願の取下げに手数料はかかりませんし、そうすることで出願時に支払われるべき国際手数料を支払う必要も勿論ありません。国際出願を取り下げることにより、取下げを送付した官庁により取下げが確認されていることを常に確認する必要はありますが、取下げが記録されていることに、より確信がもてます。もし出願時にすでに国際手数料や調査手数料を支払っていれば、記録原本が IB に送付される前、且つ、調査用写しが国際調査機関に送付される前に国際出願の取下げが通知された場合に限り、それらの手数料は払い戻されます。何らかの理由で、国際出願の取下げをせずに、RO が手数料の未払いにより国際出願が取り下げられたものとみなすことを望むのであれば、希望通りに RO が手続きを進めているかどうか注意深く確認しなければなりません。取り得る行動の一つは、RO によって発行された手数料支払いの求め(様式 PCT/RO/102(所定の手数料の納付に関する通知)や PCT/RO/133(手数料の納付の補正命令書))に対して、後払手数料を含む手数料は支払われない旨、及び、出願人は RO が手数料の未払いにより国際出願が取り下げられたものと宣言することを期待している旨を積極的に回答することです。上記の通り、このような手続きは賢明ではありませんが、もし行うのであれば、出願人は RO が確かに出願を取り下げる手続きを行っていることを注意深く確認すべきです。

国際出願の取下げに関する詳細は、PCT 出願人の手引 国際段階のパラグラフ 11.048 及び11.049、PCT 規則 90 の 2 をご覧ください。