PCTニュースレター 10/2013: 実務アドバイス
注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。
取下げのために有効な署名又は委任状の期限内受理の重要性
Q: 国際出願のための代理人として、国内段階への移行を遅らせるため、当該出願の(唯一の)優先権の主張を取り下げたいと思っています。しかしながら、優先権の主張の取下げの期限は 2 日後に迫っており、出願人に当該取下げ通知に署名をしてもらいたいのですが、あいにく出願人と連絡が取れません。そこで本日、ePCT ドキュメントアップロード経由で国際事務局(IB)に、私が署名した優先権の主張の取下げ通知を提出し、後日、出願人に連絡が取れ次第、委任状を提出することは可能でしょうか。それがもし可能なら、IB は当該取下げ通知を IB が受理した日付、つまり期限内に受理されたとみなすでしょうか。
A: 優先権の主張の取下げ通知(PCT 規則 90 の 2 に基づく他の取下げ通知についても同様)が有効であるためには、その通知が以下の二つの要件を満たさなければならないことにご留意ください。
- 所定の期限内(優先権の主張の取下げは、優先日から 30 ヶ月(PCT 規則 90 の 2.3(a))に受理されなければならない。
- 必要な署名がされていなければならない。(出願人又は出願人を代理する者によって署名されていなければならない。)当該取下げ通知が出願人に代わり、代理人により署名され、当該代理人がその時点で出願人によって正式に選任されていない場合、その通知は、出願人により署名された代理人を選任する委任状を伴わなければならない。(PCT 規則 90の 2.5)
したがって、優先権の主張の取下げ通知が本日、(当該通知の提出手段にかかわらず)国際事務局により受理されたとしても、上記両方の要件が満たされた日が、当該通知の受理日とみなされます。それゆえ、当該取下げ通知は、もし署名された委任状が優先日から 30 ヶ月の期限内に提出されなければ考慮されません。
当該国際出願において、出願人/発明者(出願人及び発明者である者)がいる場合を含め、複数の出願人がいる場合(2012 年 9 月 16 日に発効した米国発明法の関連規定より前に提出された国際出願の場合に特に関連します)、当該取下げ通知が有効となるためには、他のすべての出願人の署名も要求されることにご注意ください。
それゆえ、PCT 規則 90 の 2 に基づく如何なる取下げの様式も、全ての必要な署名がなされているか確認するとともに、どのような場合においても、手続上の又は技術的な問題に対処するための時間的な余裕をもって、所定の期限よりも充分前に国際事務局に通知するよう心がけることが重要です。
また、国際出願を提出した受理官庁により、委任状の提出要件が放棄されているとしても(PCT 規則 90.4(d)及び/又は 90.5(c))、貴殿が(代理人として正式に選任される為に)委任状への署名又は願書への署名により出願人の署名を得ておくべきかどうか、注意深く考慮する必要があります。署名を得ることにより、全出願人の署名、又は全出願人によって署名された委任状を要件とする PCT 規則 90 の 2 に基づく如何なる取下げも即座に処理することができますし、足りない署名を得るための遅延を避けることができます。当該署名が受理官庁に提出されておらず、代理人のファイルに保管されているだけだとしても、少なくとも後の手続きで必要になった場合に役に立つでしょう。
もし、優先日から 30 ヶ月に期限内に必要な署名を入手することができなければ、優先権の主張は取り下げられず、国内段階への移行を希望する官庁が国内法に基づき、より長い移行期限を認めていない限り、通常は優先日から 30 ヶ月までに国内段階に移行しなければなりません。30 ヶ月の期限の延長に関する詳細については、下記リンク先の"PCT 第 I 章及び第II 章に基づく国内/広域段階への移行期限"をご参照ください。
http://www.wipo.int/pct/en/texts/time_limits.html