注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

優先権の回復の請求方法とそのような請求に関する申立て及び証拠の提出

Q: まもなく国際出願を提出予定の代理人で、先の出願の優先権の主張を希望しています。残念ながら、やむを得ぬ理由により、1 週間前に満了した 12 ヶ月の優先期間内に国際出願を提出できませんでした。そのため PCT 規則 26 の 2.3 に基づき、(そのような請求を考慮する準備がある)受理官庁に対して優先権の回復の請求を提出する意向です。そのような請求の仕方、またどのような情報が請求に必要なのか説明していただけますか?

A: 優先権の回復の請求は、出願時又はその後でもできますが、優先期間の満了日から 2 ヶ月以内にすることが条件となります(PCT 規則 26 の 2.3(e))。また、国際出願が先の出願の優先権の主張を含んでいるか確認する必要があります(そうでない場合は、上述の期間内に、PCT規則 26 の 2.1(a)に基づき優先権の主張を追加するための通知を提出することが可能です(PCT規則 26 の 2.3(c)))。

ePCT-Filing(ePCT 出願)システム又は PCT-SAFE ソフトウェアでは、出願時に直接、願書様式(PCT/RO/101)(第 VI 欄の選択肢を参照)で優先権の回復の請求をすることが可能です。紙形式の願書様式の場合、複数の優先権主張を含むのであれば、どの優先権主張の回復請求を希望するのか追記欄で明確にしてください。もしくは、PCT 規則 26 の 2.3(e)に規定する期間内に、受理官庁へ書面形式で別個の優先権の回復の請求を提出することも可能です。

優先権の回復の請求を提出する際、受理官庁(RO)は、そのような請求に対し、優先期間の満了日から 2 ヶ月以内に支払可能である手数料を求めることもあるため(2 ヶ月の延長の可能性あり)、そのような手数料の支払が必要かどうか官庁への確認をお勧めします。以下のリンク先の"規則 26 の 2.3 及び 49 の 3.2 に基づく受理官庁及び指定官庁による優先権の回復"(回復に関する一覧)をご覧いただくか、直接、官庁へお問い合わせください。

http://www.wipo.int/pct/en/texts/restoration.html

回復の請求に加えて、以下の情報を回復の請求と同じ書簡に記載するか、又は PCT 規則 26 の2.3(e)に規定する期間内に提出することを条件に、別の書簡として提出する必要があります。

  • 国際出願番号及び国際出願日(わかれば)、出願人と代理人の氏名、そして発明の名称の表示(例えば表紙に)
  • 願書様式では明確ではない場合、優先権が主張されている先の出願の詳細
  • 優先期間内に国際出願が提出されなかった旨の理由(PCT 規則 26 の 2.3(b)(ii))("理由の陳述")、及び
  • 望ましくは、該当する場合には、当該陳述を裏付ける、国際出願の準備及び提出のためにとられた行動を記載した申立て又はその他の証拠(PCT 規則 26 の 2.3(b)(iii))("申立て/証拠")

理由の陳述

理由の陳述は、当該受理官庁が優先権の回復の請求に採用する基準によります。すなわち、受理官庁は、優先期間内に国際出願が提出されなかったことが、次の何れかの場合によるのか特定しています。

  • 状況により必要とされる相当な注意を払ったにもかかわらず生じた場合、又は
  • 故意ではない場合

いくつかの官庁は両方の基準を採用していますが、最も厳しい基準である"相当な注意"に該当するかどうか最初に判断します。官庁によって採用される基準に関する情報については、国際事務局にその旨を通知した関係官庁の場合は、上述の回復に関する一覧でご確認いただけます。

"相当な注意"基準を満たすためには、国際出願の適時な提出のために取られた善後策又は代替策とともに、提出の遅れが生じた事実及び状況の詳細を、当該陳述に記載する必要があります。"故意ではない"基準を満たす要件は通常、上述の場合より厳しくはなく、多くの官庁で、優先期間に従わなかったのは故意ではなかった(実際にそうであった場合)旨の陳述を単に提出するだけで十分です。ただ、当該基準を採用するいくつかの官庁では、申立て形式での陳述書の提出や、期間内に手続きできなかった理由を記載した陳述書(必要に応じて記載した事項を裏付ける証拠とともに)を要求する場合があります。

申立て/証拠

上述のように RO は、優先期間内に国際出願が提出されなかったことが、相当な注意を払っていたにもかかわらず生じたのかどうか判断するために、申立て又はその他の証拠によって裏付けられた理由の陳述を求めます。しかし、RO が"故意ではない"基準を採用する場合には、そのような申立て又は証拠は要求されないでしょう。

PCT 規則 26 の 2.3(b)(iii)に基づく申立てのための所定の様式はなく、申立てに関連する証拠を立証又は記載するための所定の文言もありません。しかしながら、優先期間を見逃さないよう状況により必要とされる全ての相当な注意を払ったにもかかわらず、優先期間内に出願を提出できなかったことを示すあらゆる書類を提出することをお勧めします。通常、"相当な注意"基準を満たすには、申立てと証拠が要求され、"故意ではない"基準では、大抵は陳述書で十分です(次のリンク先の PCT 受理官庁ガイドライン、パラグラフ 166F から 166G を参照:http://www.wipo.int/pct/en/texts/gdlines.html)。

さらなる意見、証拠又は申立てを提出する機会

回復の基準が満たされているかどうかは、案件の特異性を考慮しながら、RO が個別に決定します。RO が優先権の回復を拒否しようとする場合、拒否しようとすることについて意見を述べる機会が与えられ、必要に応じて PCT 規則 26 の 2.3(f)に基づき、申立て若しくはその他の証拠、又はさらなる意見、申立て若しくは証拠の提出が求められます(様式PCT/RO/158参照)。

該当する国内法令に PCT 規則 49 の 3.2 が適用される場合には、国内段階で指定官庁(DO)に対し回復の請求をすることが可能ですが、通常は可能な限り、国際段階で RO に対し優先権の回復の請求をするのが良いでしょう。これが最も単純でコスト効率の良い方法であり、多くの場合、国内段階において指定官庁に対し効力を有します。しかしながら、いくつかの DO は当該 RO の決定を受け入れないことがある旨、ご留意ください。特に RO が"故意ではない"基準を採用するのに対し、DO が"相当な注意"基準を採用する場合(関係各官庁がどの基準を採用しているかの詳細は上述の回復に関する一覧を参照)や、DO が PCT 規則 49 の 3.1(g)に基づく不適合通知を提出している場合です。なお、そのような不適合通知を提出した官庁の詳細は、次のリンク先の"留保及び不適合"をご覧ください。

http://www.wipo.int/pct/en/texts/reservations/res_incomp.html

RO 又は DO が優先権の回復に関する PCT 規則の不適合通知を提出している場合や、国際出願に関する優先権の回復をするか否かについての RO の決定の国内段階での関連事項は、PCT Newsletter 2007 年 4 月、9 月、10 月号、そして 2009 年 11 月号に掲載された実務アドバイスで説明されており、それぞれ以下のリンク先からご覧いただけます。

http://www.wipo.int/edocs/pctndocs/en/2007/pct_news_2007_4.pdf
http://www.wipo.int/edocs/pctndocs/en/2009/pct_news_2009_09.pdf
http://www.wipo.int/edocs/pctndocs/en/2009/pct_news_2009_10.pdf
http://www.wipo.int/edocs/pctndocs/en/2009/pct_news_2009_11.pdf

優先権の回復の請求の詳細は、次のリンク先の PCT 出願人の手引 パラグラフ 5.062 から5.069 をご参照ください。

http://www.wipo.int/pct/guide/en/gdvol1/pdf/gdvol1.pdf

ROの利用を目的としたガイドライン形式での情報も以下のリンク先の PCT 受理官庁ガイドライン パラグラフ 166A から O でご覧いただけます。

http://www.wipo.int/pct/en/texts/gdlines.html

出願人は 12 ヶ月の優先期間満了前の適時に、国際出願を提出することを強くお勧めいたします。そうすることで、不測の事態によって優先期間を見逃してしまう状況を回避することが可能です。