注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

国際公開後であるが、ISR 発行前の国際出願の取下げ

Q: 最近、公開前に国際出願を取り下げようとしましたが、取下書を国際事務局(IB)に遅く提出したので、公開を防ぐことができませんでした。国際出願が公開された時に、国際調査機関(ISA)は国際調査報告(ISR)を発行していなかったので、国際出願は ISR なしで公開されました。ISR の発行前に公開された国際出願は通常 ISR と共に後で再公開されますが、上記のケースでは、国際出願が取り下げられているという事実を考えると、ISR の発行を防ぐことは可能なのでしょうか。

A: 一旦、国際出願が公開されると、ISR の後からの公開を防ぐことはできません。出願について提出された取下書の存在にかかわらず、PCT 規則 48.2(a)(v) に従って、ISR は公開された国際出願の一部となります。上記のケースの国際出願では、ISR(若しくは、ISR は作成されない旨の ISA による宣言)が公開の技術的準備が完了する時にまだ利用することができないことから、ISR(若しくは、宣言)は IB が受理後に別個に公開される旨の注釈が付されて公開されます(PCT 規則 48.2(g))。

国際出願の公開を防ぐとともに、ISR の発行を防ぐ唯一の方法は、取下書が国際公開の技術的準備が完了するまでに IB に届くようにするしかありません(PCT 規則 90 の 2.1(c))。通常、完了するときは実際の公開日の 15 日前になります。(所定の出願が国際公開される可能性がある最も早い日(PCT 第 21.1 条(a)に従って、公開は優先日から 18 ヶ月を経過した後速やかに行われる。)は、PCT 期間計算システム(www.wipo.int/pct/en/calculator/pct-calculator.html)で参照できます。)出願人は公開の技術的準備が完了するできるだけ前に取下げを IB に通知することをお勧めします。また、様式PCT/IB/372 を用い、ファクシミリで送ることをお勧めします。なお、取下書には全ての出願人が署名するか、全ての出願人に正式に任命された代理人が署名することが必要になります。

しかし、国際出願が取り下げられたことが IB から ISA に通知されると(様式 PCT/IB/307)、ISA はその国際出願の処理を即座に中止することができ、ISR を作成することは義務ではなくなります。この状況において、もし ISA が ISR を作成しなかったならば、IB は ISA に作成することを要求はせず、国際出願の再公開も行われません。しかしながら、いつもこのようになる保証はありません。(国際調査が開始される前に、国際出願が取り下げられた場合の調査手数料の払い戻しに関する情報は「PCT 出願人の手引き」の附属書 D の関係箇所をご参照ください。)

国際公開の技術的準備が完了する前に取下書が IB に受理された場合(つまり、出願の国際公開を防げた場合)のみ、国際出願の取下げは有効であることを条件とすることができます(「PCT 出願人の手引き」国際段階のパラグラフ 453 参照)。様式 PCT/IB/372 はこのために特別なチェック欄を設けてあります。国際出願の公開及び取下げについては「PCT 出願人の手引き」、国際段階、パラグラフ 304から 318B 及び 452 から 463 をご参照ください。