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ヌクレオチド及び/又はアミノ酸の配列リストを正しい形式で国際調査機関へ提出しない場合の帰結

Q: イメージファイルとしての配列リストを含む国際出願を提出する予定ですが、国際調査のためには、配列リストはテキストファイルとして電子形式で提出される必要があることに気づきました。出願時にテキストファイルとして配列リストを提出できい場合、出願後にその提出を求められるでしょうか?求められるのであれば、この提出のために特別な手数料を支払う必要はあるのでしょうか?

A: 運用中の22の各国際調査機関(ISA) は、配列リストが国際調査の目的で考慮されるようにするためには、電子形式(テキストファイルとして) による配列リストの提出を出願人に求めます。さらに具体的にいうと、PCTに基づく実施細則の附属書C ("PCTに基づく国際特許出願におけるヌクレオチド及びアミノ酸配列表の表記に関する標準")1 (以下、"附属書C") に定める基準に従う必要があります。附属書CはWIPO標準ST.25 ("特許出願におけるヌクレオチド及びアミノ酸配列表の表記に関する標準")2 においても推奨されています。さらに配列リストは、関連するISAが認める電子媒体で送達される必要があります。

国際出願が必要な要件を満たしていない配列リストを含む場合、例えば紙形式でのみの提出若しくはイメージファイルとしてのみ(例えば、PDF形式) の提出の場合、又は附属書Cに従っていないテキストファイルとして提出された場合には、ISAは、ある一定の期間内に、国際調査のために必要な基準に従う配列リストの提出を[様式PCT/ISA/225 ("ヌクレオチド及び/又はアミノ酸の配列リストの提出の求め、及び該当する場合には遅延提出手数料の支払いの求め") を利用して] 求めるでしょう。また当該求めは、PCT規則13の3.1(c) に従い、ISAへの遅延提出手数料の支払いを要求する場合があり、その額はISAが定めるものとしていますが、国際出願手数料の額の25%を超えてはなりません。22のISAのうち、現在そのような遅延提出手数料を課しているISAは12あります。

  • 国立工業所有権機関(ブラジル)
  • 中華人民 共和国国家知識産権局
  • エジプト特許庁
  • 欧州特許庁(EPO)
  • フィンランド特許登録庁(PRH)
  • イスラエル特許庁
  • インド特許庁
  • 韓国知的所有権庁
  • 連邦知的所有権行政局(Rospatent) (ロシア連邦)
  • トルコ特許商標庁(Turkpatent)
  • 米国特許商標庁(USPTO)
  • ヴィシェグラード特許機構(VPI)

上述の様式では、PCT規則13の3.1(a) に基づき提出された附属書Cのテキストファイルに含まれる情報が、提出された国際出願の一部を構成する配列リストと同一であることを確認する陳述を提出することも求めます。

指定された期間内に求めに従わない場合、例えば求めに対する応答として後から提出された配列リストが必要な基準に従っていない場合には、PCT規則13の3.1(d)に従い、ISAは配列リストなしで有意義な調査を行うことができる範囲においてのみ国際出願の調査を行うことを要求されるため、国際調査は制限され得るでしょう。これは審査官が特定の配列を対象にした請求の範囲を調査しない可能性があることを意味します。

後から提出された配列リストが必要な基準に従っている場合であっても、上述のISAの一つにより遅延手数料が要求されており、指定された期間内に当該手数料を支払わない場合には、求めに応じて提出された配列リストが考慮されない可能性があります。

それぞれのISAが要求する電子媒体の種類に関する情報や、どのISAがPCT規則13の3.1(c) に従い、遅延提出手数料の支払いを課すのかを知るための情報、また当該手数料の適用額についての情報はPCT出願人の手引附属書Dの関連部分をご参照ください。

国際出願の一部を構成する配列リストは、国際出願の他の部分と同時(又は少なくとも同日) に提出される必要があることにご留意ください。また国際出願の提出時に配列リストが附属書Cのテキストファイルとして提出される場合は常に、その提出されるテキストファイルが国際出願の開示と調査目的の両方に使用されるため、PCT規則13の3に基づく目的のためテキストファイルの別のコピーを提出する必要はないことにもご留意ください。

明細書の配列リストの部分は、ISAにとって正しい形式の配列リストであるように、国際出願の提出時に附属書Cのテキストファイルとして提出するよう出願人に強くお勧めいたします。こうすることでISAに対する必要な遅延手数料の支払いを回避できるだけでなく、30枚を超えた場合に支払う手数料のために国際出願のページ/用紙の全枚数を計算する場合にもテキスト形式による明細書の配列リストの部分は考慮されないで済むでしょう。国際出願と共に配列リストを提出する時には、願書様式において国際出願の一部として記載されるべきです。この作業を実行する場合の方法は、出願方法によって異なります。例えば以下のとおりです。

  • ePCTを利用して出願する場合には、配列リストは附属書Cのテキスト形式である必要があり(PDF形式は許可されていません)、"国際調査" の欄に添付されるべきです。"国際調査のために電子 形式の配列表を添付する" の欄をチェックし、"国際出願の一部を構成する書類として提出"を選択すべきです。
  • PCT-SAFEを利用して提出する場合には、最初に生物のタブから"明細書は配列表を含む" の欄をチェックし、附属書Cのテキストファイルをアップロードする時に内容のタブから、"明細書の一部として提出する" の欄をチェックすべきです。
  • EFS-Webを介して受理官庁としての米国特許商標庁へ出願する時に、PDFでの願書様式を利用して電子的に出願する場合には、様式PCT/RO/101の第IX欄の項目(g) の関連する欄をチェックすべきです。
  1. 参照: http://www.wipo.int/pct/en/texts/pdf/ai.pdf
  2. 参照: http://www.wipo.int/pct/en/texts/pdf/ai.pdf and http://www.wipo.int/standards/en/pdf/03-25-01.pdf