注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

複数の出願についてのPCT規則92の2に基づく代理人の変更の記録:PCT出願の一覧と関連する委任状を提出することと、包括委任状を提出することとの違い

Q: 当方は特許代理人であり、企業出願人により他の代理人から一連のPCT出願を引き継ぐよう依頼されました。幾つかの出願は、当面の間は現在の代理人の下に残りますが、特定の他の既存の出願及び全ての今後の新規出願は当方が代理人となる予定です。出願人は通常、ある特定の受理官庁へ出願しています。代理人の変更及び委任状の提出に関する作業を進める上で最善の方法を教えていただけますか?

A: 貴殿はPCT規則92の2に基づく変更を記録するよう国際事務局(IB)に要請すべきです。そうすることで貴殿が引き継ぐそれぞれの既存の出願の新しい代理人として記録されます。そのような変更の要請には、出願人により署名された委任状が添付されるべきです。

関連する各出願に関し個別の変更要請を提出し、対応する委任状を提供することのより便利な代替手段として、出願のうちの一つのみに単独の要請を提出することができます。その際、同様の変更を行う他の出願番号の一覧を添付してください。今後の出願に関して同じ受理官庁に対し引き続き同じ出願人を代理するということを念頭に置いた場合、関連するそれぞれの特定の出願について委任状を提出するよりも、むしろ企業出願人の署名権者により署名された包括委任状の提出を考慮してもよいでしょう。

PCT国際段階において、"包括委任状"は、"出願人がすることができるいかなる国際出願についても、出願人を代理する代理人を選任する別個の委任状"としてPCT規則90.5に規定されています。PCTにおける特別な点は、委任状の提出要件の放棄が適用されず出願人の署名が要求される場合において、包括委任状の原本を受理官庁に寄託する必要があり、当該委任状の写しが国際段階における関連する通信に添付されることです。

IBは通常、PCT規則90.4(d)及び90.5(b)に基づき、別個の委任状又は包括委任状の写しを提出する要件を放棄していますが、PCT実施細則の第433(b)号に従い、別個の委任状及び/又は包括委任状の写しが提出されるべき特別の事例を規定しています(PCT規則90の2.1から90の2.4に規定する取下げの通知が提出される場合以外)。つまり、"出願時の願書に記載されていなかった代理人又は共通の代表者を選任する際、又はそれらの者により提出されるいずれの書類にも"、委任状を提出すべきであるとIBは規定しています。

IBのように、多くの官庁は、受理官庁、国際調査機関、補充調査機関及び/又は国際予備審査機関としての資格において、委任状の提出要件の放棄及び例外に関する通知をしていることにご留意ください。関連する表は、以下のPCTホームページでご覧いただけます。

www.wipo.int/pct/en/texts/waivers.html

包括委任状の提出を選択する場合、対象となる出願が提出された(そしておそらく今後、貴殿が出願を提出するであろう)受理官庁へ原本を寄託すべきです。例えば、IBへ代理人の変更の記録要請又は取下げの通知を提出する場合のように委任状が要求される度に写しを作成する必要があるため、判読可能な写しを保有すべきことにご注意ください。そうすることで上述のケースの度に出願人の署名を取得する必要はなくなります。

包括委任状を含む、委任状を作成する際の定型書式は、以下のPCTウェブサイトでご利用いただけます。

www.wipo.int/pct/en/forms/pa/index.html

単に一つ又は複数の特定の出願に関する委任状を作成するのではなく、今後の出願を考慮し上述したように受理官庁へ寄託することを選択する場合、"包括委任状"のみに関連する定型書式を確実に使用してください。

規則92の2に基づく変更、又はいずれの種類の要請であっても、IBへ要請を提出する際の最善の方法は、ePCTシステムを利用することです。貴殿が引き継ぐ出願については、対象となる国際出願の一つに関し、代理人の変更を記録するようIBへ要請する書簡のPDF版をアップロードすることをお勧めします。そして同様の変更に関連する他の国際出願番号の一覧も、包括委任状(包括委任状がすでに受理官庁へ提出されている場合は包括委任状の写し、又はそうできない場合には、対象となる各出願についての委任状)とともに含めて下さい。アップロードする書類の種類を選択する場合、"(複数の国際出願に係る)規則92の2に基づく変更の記録要請"を確実に選択してください。そうすることで、関連する各出願の電子コピーを複製するIBでの手続がより促進されるでしょう。

上述の手続の一部として、IBはePCTのアクセス権の修正が必要であるかどうか確認します。ただしIBは、それまでにそのようなアクセス権を有していなかった新規の者に対して、ePCTでの新たなアクセス権を設定する権限はありません。IBは既存のアクセス権の停止及び/又は再開のみ可能です。貴殿が新しい代理人として選任されることにより、前の代理人の選任が無効になるため、前の代理人がePCTにおいて有しているいかなるアクセス権も、代理人変更記録の手続の一部としてIBにより停止されます。ePCTにおいてアクセス権を有していた前の代理人が、予定されている代理人の変更を考慮し、すでに貴殿にアクセス権を付与したのでなければ、代理人として引き継ぐ各出願へのアクセス権に関しePCTを介して新たにオンラインで要請することを強くお勧めいたします。ePCTを利用して今後の出願をする場合、オンラインでのアクセス権は自動的に貴殿に付与されるため、IBへ別個の要請をする必要はありません。ePCTサポートページはアクセス権に関する詳細を提供しています。以下のリンク先をご覧ください。

www.wipo.int/pct/en/epct/support.html

下記の追加情報は規則92の2に基づく要請一般について適用されるものです。

  • 変更の要請に含まれる出願の一覧には、30ヶ月の期限が満了していない出願のみを含むべきです。変更の要請は優先日から30ヶ月以内にIBへ到達すべきことにご留意ください。そのため、変更の要請は受理官庁を通さずに直接IBへ提出されることをお勧めいたします。当該期限を超えると、いずれの変更も国内段階における各指定(又は選択)官庁に対し個別になされる必要があります。特定の指定/選択官庁においては国内段階へ移行するためのより長い期限を適用する場合がありますが、当該変更の要請に適用される期限は全ての場合において30ヶ月です。
  • 出願人が国際公開において特定の変更が反映されることを望む場合には、通常、公開日の15日前にあたる国際公開の技術的な準備の完了前に、関連する書類がIBへ到達する必要があります。公開後であっても、30ヶ月以内にIBへ変更が要請された場合、当該変更はPATENTSCOPEの書誌データタブにて反映されます。またIBは指定又は選択官庁により要請されている場合、変更に関連する全ての当該官庁へ、(PCT規則93の2に従い)様式PCT/IB/306(変更の記録の通知)を用いて通知します。IBは受理官庁へも通知します。また国際調査機関、補充調査を管轄する機関又は国際予備審査機関に対し出願が継続されている限りは、それらの機関へも通知します。
  • 国際段階では変更の記録に関する特別な手数料は存在せず、国際出願手数料によりまかなわれます。

変更の記録に関するさらなる詳細は、PCT Newsletterの以下の号に掲載された"実務アドバイス"をご覧ください。

  • 2016年6月号:ePCTを利用したPCT規則92の2に基づく変更の記録要請:国際出願へのアクセスが停止される場合、及びどのアクセスがどの程度遮断されるのか
  • 2012年4月号:代理人の変更がある場合のePCTでのアクセス権の変更