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国際出願をする際に国の安全に関する規定を考慮することの必要性

Q: ePCT 出願を利用して国際出願を提出したいと考えていますが、出願人の通常の国内受理
官庁はそのような出願をまだ受付けていません。そのため、国際事務局を受理官庁(RO/IB)
として出願しようと考えています。というのも、RO/IB は ePCT 出願を受付けており、いか
なる PCT 締約国の居住者及び/又は国民からも国際出願を受理するからです。しかし、国内
官庁に出願しなかった場合、国の安全に関する問題が生じ得るかどうか教えてください。

A: 受理官庁としての国際事務局(RO/IB)に(あるいは広域特許庁に対して)出願すること
で、国の安全に関する規定を考慮する必要がなくなることはありません。RO/IB に直接出願する場合、国内法で定められた国の安全に関する規定の遵守は RO/IB では確認されず、出願
する前にそのような規定を遵守していることを保証することは出願人としての責任です。同
様の制限は、広域特許庁の特定の加盟国にも適用され、欧州特許庁に国際出願した場合がそ
の例です。

これらの規定の要件は多種多様で、ある国では国の安全に関する理由から全ての外国出願を
制限します。すなわち、関連する国内法により、発明がなされた国以外の国や出願人が居住
者及び/又は国民である国以外の国に出願するために政府の許可を求めることが必要となり
ます。また、発明が特定の技術分野に関連している場合にのみ制限する国もあります。
次に示す PCT 第 27 条(8)のとおり、PCT においてそのような制限は許容されています。
"この条約及び規則のいかなる規定も、締約国が自国の安全を保持するために必要と認め
る措置をとる自由又は締約国が自国の一般的な経済的利益の保護のため自国の居住者若し
くは国民の国際出願をする権利を制限する自由を制限するものと解してはならない。"
そのため、PCT 受理官庁として国内官庁に出願する際、国の安全に関する国内規定が適用さ
れるかどうか検討する間、またもし適用されるのなら、国の安全に関する許可を与えるかど
うか検討する間、当該官庁から国際事務局や国際調査機関への国際出願の送付を遅らせるこ
とができます(PCT 規則 22.1)。もし、国の安全に関する許可を与えるべきではないと判断
されれば、当該出願を国際出願として扱わないと宣言することができ、様式 PCT/RO/147(国
の安全に関する理由により記録原本及び調査用写しが送付されない旨の通知)が発行されま
す。
ご質問からは国内官庁に先の出願をしているかどうか分かりません。多くの場合、先の国内
出願を出願人の国内官庁に出願し、その後の出願の主題が先の出願と同一であれば、通常、
必要な国の安全に関する点検はすでに実施され、出願人はすでに後の出願に関する必要な許
可を政府から受けているかもしれません。例えば、もし発明が米国でなされ、6 ヶ月以上前
に当該国に先の出願が提出され、その後、安全に関する命令が発行されていなければ、他の
国に後の出願を提出する権利があります(特許庁長官から取得した許可証により許可されて
いるのであれば、6 ヶ月より早く出願することは可能です(次のサイトの USPTO の審査基
準の§ 140 "Foreign Filing Licenses(外国出願に関する許可証)"を参照:
http://www.uspto.gov/web/offices/pac/mpep/s140.html))。
最後に、もし国籍や住所、発明の性質によって国の安全に関する規定の対象となり、当該発
明に関してまだ国の安全に関する許可を受けていないのであれば、RO/IB に対して国際出願
を提出する前に国内受理官庁に連絡すべきです。
国内官庁が、国内官庁が国の安全を理由に、当該国内官庁以外の官庁に提出する予定の PCT
出願に適用される外国出願の制限について IB に通知している場合、その情報は、PCT 出願
人の手引 附属書 B1(締約国に関する情報)で、管轄受理官庁のリストの脚注として参照可
能です。次のリンク先の該当する官庁をクリックしてください。

http://www.wipo.int/pct/en/appguide/