注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

国際調査を行った機関でない国際機関に予備審査請求を行う

Q:PCT 出願に対する国際調査報告を受理したので、この出願に関する国際予備審査の請求を提出しようと考えています。国際調査機関として行動したのと異なる国際予備審査機関を選択することは可能でしょうか。

A:出願人が、国際調査機関(ISA)として行動する国際機関(以後「機関」と呼ぶ)と異なる国際予備審査機関(IPEA)を選択することを阻むものは、PCT にはありません。しかし、出願人がそうすることができるか、あるいはそうすべきなのかは、下記に述べられているように多くの要素によって決まります。下記にある例は、現在の PCT 出願人の手引に掲載されている情報に基づいたものですので、変更される可能性があることにご注意ください。

それぞれのPCT受理官庁(受理官庁としての国際事務局(RO/IB)を除く)は、必要に応じて機関の取決めを条件として、国際出願に関する国際予備審査を行うための管轄 IPEA を 1 以上特定し、多くの場合、受理官庁は複数の IPEA を特定しています。これは、出願人の IPEA の選択が、国際出願を提出する受理官庁によって決定されることを意味します(ISA についても同様)。RO/IB に国際出願された場合、管轄 IPEA は、その国際出願が、出願人が居住者又は国民である締約国の国内官庁又はその締約国のために行動する国内官庁にされたとしたならば管轄したであろう機関となります。(PCT 規則 35.3(a)参照)

しかし、場合によっては、出願人には選択の余地がないかもしれません。特定の受理官庁では、提出された国際出願に関して、唯一の管轄 IPEA が国際予備審査を行う場合があるからです。例えば、受理官庁としての欧州特許機構(EPO)に出願した出願人はこの例に該当し、IPEA(及び ISA)は EPO となります。

受理官庁が 1 以上の機関を ISA 及び IPEA として特定している場合、出願人は ISA として 1 つの機関を選択し、その後、別の機関に国際予備審査の請求を提出することができるかどうかは以下によります:

  • IPEAの中には、国際調査がIPEA と同じ機関によって行われた場合、または他の特定の機関によって国際調査が行われた場合に選択可能となる機関があります。例えば、国際出願が受理官庁としてのメキシコ工業所有権機関に提出された場合、出願人は次に示す ISA としての機関を選択できます:EPO(ISA/EP)、スペイン特許商標庁(ISA/ES)、スウェーデン特許登録庁(ISA/SE)、または米国特許商標庁(USPTO)(ISA/US); ここで、例えば国際調査がISA/US で行われた場合、出願人は IPEA/EP を選択できませんが、国際調査が ISA/EP、ES又は SE によって行われた場合は IPEA/EP を選択可能です。同様に、IPEA/US については、国際出願が特定の受理官庁に提出された場合(例えば、知的財産局(DIP)(タイ))、ISA/USが国際調査を行わなかった国際出願については IPEA/US で予備審査を行いません。その他、多くの機関で同様の制限を有しています。
  • IPEA の中には、特定の言語で提出された国際出願についてのみ国際予備審査を行う機関もあります。要件は通常、ISA に関し適用されるものと同じです。例えば、日本国特許庁や韓国知的所有権庁は、受理官庁としての知的所有権庁(フィリピン)に提出された国際出願について ISA 及び IPEA として行動しますが、英語で出願された場合のみです。
  • ISA 及び IPEA は通常、PCT 規則 39.1 及び 67.1 に規定された (i) から(vi)までの対象については、調査または審査をしません。しかし、その対象のいずれかが、それぞれの国内(または広域)特許付与過程で調査/審査されるなら、これらの規定には例外が適用されます。そのため、他の管轄機関によって国際出願の対象が審査されないのであれば、出願人は国際調査を行った機関と同じ機関に予備審査請求を提出せざるを得ません。
  • 出願人は、国際予備審査にかかる費用は IPEA 毎に大きく差があるので、他の IPEA の手数料を調べるでしょう。また、国際出願の状況により IPEA での手数料はまちまちです。IPEA の中には、出願人のカテゴリーにより手数料の軽減をする機関(例えばオーストリア特許庁(IPEA/AT)、国立工業所有権機関(ブラジル)(IPEA/BR)及び IPEA/EP)がある一方、同じ機関で ISR が発行されていない場合に、より高い料金を課す機関(例えば、オーストラリア特許庁(IPEA/AU)、IPEA/RU、IPEA/US)もあります。手数料や適用される割引に関しては、PCT出願人の手引の附属書 E をご参照ください。
  • 国内(または広域)段階で多くの官庁は、国際予備審査が行われた国際出願に対して、中には当該官庁または特定の官庁によって国際予備審査が行われた場合のみ、国内手数料の減免を行います。例えば、中華人民共和国国家知識産権局の場合、当該官庁により ISR および特許性に関する国際予備報告(PCT 第 II 章)(IPRP 第 II 章)が発行されていれば、国内段階では審査手数料はかかりません。指定官庁の中には、当該官庁により ISR または見解書(第I章)が作成されていれば減免の対象となるところもあります。例えば、USPTO の場合、見解書が ISA/US により作成され、すべての請求の範囲が PCT 第 33 条(1)から(4)の規定を満たしていれば、出願人は国内段階での調査及び審査手数料が免除されます。EPO の場合、ISAまたは IPEA として行動した機関によって、適用される手数料の減免の程度が異なります。各官庁の国内段階での手数料の減免については、PCT 出願人の手引の国内段階の概要をご参照下さい。
  • 国際予備審査が早急に行われることを希望する場合、どの機関に予備審査請求をするかを決める際に管轄 IPEA の適時性の統計を参考にすることは有用です。IB により編集されたものが次のサイトでご覧になれます。

http://www.wipo.int/ipstats/en/statistics/pct/

しかし、出願人が ISA として行動した機関と異なる IPEA を選択できたとしても、多くの出願人は国際調査及び国際予備審査を行う機関と同じ機関を選択しています。そうすることで、同じ審査官が国際調査と国際予備審査を担当することが多くなり、IPEA は出願のファイルに迅速にアクセスでき、国際調査結果をより容易に利用することができます。それにより、特許性に関する国際予備報告(PCT 第 II 章)をより早く、おそらく割引料金で入手することができるという結果を生みますが、他の言語による可能性を踏まえた、セカンドオピニンや追加的な先行技術を提供するようなものではないでしょう。

なお、国際予備審査請求を容易にするために、ePCT プライベートサービスで新しい'Action'が利用可能で、この ePCT のサービス(必要な書誌データを自動作成)を使えば、予備審査請求を IB 経由で管轄 IPEA にオンライン転送することが可能です。この新しい ePCT の機能では、管轄 IPEAのみが選択できるようになっており、また出願人が間違った手続きをしないようにする機能、例えば、予備審査請求が有効な期限内に提出されているかどうか、国際予備審査の目的で当該IPEAが認める言語を選択されているかどうか、などをチェックする機能を備えています。

各受理官庁により特定されたIPEA を調べる際には下記リンク先のPCT出願人の手引の附属書Cを、上述の IPEA における制限については附属書 E をご参照ください。

http://www.wipo.int/pct/en/appguide/

または、IPEA としての官庁の機能に関する取決めについては、下記リンク先をご参照ください。

http://wipo.int/pct/en/access/isa_ipea_agreements.html

PCT第34条(2)(b)に基づく、国際出願の明細書、及び/または図面の補正を利用せず、国際出願の第二の調査の要請のみ関心があるのであれば、国際調査を行った機関と異なる機関に予備審査請求を行う代わりに、補充国際調査制度を利用する方法があります。ISA や IPEA の選択の要件と異なり、補充国際調査機関(SISA)の選択は、受理官庁によって特定の機関に限定されるものではありません。国際調査を行った機関でなければ、何れの SISA に補充調査を請求することが可能です。現在、補充調査を行える機関はオーストリア特許庁、EPO、連邦知的所有権行政局(Rospatent)(ロシア連邦)、フィンランド国立特許・登録委員会、北欧特許機構、スウェーデン特許登録庁であり、それぞれの SISA では特定の言語での文献調査を行う点が特徴です。補充国際調査に関するさらなる情報は、PCT ニュースレター 2012 年 1 月号の実務アドバイスをご参照下さい。