注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

実務アドバイス(欠陥の補充の求めがされていない場合における、差替え図面の提出

Q: 国際出願を出願する際に、急いで作成した図面を提出してしまいました。その図面は十
分な品質を担保していないと思われます。しかし、今のところ、より良い品質の差替え図面
を提出することを受理官庁から求められていません。受理官庁によって欠陥の補充の求め(様
式 PCT/RO/106)が送られていない場合であっても、差替え図面を提出することは可能でし
ょうか。もし、可能であれば、期限はいつでしょうか。更に、国際事務局が国際公開後に差
替え図面を受け取った場合には、指定官庁に送付してもらえるのでしょうか。

A: もし、提出した図面の品質が不十分であるのなら、受理官庁からの国際出願の欠陥の補
充の求めを待つ必要はありません。図面の形式的な訂正をするために、出願人自らの判断で
PCT 規則 26 に基づく差替え用紙を提出することが可能です(PCT 受理官庁ガイドライン、
第 209 項参照:www.wipo.int/pct/en/texts/pdf/ro.pdf)。受理官庁による求めがなくとも差替え
用紙を提出できるのは図面に限りません。国際出願の文字に関しても同様に適用されます。
ご質問の場合では、受理官庁は訂正の求めの必要性を認めていないのかもしれません。しか
し、受理官庁が訂正の求めをしなかったからといって、国内段階で PCT 規則 11 に基づく要
件に適用することを指定(選択)官庁が出願人に求めることは可能です。

紙形式で出願された図面又は文字の品質が十分であるか否かを判断する際には、国際事務局
によって公開目的でその頁がスキャンされることを年頭に置く必要があります。また、国際
出願を1通のみ提出することを要求している受理官庁によっては、当該受理官庁が検索目的
で(コピーまたはスキャンによって)国際出願の写しを準備することがあります。従って、
図面の低品質の写しは調査の質に影響する可能性があります。

差替え用紙は、国際事務局ではなく、直接受理官庁に送る必要があります。そして、国際公
開のために受理官庁から国際事務局にその用紙が送付されます。受理官庁から欠陥の補充が
求められていない場合には、受理官庁に差替え用紙を提出する期限はありません。しかし、
受理官庁の送付によって、国際公開の技術的準備が完了(通常、公開日の 15 日前)する前
までに、国際事務局がその用紙を受理できるようにするためには、その用紙を十分な余裕を
持って受理官庁に送る必要があります。その用紙が国際事務局に間に合って受理された場合
には、国際公開の一部として公開されます。

もし、国際事務局による図面の受理が間に合わなかった場合には、指定官庁にはその図面は
送付されません。国内段階において、各指定官庁に個別に差替え用紙を提出する必要があり
ます。受理が間に合わなかった図面は WIPO ウェブサイトで公開される国際特許出願のデー
タベース(PatentScope)からは参照できません。しかし、国際事務局の有する一件書類に
含まれることになりますので、以下の方法で参照可能となります。

  • 規則 94.1(a) に基づいて、手数料の支払いを条件として、出願人の承諾を得た者に対し
    て当該図面は送付されます。
  • 規則 94.1(b) に基づいて、手数料の支払いを条件として、国際出願の国際公開後、いか
    なる者に対しても当該図面は送付されます。

従って、受理官庁から訂正の求めを受領していない場合であっても、最初に提出した用紙で
はコピーやスキャンによって公開の明瞭性が満たされない場合には、差替え図面を PCT 手続
のできるだけ早い段階に提出することをお勧めします。

図面の形式的な要件については、PCT 出願人の手引きの第Ⅰ巻 第 143 項から第 178 項をご
参照ください。

www.wipo.int/pct/guide/en/

図面の欠陥の補充に関する詳細な情報については、PCT ニュースレター No. 01/2005、第 7
頁、実務アドバイスをご参照ください。