注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

電子メールによる出願人への通知の送付

Q: ここ数ヶ月の間に複数の出願人を代理して多くの国際出願を出願する予定です。しかし、本年の後半には、仕事を数ヶ月離れなくてはなりません。職場から離れることで、関係する出願の進捗状況を適切に管理することができなくなることを心配しています。そこで、国際出願に関係する連絡を電子メールで私に送付してもらうことを請求する方法はあるのでしょうか。また、対応すべき事態が発生した場合、電子メールで手続きする方法はあるのでしょうか。

A: 今までは、特定の国際出願に関する通知の手段として電子メールを国際事務局(IB)が使用することはできませんでした。

しかし、2008 年 7 月 1 日から、出願人又は代理人が電子メールアドレスを国際出願に記載できるようになりました。そのために、願書様式(PCT/RO/101)の第 II 欄及び第 IV 欄に記載箇所が設けられます。その記載箇所の隣にはチェック欄があり、もしチェックがされると、PCT 機関(受理官庁(RO)、IB、国際調査機関(ISA)及び国際予備審査機関(IPEA))が希望する場合には、国際出願に関する通知の事前の写しを電子メールで出願人若しくは代理人に送付することを承認したことになります。この承認欄は PCT-SAFE ソフトウェアを使用した願書様式にも設けられます。この承認を受けることで、IB は通知や求めの事前の写しを代理人や出願人に送付可能になります。また、他の PCT 機関は同様なことを行うことを自らの裁量で決定することができます。IB は PCT ユーザーにこの事前の通知の方法を行う機関、及び、その機関がその方法を適用する範囲について順次お知らせしていきます。

もし、上記のチェック欄がチェックされなかった場合、若しくは、出願人又は代理人が別個の書簡のようなその他の方法で明示の承認をしなかった場合には、その電子メールアドレスは電話やファクシミリで行われるような連絡のためだけに利用されることになります(例えば、出願人に対する速やかな非公式連絡(PCT 規則 4.4(c) 三番目の文参照))。

また、事前に行われる電子メールによる連絡は、通常行われている郵送による紙の通知に置き換わるものではありません。紙の通知は通知の法的写し(legal copy)として継続して扱 われます。電子メールによる連絡は、実質的に出願人が可能な手続きを事前にお知らせすることになります。したがって、受領者に紙の通知を発送及び配達することで生じる遅れを減少することができます。求めに応答するための期限は紙形式の求めの郵送の日から計算されることから、出願人は追加の時間が与えられることになります。

IB は個々の国際出願について一つの電子メールアドレスのみに対して事前の送付を行う予定です。つまり、出願人と代理人両者について電子メールの承認がある場合には、IB は選任された代理人(若しくは、代理人が選任されていない場合には共通の代表者)のみに電子メールによる送付を行います。電子メールの受領者は、電子メールの内容を受取る必要がある他の人にその内容を転送する責任があります。

現時点では、代理人(又は出願人)が IB に対して電子メールで返信を行うことはできません。国際事務局によって受取られたそのような電子メールは受理されたことにはなりません。今のところ、郵送により、又は関係する機関が受理するのであれば、ファクシミリによって引き続き返信しなければなりません。PCT 官庁及び機関に対して使用可能な通信手段についての情報は PCT 出願人の手引き、附属書 B(一般情報)に記載されています。

www.wipo.int/pct/guide/en/index.html

なお、技術的な理由により、IB は事前に電子メールで送付する書類を所定の様式に限って開始します。当初、送付される様式は、様式 PCT/IB/301、PCT/IB/306、PCT/IB/307 及びPCT/IB/345 になります。様式 PCT/IB/304、PCT/IB/308 及び PCT/IB/311 などが年内に順次追加されます。

2008 年 7 月 1 日より前に出願された国際出願であっても、その出願のための電子メールアドレスを 2008 年 7 月 1 日以後に IB に対して通知することが可能です。通知の際に、出願に関する通知の事前の写しを RO、ISA、IB 及び IPEA がその電子メールアドレスを使って送付することに対する明示の承認を行うことが必要です。電子メールアドレスの追加は PCT 規則92 の 2(願書又は国際予備審査の請求書の表示の変更の記録)に基づき請求することができます。複数の国際出願のために電子メールアドレスを登録する場合には、関係する国際出願の一覧を記載した書簡を IB に提出することができます。ただし、(もし、複数の代理人が一緒に選任されていない場合には)書簡は選任された代理人毎に作成されることが必要です。同様に、願書様式に記載された電子メールアドレスを変更したい場合には、PCT 規則 92 の2 に従って変更の記録を IB に請求することになります。PCT 規則 92 の 2 に基づき変更の記録を請求することについての解説は、PCT 出願人の手引きのパラグラフ 427 から 431 (www.wipo.int/pct/guide/en/gdvol1/pdf/gdvol1.pdf)又は、PCT ニュースレター No. 05/2002, 08/2002 及び 07/2005 の「実務アドバイス」に示されています(www.wipo.int/pct/en/newslett/year.jsp)。

この新しい事前通知サービスは WIPO が現在開発している新しいシステムに先行するものです。そのシステムは PCT 出願人が個人用一件書類閲覧システムから安全に情報を入手することを可能にするものです。通知が発行されると直ぐに出願人に電子メールによって知らせることで、出願人は国際出願に関する一件書類やその通知を閲覧することができるようになります。開発が更に進んだ段階で、この個人用一件書類閲覧システムについて説明する予定です。