注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

電子形式で出願されていない場合のePCTプライベートサービスでの国際出願へのアクセスと管理

Q: 最近、国際出願を紙で提出しましたが、紙形式での出願の場合でも、電子出願と同様に出願へのアクセスと管理のために ePCT の利用が可能なのかどうか教えてください。もし可能であれば、どうしたらいいでしょうか。

A: 必要な手続きがなされれば、ePCT を介しての紙形式で提出された国際出願(PCT-SAFEソフトウェアの PCT-EASY モードを利用して提出された国際出願も同様)へのアクセスが可能です。

ePCT サービスを利用するために最初に行わなければならないことは WIPO ユーザアカウントの作成です。これにより、ePCT パブリックサービスの利用が可能になり、PCT 第 19 条に基づく補正、PCT 規則 4.17 に基づく申立て及び PCT 規則 90 の 2 に基づく取下げのような文書や通知を、国際事務局(IB)または IB の受理官庁(RO/IB)に対して、アップロードすることができます。WIPO ユーザアカウントを作成するには、下記の ePCT ポータルサイトの下の方にある"Create an account(新規アカウントの作成)"からどうぞ。

https://pct.wipo.int/LoginForms/epct.jsp

WIPO ユーザアカウントの作成に関する詳細は、下記のリンク先の"ePCT ドキュメントアップロードのステップバイステップガイド"をご覧下さい。

http://www.wipo.int/pct/en/epct/pdf/transition__to_epct_for_document_upload.pdf

しかしながら、電子証明書で当該アカウントをより安全なものにすることで、未公開の国際出願へのアクセスが可能になり(その eOwnership の確認後)、当該出願に対して実行可能なアクション機能(訳者注:中間書類を ePCT 上で作成し提出する機能)を含む、より多くの機能をご利用いただける ePCT プライベートサービスへのアクセスが可能になります。電子証明書によるユーザアカウントの認証手続きに関する詳細は、下記のリンク先の"ePCT ユーザガイド"の 29~34 ページをご参照下さい。

http://www.wipo.int/pct/en/epct/pdf/pct_wipo_accounts_user_guide.pdf

上記情報は電子形式で出願されたものを含む全ての国際出願に有効ですが、以下の場合には、

  • 紙形式での出願
  • PCT-EASY 出願
  • サポートされていない電子証明書を用いて電子形式で提出された出願
  • WIPO ユーザアカウントの電子証明書と一致しない電子証明書を使用して電子形式で提出された出願

国際出願の eOwnership を取得し、ePCT プライベートサービスで当該出願へのアクセスと管理が可能になる前に、セキュリティ上の理由で以下の追加のステップが必要となります。

  1. IB が記録原本を受理したことを通知する様式 PCT/IB/301(記録原本の受理通知)の発行をお待ちください。この様式の一番下に記載されている確認コードを取得する必要があります(様式 PCT/IB/301 が電子メールで出願人へ送付される場合は、当該コードは電子メールの本文にもテキストで表示されますので、簡単にコピーアンドペーストでき、入力の手間が省けます)。
  2. そして確認コードを取得したら、ePCT プライベートサービスにて eOwnership タブへ進み、国際出願番号、国際出願日及び確認コードを入力して、国際出願の eOwnershipを請求して下さい。国際出願が有効な電子証明書を使用して電子形式で提出されていなかったため、"ePCT は当該国際出願を提出する際に使用された何れの電子証明書の検出及び認証ができません。国際事務局へ eOwnership の請求をして下さい"、というメッセージを確認し、IB に eOwnership を請求するために"はい"をクリックして下さい。

eOwnership を請求する者の情報が、以下の一つの情報と一致する必要がありますのでご注意下さい:出願人、共通の代表者、代理人若しくは国際出願の通知のためのあて名に記載された者。さらに、追加のセキュリティ上の確認として、国際出願に関するいくつかの質問がなされます。IB により当該請求が許可されれば、eOwnership が付与され ePCT にて直接、国際出願へのアクセスが可能になります。

もしそのような請求が上記以外の者(例えば、様式 PCT/RO/101 に記載されていない法律事務所のパラリーガルなど)からで、出願に関する適切な文書、例えば電子申請の受領証などに示されていないのであれば、当該 eOwnership の請求はセキュリティと機密性の観点からIB により拒否されます。IB は当該請求をした者が国際出願の情報と一致しなかった旨、eOwnership を取得するための新しい確認コードが郵便用あて名(代理人、共通の代表者又は通知のためのあて名の何れか)へ送付された旨を知らせる自動送信メールが当該請求をした者へ送られます。同時に、IB により新しい確認コードを含む通知(様式 PCT/IB/345)が記録された郵便用あて名へ送付されます。これは当該請求をした者の詳細を提供し、もし適切であれば当該請求をした者へその確認コードを連絡するようお願いするものです。

国際出願が公開されると、様式 PCT/IB/301 も PATENTSCOPE にて閲覧可能となるため、当該様式に示された確認コードは無効となります。また、出願後に PCT 規則 92 の 2 に基づく変更が提出された場合も、当該変更の結果、様式 PCT/IB/301 が記録から削除された者の所有になっているかもしれないため、その確認コードはやはり無効になります。そのような場合には、オンラインのウェブフォームで IB に新しい確認コードを請求することで、当該出願の郵便用あて名へ送付されます。

今後の国際出願において、ePCT 出願を利用して出願を提出すれば、eOwnership の取得はより簡単なものになるでしょう。なぜなら eOwnership 権は新規の仮出願の作成時に自動的に付与され、その出願が実際に提出される前に他の関係者に ePCT のアクセス権を付与することも可能になるからです。さらに、ePCT 出願は出願を実際に提出する前に潜在的な間違いの修正を促す確認機能があり、電子形式での出願時の手数料の減額も適用されます。もし普段利用している受理官庁が ePCT 出願を受け入れていない場合は、全ての PCT 締約国の居住者及び/又は国民からの国際出願を受け入れる RO/IB への出願が可能です。

WIPO アカウントの作成、ePCT のアクセス権の付与及び管理に関する詳細、また ePCT の特徴や機能の概要は、下記のリンク先"ePCT ユーザガイド"をご参照下さい。

http://www.wipo.int/pct/en/epct/pdf/pct_wipo_accounts_user_guide.pdf