注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

国際出願の提出後に PCT 規則 4.17(iv) に基づく発明者である旨の申立てを提出する

Q: 法人出願人及び発明者 2 人による国際出願の代理人です。通常、国際出願の提出時に米国指定を目的とする PCT 規則 4.17(iv)に基づく発明者である旨の申立てを含むようにしていますが、今回は出願前に発明者の署名を入手する時間がなく、申立てなしで国際出願を提出し、発明者の署名の入手後に申立てを提出することにしました。出願時に、発明者の署名がない申立てを提出し、後日、署名の入った差替え用紙を提出すべきだったでしょうか?また、今回のように国際出願と別個に申立てを提出する場合、何か特別にしなければならないことはありますか?申立ての提出期限と、もし追加手数料が必要でしたら教えてください。

A: 国際出願前に PCT 規則 4.17(iv)に基づく申立てのための発明者の署名を入手できない場合、署名なしの申立てを提出する必要はありません。そのような申立ては考慮されず、様式PCT/IB/370 により PCT 規則 26 の 3 に基づき補充された申立てを提出するよう求められるだけです。それ故、申立てなしで国際出願し、後日、署名された申立てを提出することをお勧めします。

申立てが国際出願と別個に送付される場合、国際事務局(IB)へ直接送付する必要があります。国際段階での申立ての提出期限は、優先日から 16 ヶ月です。ただし、当該期間の満了後に IB が受領した申立てであっても、国際公開の技術的準備が完了する前に IB に到達した場合には、当該期間の末日に IB が受理したものとみなされます。(PCT 規則 26 の 3.1 参照)

PCT 規則 4.17(iv)に基づく申立てを提出する時期がいつであろうと、申立てには各発明者による署名と日付が記入されている必要があります。例えば今回の場合、2 人の発明者が同じ地域にいない場合には、各発明者がそれぞれ別の申立てに署名することも可能ですが、その場合は、各申立てに 2 人の発明者の名前が記載されている必要があります。国際出願と別個に申立てを提出する方法は、以下に説明するように、紙面による提出、PCT-SAFE のような電子出願ソフトを利用した提出、ePCT プライベートサービスのオンラインアクションを利用した提出がございます。

紙面による提出

申立てが紙面(又はファックス)で提出されるのであれば、当該申立てには手書きによる署名が必須であり、申立ての追加について説明した書簡を添付する必要があります。(PCT 実施細則第 216 号参照)

添付するカバーレターに国際出願番号を記載したとしても、各申立てには国際出願番号を記載する必要があります。これは、米国国内法において申立てそのものに国際出願番号を記載することが求められているからです。(37 CFR 1.63(b)(1)参照: http://www.uspto.gov/web/offices/pac/mpep/consolidated_rules.pdf)国際出願番号が記載されていない場合、米国国内段階で国内の申立てを提出しなければならず、さらに、それが優先日から 30 ヶ月より後に提出された場合には手数料を支払わなければなりません。したがって、もし国際出願を提出した後に申立てを提出する場合には、発明者が署名する前に国際出願番号が申立てに記載されていなければならず、関係する出願の国際出願番号が受理官庁から通知されるまで待つ必要があります。

PCT-SAFE による提出

PCT-SAFE を利用して提出された国際出願に関しては、すでに国際出願が提出されていても、当該ソフトを利用して申立てを作成することができます。PCT-SAFE ファイルマネージャの"提出済"から、提出済み出願書類をダブルクリックして開き、'申立て'ページに進みます。プルダウンリストから、提出したい申立てを選択し、"追加"をクリックします。"氏名(名称)"に入力されている発明者の詳細が、"申立て"の画面に自動的に現れます。

紙形式による提出と同様に、発明者が署名する前に、申立てそのものに国際出願番号が記載されていることが重要です。国際出願の提出後に申立てを作成するのであれば、ソフトウェアが画面上で国際出願番号を記入するよう促し、その番号はプリントアウトされた申立ての適切な箇所に自動的に記入されます。しかし、出願時にプリントアウトした申立てやそれをコピーした申立てには"本申立ては、本書がその一部をなす国際出願を対象としたものである"という一文が含まれており、そのような申立ては受理されません。いずれにせよ、国際出願の提出と同時に申立てを提出しないのであれば、願書様式に用意されている申立てページに記入することは、願書のページ数を間違って数えることにも繋がり、お勧めしません。

申立てには、英数字の署名(テキスト署名)1か複写による署名のどちらでも可能ですし、プリントアウトする場合には手書きの署名も可能です。申立てが完成したら、PDF形式で保存するか、国際出願の提出後に申立てを作成した場合に使用可能となる印刷ボタンをクリックしてプリントアウトすることができます。PDF形式の書類はePCTのドキュメントアップロード機能を利用してアップロードすることができます。

専用の ePCT オンラインアクションを利用した出願後の申立ての作成

ePCT において当該国際出願に関して eOwner 又は eEditor のアクセス権を有していれば、ePCT プライベートサービスで提供されるオンラインアクション"規則 4.17 に基づく申立て"を利用することで、願書様式の情報に基づき出願後の申立てを作成することが可能です。このような手段で申立てを提出するのであれば、国際出願番号を含む書誌情報はご自身で入力する必要はなく、願書様式に含まれていた情報や出願後に更新された情報が自動的に入力され、プリントアウトされた申立てには自動的に国際出願番号が記入されます。発明者に一時的な eEditor のアクセス権を付与する場合、発明者はテキスト署名を入力することで、または複写による署名を含む画像ファイル(JPG 又は TIF 形式)を添付することで申立てに署名することが可能です。申立ては電子形式で IB に提出された後、瞬時に ePCT で閲覧可能となります。

ePCT システムの利用に関する詳細は以下のウェブサイトをご覧ください。

https://pct.wipo.int/ePCT

一般に国際出願の提出後、申立ての提出は無料で行え、国際出願の一部であるにもかかわらず追加ページ手数料も不要です。

申立てに関する詳細は、PCT 出願人の手引 国際段階のパラグラフ 5.074~5.083 をご覧ください。

国際段階での発明者である旨の申立ての提出は、PCT 規則 4.17 に基づく他の申立てと同様、任意であることにご注意ください。何れの申立ても国内段階に移行する際に提出可能であり、発明者の宣誓又は宣言に関する米国の要件を満足させるため、米国特許商標庁(USPTO)への国内段階移行まで待つという出願人もおります。さらに、2012 年 9 月に米国発明法の関連規定が発効され、2012 年 9 月 16 日以降の国際出願日の国際出願において、発明者の宣誓又は宣言に加え、発明者の一人が死亡していたり、法的に無能力であったり、連絡が取れなかったり、又は、宣誓/宣言に署名することを拒絶したりした場合、USPTO に対して代用陳述を提出することができます。また、宣誓/宣言に求められる陳述と発明の譲渡を組み合わせた、発明者によって署名された譲渡陳述を提出することもできます。

指定官庁による PCT 規則 4.17 に基づく申立ての受入れの義務に関する詳細は、PCT Newsletter 2014 年 2 月号の"実務アドバイス"をご覧ください。

  1. 米国では S-signature として知られている。