注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

国際調査機関及び国際予備審査機関に対し業として手続きをとる権能(代理人が国際段階全体において選任された場合)

Q: PCT ニュースレターの 2008 年 2 月号に記載されている実務アドバイスを読みました。その実務アドバイスは、米国の居住者であって国籍がメキシコの出願人を代理して、米国の代理人が RO/IB に対して国際出願を出願する場合についての解説でした。出願人がメキシコの国籍であることから、国際調査機関(ISA)及び国際予備審査機関(IPEA)としてスペイン特許商標庁を選択することが可能でした(受理官庁としてのメキシコ工業所有権機関がスペイン特許商標庁を管轄 ISA/IPEA に指定しています。)。米国の代理人は ISA 及び IPEA としてのスペイン特許商標庁に対し業として手続きをとる権能があるのでしょうか。

A: 米国の代理人が国際段階全体において選任されていれば、ISA 及び IPEA としてのスペイン特許商標庁に対して出願人の代理を務めることが可能です(PCT 規則 90.1(a) 及び 83.1の 2(a) 及び (b))。

原則として、国際段階全体で特定の国際出願のために出願人の代理を務めることができる者は受理官庁によって決まるのであって、ISA 及び/又は IPEA として行動する官庁によって決まるわけではありません。各受理官庁は当該官庁に対し業として手続きを取ることができる者を決めます。PCT 規則 90.1(a) に従って、国際出願がされた国内(広域)官庁に対し業として手続きをとる権能を有する者を、受理官庁(RO)、国際事務局(IB)、ISA 及び IPEAに対し出願人を代理する代理人として選任することができます。

受理官庁としての IB(RO/IB)に出願された国際出願に関する限り、出願人が居住者又は国民である締約国の国内(広域)官庁又はその締約国のために行動する国内(広域)官庁に対して業として手続きをとる権能がある者は、RO/IB、受理官庁以外の役割としての IB、管轄ISA及びIPEAに対して当該国際出願の代理人として選任することができます(PCT規則83.1の 2(b))。

このように、先月の「実務アドバイス」でご説明した国際出願が RO/IB に出願された場合においては、受理官庁としてのメキシコ工業所有権機関又は米国特許商標庁に対して業として手続きをとる権能がある者を出願人は代理人として選任することができることになります。そして、当該代理人は自動的に IB、機関として選択された ISA 及び/又は IPEA に対して手続きを行うことができます。

なお、特に、ISA 及び/又は IPEA に対して出願人を代理する第二番目の代理人を選任することが可能です。この場合においては、業として手続きをとる権能があるか否かは受理官庁によって決められません。ISA 又は IPEA として行動する国内又は広域官庁で適用される規則によって決定されることになります(PCT 規則 90.1(b)及び(c))。国内官庁に対して業として手続きをとる権能がある者についての情報は PCT 出願人の手引き(www.wipo.int/pct/guide/en/index.html)の国内段階の概要をご参照ください。ご不明な場合には、その機関に直接お問合せください。

特に、ISA 及び IPEA に対して代理人を選任する場合についての解説は、今後の「実務アドバイス」に掲載予定です。