注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

実務アドバイス(国際出願の文字サイズに関する変更)

Q: 2007 年 4 月 1 日発効の規則改正を見たのですが、国際出願の文字の最小サイズとして、大文字の高さを 0.28 cm とするという規定があります。間もなく国際出願を行う予定ですが、明細書と請求の範囲を Times New Roman フォントの 10 ポイント フォント サイズで既に作成しています。その結果、大文字の高さが 0.28 cm よりも小さくなっています。なぜ、このように文字の高さの要件が変更になったのでしょうか。2007 年 4 月 1 日以降に現在のフォーマットで国際出願を出願した場合、文字の大きさの訂正を求められるのでしょうか。また、その他に、注意すべき国際出願の様式上の要件はあるのでしょうか。

A: PCT 規則 11.9(d) が 2007 年 4 月 1 日から修正され、国際出願において大文字の高さの最小サイズが 0.21cm から 0.28 cm に拡大することになります。この新たな高さは Times New Roman フォントの 12 ポイント フォント サイズにおおよそ該当します。この高さは、願書を除く国際出願の全ての文字に適用されます。願書はそれ自体が公開されることがないことから適用されていません。

多くの出願人は既により大きなフォント サイズを用いているので、最小の文字の高さに関する新たな要件を満たしています。現在の最小の高さの要件は、コンピュータよりもタイプライターが用いられていた時代に規定されたので、変更する必要がありました。PCT 出願の処理に現在の情報及び通信技術を活用するために、記録の正確性を増すことができる最小の高さを拡大することが必要でした。国際出願が紙の形式で出願された場合電子的な形式に変換されます。例えば、スキャン後、OCR によってイメージデータからテキストデータへの変換が行われます(全ての紙形式で出願された国際出願は、このように処理されます。)。OCR 変換の正確性はスキャンする文字の大きさによります。最小のサイズとして 0.21cm を用いた出願を OCR した場合には、電子データには多くの誤りが含まれてしまうことから、適切な検索、審査及び公開をするためには、その誤りを訂正しなければならないことが分かりました。一方、大文字の高さが 0.28cm 以上のフォント サイズを用いた出願をスキャンした場合には、OCR の正確性のレベルは許容範囲であることが分かりました。更には、より大きなフォント サイズであれば、読みやすいという理由もあります(科学的な研究によれば理想的なフォント サイズは 11 又は 12 となっています。)。

国際出願に新たな最小サイズの 0.28cm よりも小さな文字サイズが使われていた場合には、通常、文字が小さすぎて効果的にスキャンできないことを解消するために、上述の欠陥を補充することを受理官庁から求められることになります。

なお、現在は電子的な形式で国際公開がされていることから、紙によって公開が行われていた時代には、様式上の欠陥と認められ補充の求めを受けていた他の多くの欠陥は、もはや求めを受けていません。それは、公開の手続を進める際にそれらの欠陥が弊害をもたらすことが無くなったからです。PCT 規則 26.3 によれば、規則 11 に定める様式上の要件を国際公開が適度に均一なものであるために必要な程度にまで満たされているかいないかのみによって点検することになっています。従って、通常は、多くの小さな欠陥に対して、様式上の要件の補充は求められません。例えば、行の間隔が 1.5 文字の幅ではない場合や用紙の番号が中央ではない場合などです。

2007 年 4 月 1 日に発効する PCT 規則では、PCT 規則 11 の他の要件については変更がありません。しかしながら、手書き文字を OCR で読み取ることは難しいことから、手書きによって国際出願を補充できなくするように PCT 規則 26.4 が修正されました。従って、願書以外の国際出願の要素を補充する場合には、2007 年 4 月 1 日から、補充を含む差替え用紙と、その差替え用紙を添付する書簡を提出し、その書簡において、差し替えられる用紙と差替え用紙との相違について注意を喚起する必要があります。一方、願書の補充に関しては書簡に記載することができます。しかし、補充によって書き換えられる用紙の明瞭さ及び直接複製の可能性に悪影響を及ぼすことなく、書簡から記録原本に書き換えられることができる性質のものである場合に限られます。

2007 年 4 月 1 日発効の PCT 規則の修正箇所は、以下のアドレスの PCT/A/34/6 及びPCT/A/35/7 で参照可能です。

www.wipo.int/meetings/en/topic.jsp?group_id=135

2007 年 4 月 1 日発効の PCT 規則の完全版は次のアドレスで参照可能です。

www.wipo.int/pct/en/texts/pdf/pct_regs_april_2007.pdf

2007 年 4 月 1 日発効の PCT 規則の他の修正点についての更なる情報は PCT ニューズレターの 4 月号に掲載されます。