PCTニュースレター 02/2017: 実務アドバイス
注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。
国内段階移行の期間遵守の遅滞-その帰結及び可能な救済措置
Q: 幾つかの官庁に対し当方の国際出願を国内段階へと進めたいのですが、残念ながら、当方の管理が及ばない事情により、30ヶ月の期間を遵守できませんでした。関連する官庁に対しまだ国内段階へ移行することは可能でしょうか?また可能なのであれば何をすべきでしょうか?
A: PCT第22条(又は優先日から19ヶ月の満了前に国際予備審査請求を提出した場合は第39条(1) )によると、出願人は優先日から30ヶ月1の満了前に各指定(又は選択)官庁に対し以下の手続を行う必要があります:
- 翻訳文を提出する(提出又は公開された国際出願の言語が関連する官庁により受理されない場合)
- 官庁により要求される国内手数料を支払う(多くの官庁で該当)
- 関連する各官庁へ国際出願の写しを提出する(PCT第20条に基づく国際出願の写しがまだ提出されていない場合)
- 場合によっては、国際出願が提出された時に、発明者の氏名及び住所が願書に記載されていなかった場合、当該情報を提出する(とはいえ、出願人が国内段階移行時にそうしていない場合、幾つかの官庁は当該情報を提出するよう出願人に求めるでしょう)
国内段階移行に適用される期間の満了時に必要な手続が行われていなかった場合、国際出願は国内出願としての効果を失い、手続が行われなかった各官庁に関しての手続は終了となるでしょう(PCT第24条(1)(iii)参照)。
貴殿は移行期間からどの程度の期間が経過したかについて言及していませんが、多くの官庁がPCT第22条(3)(又は第39条(1)) に基づき30ヶ月の期間より遅く満了する期間を設定しておりますので、幾つかの指定(選択)官庁に対してはまだいくらかの手続の延長期間があるかもしれません。執筆時点では、出願人が国内(広域)段階移行が可能な123官庁のうち57官庁が、PCT第39条(1)(b)に基づき30ヶ月より遅い期間を設定していることを国際事務局(IB)へ通知しています。加えて、7つの官庁は出願人が追加手数料を支払えば30ヶ月の期間を延長すること、また1つの官庁は単に出願人の書面での請求を受け期間を延長することをそれぞれIBへ通知しています。各指定(又は選択)官庁が適用する期間の詳細は、以下のリンク先の"PCT第I章及び第II章に基づく国内/広域段階移行の期間"の表をご覧ください。
www.wipo.int/pct/en/texts/time_limits.html
又はPCT出願人の手引の関連する国内段階の概要を以下のリンク先からご覧ください。
www.wipo.int/pct/en/appguide/
PCT第22条(3)(又は第39条(1))に基づく期間を遵守できず、貴殿が国内段階移行を希望するいずれの指定(又は選択)官庁も手続の延長 期間を提供しない場合であっても、貴殿の権利を回復することが可能な場合があります。締約国はPCT規則49.6に基づき(以下に説明される特定の例外あり)、故意ではない又は状況により必要とされる相当な注意を払ったにもかかわらず(官庁により適用される基準による)国内段階へ移行する期間を遵守できなかったことを官庁に示すことが可能であれば、出願人がPCT第22条又は第39条(1) の要件を満たさなかった場合に、国際出願に関する出願人の権利を回復する可能性を提供することが求められます。
権利の回復の請求が考慮されるためには、以下の手続が必要です:
(1) 各指定官庁へ個別に、PCT規則49.6に基づく権利の回復の請求を提出し、また次のいずれかのうち早く満了する期間内に、PCT第22条に規定される必要な手続(翻訳文、手数料及び出願の写し)が行われたことを確実にする:
- PCT第22条に規定する期間を遵守できなかった理由がなくなった日から2ヶ月;又は
- PCT第22条に規定する期間が満了する日から12ヶ月
しかしながら、幾つかの官庁が適用する国内法令は、より遅い時に請求を提出することを許容するかもしれません(PCT規則49.6(b))。
請求には、PCT第22条(又は第39条(1))に規定する期間を遵守できなかった理由を記載する必要があります(PCT規則49.6(c))。指定官庁はまたそれらの理由を裏付ける申立て又はその他の証拠を提出することを要求する場合があります(PCT規則49.6(d)(ii))。
(2) 権利の回復請求に関する必要な手数料の支払い(PCT規則49.6(d)(i))。
ただし、以下の締約国が規則が採択された時点で、国内法令と適合しない旨をPCT規則49.6(f) に基づきIBへ通知していることにご留意ください:カナダ、中国、ドイツ、インド、ラトビア、メキシコ、ニュージーランド、フィリピン、ポーランド及び韓国-"留保及び不適合"の表を以下のリンク先からご参照ください。
www.wipo.int/pct/en/texts/reservations/res_incomp.html
ある締約国が上述の通知を送っていたとしても、当該締約国が適用する国内法令に基づき回復が可能な場合もあり、幾つかの締約国ではPCT規則49.6の規定よりもより寛大な場合もある点にご留意ください。そのような場合には、関係官庁はPCT規則49.6ではなく、国内法令の規定を適用するでしょう。それ故、出願に関する権利の回復をする制度が存在するのかどうか関係官庁に確認するようお勧めいたします。
国内段階移行の期間が遵守されなかった場合の回復の可能性に関する情報及び様々な指定官庁の適用する要件の詳細は、PCT 出願人の手引の対応する国内編の"期間遵守の遅滞の許容"の項目をご覧ください。いずれにせよ、上述の状況で適用される様々な国内法令に詳しい現地の弁理士から助言を求められることをお勧めいたします。
- 2002年4月1日から効力を有する30ヶ月の期間は、適用する国内法令に従いPCT第22条(1)に基づく期間との不適合を国際事務局へ通知している、ルクセンブルグ、ウガンダ及びタンザニア連合共和国の官庁に関しては適用されません。ルクセンブルグの官庁に関しては、2002年3月31日まで効力のあった20ヶ月の期間及びウガンダ及びタンザニア連合共和国については21ヶ月の期間が引き続き適用されています。ただし、出願人が優先日から19ヶ月の満了前に国際予備審査請求を提出する場合、30ヶ月の期間が適用されます(PCT第39条(1)参照)。また、それらの国が広域特許に指定される場合、関連する広域官庁(欧州特許庁及びアフリカ広域知的所有権機関)に対し31ヶ月の期間が適用されます。