注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

PCT 締約国の国民ではない単独の出願人が、PCT 締約国の居住者ではなくなる場合

Q: PCT 締約国の国民ではない単独の出願人の代理人です。当出願人は国際出願の提出時、及び現在もまだ当方が代理手続きを行っている PCT 締約国の居住者で、国際出願は当該国の受理官庁へ提出しました。しかし、当出願人は現在、国民である国へ引っ越す予定です。当出願人がPCT 締約国ではない国の居住者になる場合、何か影響はありますか?

A: PCT 第 9 条によると、出願人(又は二人以上の出願人がいる場合(PCT 規則 18.3))は、出願人のうち少なくとも一人は PCT 締約国の国民又は居住者でなければならず、出願人の住所及び国籍は出願時に国際出願に記載する必要があります(PCT 規則 4.5(a)(iii))。

しかしながら、PCT 第 9 条に基づく要件は国際出願の提出時にのみ満たす必要があります。例えば、出願人の住所(又は国籍)の出願後の変更、つまり本ケースのように、PCT 締約国の国民ではない出願人が、PCT 締約国から非 PCT 締約国へ引っ越す場合、国際出願そのものの有効性に影響を与えません。同様に、PCT 出願が他者へ譲渡される場合、出願人の名義変更が記録されるため、新しい出願人が PCT 締約国の居住者又は国民である必要はありません ー PCT は国際出願が誰に譲渡され得るかに関する制限は規定していません。

しかしながら、出願人が第 II 章に基づく国際予備審査の請求を提出する予定がある場合には、PCT 第 31 条(2)(a)において、当該国際予備審査請求は出願人のうち少なくとも一人が第 II 章に拘束される PCT 締約国の居住者又は国民である必要がある旨規定していますのでご留意ください。そのため、国際予備審査請求を提出する際に当該出願人の住所が必要な条件を満たすよう、当該出願人が引っ越す前で、PCT 規則 92 の 2 に基づく出願人の住所の変更の記録が要請される前に、当該国際予備審査請求を提出する必要があります。当該請求の提出後の住所の変更は当該請求の有効性に影響を与えません。

代理人として国際出願を提出した受理官庁に対し手続きを行う権利があるのであれば、出願人が代理人と同じ国の居住者でなくなった場合であっても、国際段階を通して受理官庁及び国際機関に対して当該出願人を代理する権利を有しますのでご安心下さい。

なお、出願人の如何なる変更(あて名、住所、国籍など)も PCT 規則 92 の 2 に基づく変更の記録の要請の受理をもって、国際事務局により記録されます。公開される国際出願の書誌情報は出願人の新しいあて名と同様に新しい住所が表示されますが(変更の記録の要請が公開の技術的準備が完了する前に受理されることが前提)、第三者は PATENTSCOPE にて、元の住所やあて名が記載された出願当初の願書様式を閲覧することが可能です。

PCT 規則 92 の 2 に基づく変更の記録の要請の提出に関する詳細は、PCT Newsletter 2016 年 1月号の"実務アドバイス"及び PCT 出願人の手引 パラグラフ 11.018 から 11.022 をご参照下さい。