注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

国際段階で優先権の主張の補充(又は追加)のための期限が満了した場合の、優先権の主張の補充(又は追加)の希望に関する情報の公表

Q: 2012 年 6 月 5 日に、先の国内出願に基づき優先権を主張して国際出願をしました。2013年 1 月初めに国際出願が公開されるまで、先の出願の出願日が願書様式に 2011 年 6 月 10 日ではなく 2011 年 6 月 23 日(間違った日付で公開されました)と間違って記載されていることに気が付きませんでした。優先権書類には 2011 年 6 月 10 日と正しく示されていますが、国際出願の公開直前になるまでそれを提出せず、願書に示された優先日の補充(訂正)の求めは受け取りませんでした。国際出願に示された優先日を訂正することは可能でしょうか?もし可能でなければ、優先権の主張の補充の期限がすでに満了していますが、指定官庁が公開された国際出願の優先日が間違っていることに気が付くよう、他に取ることのできるアクションはありますか?

A: 次のアドバイスは、手続きが非常に似ているので、優先権の主張の補充(訂正)と同様に優先権の主張の追加にも適用されます。今回の場合、国際公開の直前まで正しい優先日が記載された優先権書類が提出されなかったので、PCT 規則 26 の 2.1(a)に基づくそのような補充をすることが可能な期限がすでに満了となっていたので、受理官庁又は国際事務局(IB)が優先権の主張を補充するよう求めることは無駄であったと考えられます。

PCT 規則 26 の 2.1(a)に基づく優先権の主張を補充するための期限は、当該補充に関する書面を国際出願日から 4 ヶ月を経過する時まで提出することができない場合、優先日から 16ヶ月の期間又は、優先権の主張の補充により優先日について変更が生じる場合には、変更された優先日から 16 ヶ月の期間のうちいずれか早く満了する期間となります。今回の場合、

(1) 願書様式に記載された(欠陥のある)優先日から起算して 16 ヶ月は 2012 年 10 月 23 日

(2) 補充された場合の"正しい"優先日から起算して 16 ヶ月は 2012 年 10 月 10 日

(3) 国際出願日から起算して 4 ヶ月は 2012 年 10 月 5 日、となります。

(1)と(2)は国際出願日から起算して 4 ヶ月以降となるので、(1)と(2)の早い方が適用され、2012 年 10 月 10 日が期限となります。

上記の期限が満了しているので、唯一の手段は国内(又は地域)段階に移行した後に各指定(又は選択)官庁に対して補充の求めを提出することです。ただし、適用される国内(又は地域)の法律で認められている必要があります。このようなケースにおいて、つまり国際段階において補充することができない優先日が記載された優先日よりも早い(または他に優先権主張がない)場合は、優先権の主張が補充されたと想定して、国内移行期限を計算するのがいいでしょう。今回の場合は、正しい優先日が 2011 年 6 月 10 日なので、PCT 条約 22 条(1)(及び 39 条(1)(a))に基づく 30 ヶ月の国内移行期限は(2013 年 12 月 23 日でなく)2013年 12 月 10 日に満了となるでしょう。

しかし、国内段階で役立つかもしれない国際段階において取り得る手段がまだあります。それは、PCT 規則 26 の 2.2(e)に従い、IB に優先権の主張の後の補充に関する情報を公表するように請求することです。国内段階で補充の請求を行う一方で、この公表を行う目的は、指定(又は選択)官庁や第三者に、国内段階で出願人により補充が請求される(それによって優先日が変更される)可能性を示唆することができます。

もし、こういった可能性を利用したい場合は、IB に対し、(欠陥のある)優先日から起算して 30 ヶ月の期間内(つまり今回の国際出願の場合は 2013 年 12 月 23 日)に、情報を公表する請求をする必要があります。この手続きには、IB に対して、1 ページ目は 50 スイスフラン、追加ページ毎に 12 フランの特別手数料を支払う必要があります。(PCT に基づく実施細則の第 113 号(c)を参照)。この情報は PATENTSCOPE 上に公開され、公開された国際出願の"Documents(書類)"タブ上で"Publication of Late Submitted Request to Correct/Add Priority Claims(後に提出された優先権主張の補充/追加の請求の公表)"と表示されます。注意していただきたいことは、この情報は PATENTSCOPE 上に公表され上記のように官庁や第三者に対して国内段階で補充される可能性を示唆することには役立ちますが、現在の優先日を補充する効果はありません。

また、願書様式に示されている優先日が、今回提出された優先権書類のフロントページに示されている優先日と合致していなくても、その書類を指定官庁に送達するよう IB に要請することができます。こうすることで指定官庁により補充が受理される可能性が高くなり、また、国内段階に移行した各指定官庁に対し優先権書類を提出する手間を省けます。IB から送達された優先権書類は、PATENTSCOPE 上に公開され、公開された国際出願の"Documents(書類)"タブ上で"Purported P. doc for transmittal(送付された優先権書類)"と表示され入手可能となります。

優先権の主張を補充又は追加するための手続きに関する情報(要請が適応する期限内になされた場合)は、PCT Newsletter No.09/1998 の実務アドバイスに掲載されています。