PCTニュースレター 02/2010: 実務アドバイス
注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。
最先の優先日と国際出願日が 12 ヶ月以上に延長される優先権の主張の追加
Q: 2009 年 5 月 11 日に出願した先の国内出願に基づく優先権主張を伴う国際出願を 2010 年1 月 25 日に行いましたが、その後、他の優先権主張より早い 2009 年 1 月 5 日付けの出願に基づく優先権主張を行っていなかったことに気づきました。当該最先の出願と国際出願日との期間が 12 ヶ月を超える場合であっても、PCT 規則 26 の 2.1 に従って優先権の主張を追加することが可能でしょうか。
A: 新しい優先日が 12 ヶ月の優先期間以内でなくなる場合(すなわち、国際出願日の 12 ヶ月より前)であっても、PCT 規則 26 の 2.1 に従って特定の期限内に優先権の主張を追加することができます。その条件として、(最先の)優先日から 14 ヶ月の期間が満了していないことが必要です。この場合、国際段階では、新しい優先権の主張は存在するものとして扱われ、まだ満了していないすべての期間は、変更された優先権の主張を基に起算されます。しかしながら、優先権の主張が、国内/広域段階において、指定/選択官庁(以下、「指定官庁」とする)によって認められるか否かは、これら官庁に対して、優先権の回復の請求を行い、最終的に請求がどの程度受け入れられるかによります。
優先権の回復の請求の前に(又は、少なくとも優先権の回復の請求と同時に)、PCT 規則 26の 2.1 に規定された優先権の主張の追加を請求するための書面を提出しなければなりません。一般的に、書面の提出期限は下記の期間のうちいずれか遅く満了する期間内です。(a) 国際出願日から 4 ヶ月(b) 優先日から 16 ヶ月、又は、優先権の主張の追加により優先日について変更が生じる場合には、変更された優先日から 16 ヶ月の期間(のうちいずれか早く満了する期間内)
本ケースでは、(a)の条件による期限は 2010 年 5 月 25 日で、(b)の条件による期限である 2010年 5 月 5 日より遅いことから、通常 2010 年 5 月 25 日までに優先権の主張の追加を行わなければなりません。しかしながら、国際段階で受理官庁に対して優先権の回復を請求しようとする場合、当該請求は優先期間が満了する日の 2 ヶ月前、すなわち本件のケースでは 2010年 3 月 5 日までに提出しなければなりません。優先権の回復の請求の前又は同時に優先権の主張の追加をする必要があるため、優先権の主張の追加はできるだけ早く、どんな場合でも、2010 年 3 月 5 日以前に請求することを推奨します(PCT 規則 26 の 3(c)、(e)参照)。PCT Time Limit Calculator は PCT 規則に定められた期限の算出の際に有用です。
http://www.wipo.int/pct/en/calculator/pct-calculator.html
PCT 規則 26 の 2.1 の規定により、優先権の主張の追加とともに、優先権の主張の補充又は優先権の主張の表示の一部、例えば先の出願がなされた日又は番号、国、官庁名の表示が抜けていた場合の追加することができます。PCT 規則 26 の 2.1 に規定された優先権の主張の補充又は追加に関するさらなる情報は、PCT Newsletter No. 09/1998 の実務アドバイス、及び PCT 出願人の手引きの 6.038 から 6.040 段落でご覧いただけます。
http://www.wipo.int/edocs/pctndocs/en/1998/pct_news_1998_9.pdf
http://www.wipo.int/pct/en/guide/ip#_chapt6
優先権の回復を請求することに関し、受理官庁が優先権の回復の請求を認めている場合の、PCT 規則 26 の 2.3(受理官庁による優先権の回復)の規定による国際段階での受理官庁に対する請求、又は、優先権の回復の請求を認めている指定官庁に対して、国内段階での PCT規則 49 の 3.2(指定官庁による優先権の回復)に基づく優先権回復の直接請求の2通りの方法が可能です。この問題は複雑であり、PCT Newsletter No. 04/2007、09/2009、10/2009 の実務アドバイスを詳細な説明をご参照下さい。
http://www.wipo.int/edocs/pctndocs/en/2007/pct_news_2007_4.pdf
http://www.wipo.int/edocs/pctndocs/en/2009/pct_news_2009_09.pdf
http://www.wipo.int/edocs/pctndocs/en/2009/pct_news_2009_10.pdf
上記に加え、PCT 出願人の手引きの 5.062 から 5.069 段落もご参照下さい。
http://www.wipo.int/pct/en/guide/ip05#_boxVI